国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2022年度の「世界の羊飼養数ランキング」のデータによると、1位は中国(1億9,403万匹)、2位はインド(7,534万匹)、3位はオーストラリア(7,023万匹)という結果でした。日本は15,175匹でランキング152位となり、羊の飼養規模は非常に小さい状況です。このデータは、各国の農業および畜産業の特徴や地理的・文化的要因を反映しています。
順位 | 国名 | 地域 | 飼養数(匹) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 194,030,100 |
2 | インド | アジア | 75,345,847 |
3 | オーストラリア | オセアニア | 70,234,655 |
4 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 55,582,000 |
5 | ナイジェリア | アフリカ | 50,284,350 |
6 | チャド | アフリカ | 45,081,553 |
7 | トルコ | アジア | 44,687,888 |
8 | スーダン | アフリカ | 41,332,641 |
9 | エチオピア | アフリカ | 35,069,956 |
10 | イギリス | ヨーロッパ | 33,066,000 |
11 | モンゴル | アジア | 32,747,682 |
12 | パキスタン | アジア | 31,969,000 |
13 | アルジェリア | アフリカ | 31,192,020 |
14 | ケニア | アフリカ | 25,814,057 |
15 | ニュージーランド | オセアニア | 25,333,562 |
16 | サウジアラビア | アジア | 21,804,724 |
17 | モロッコ | アフリカ | 21,800,556 |
18 | ブラジル | 南アメリカ | 21,514,274 |
19 | 南アフリカ | アフリカ | 21,432,364 |
20 | マリ | アフリカ | 20,158,662 |
21 | ウズベキスタン | アジア | 19,938,000 |
22 | カザフスタン | アジア | 19,483,297 |
23 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 19,148,212 |
24 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 17,847,163 |
25 | インドネシア | アジア | 15,615,300 |
26 | ニジェール | アフリカ | 14,627,232 |
27 | 南スーダン | アフリカ | 14,563,459 |
28 | スペイン | ヨーロッパ | 14,452,590 |
29 | トルクメニスタン | アジア | 14,281,484 |
30 | アフガニスタン | アジア | 12,500,000 |
31 | アルゼンチン | 南アメリカ | 12,461,845 |
32 | ブルキナファソ | アフリカ | 11,260,981 |
33 | ペルー | 南アメリカ | 11,210,723 |
34 | モーリタニア | アフリカ | 11,002,788 |
35 | イエメン | アジア | 10,487,333 |
36 | ルーマニア | ヨーロッパ | 10,247,400 |
37 | ソマリア | アフリカ | 10,241,518 |
38 | メキシコ | 南アメリカ | 8,805,415 |
39 | セネガル | アフリカ | 7,972,868 |
40 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 7,592,484 |
41 | リビア | アフリカ | 7,546,329 |
42 | ギリシャ | ヨーロッパ | 7,378,400 |
43 | アゼルバイジャン | アジア | 7,170,828 |
44 | イラク | アジア | 6,784,517 |
45 | フランス | ヨーロッパ | 6,597,520 |
46 | イタリア | ヨーロッパ | 6,568,000 |
47 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 6,226,177 |
48 | チュニジア | アフリカ | 6,195,681 |
49 | ウルグアイ | 南アメリカ | 6,164,000 |
50 | ガーナ | アフリカ | 5,845,718 |
51 | キルギスタン | アジア | 5,515,593 |
52 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 5,065,000 |
53 | タジキスタン | アジア | 4,175,661 |
54 | アイルランド | ヨーロッパ | 4,018,030 |
55 | カメルーン | アフリカ | 3,605,529 |
56 | ギニア | アフリカ | 3,507,606 |
57 | ヨルダン | アジア | 2,961,717 |
58 | ベナン | アフリカ | 2,500,613 |
59 | エリトリア | アフリカ | 2,462,123 |
60 | コートジボワール | アフリカ | 2,271,386 |
61 | ポルトガル | ヨーロッパ | 2,269,280 |
62 | ノルウェー | ヨーロッパ | 2,253,000 |
63 | アラブ首長国連邦 | アジア | 2,235,981 |
64 | ウガンダ | アフリカ | 2,192,607 |
65 | バングラデシュ | アジア | 2,100,000 |
66 | エジプト | アフリカ | 2,083,708 |
67 | トーゴ | アフリカ | 1,991,392 |
68 | チリ | 南アメリカ | 1,830,249 |
69 | コロンビア | 南アメリカ | 1,819,247 |
70 | セルビア | ヨーロッパ | 1,720,826 |
71 | ドイツ | ヨーロッパ | 1,516,900 |
72 | キューバ | 南アメリカ | 1,411,800 |
73 | アルバニア | ヨーロッパ | 1,371,695 |
74 | ナミビア | アフリカ | 1,342,289 |
75 | アンゴラ | アフリカ | 1,193,529 |
76 | レソト | アフリカ | 1,142,162 |
77 | ブルガリア | ヨーロッパ | 1,096,400 |
78 | シエラレオネ | アフリカ | 1,022,738 |
79 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 997,046 |
80 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 917,265 |
81 | グルジア | アジア | 904,300 |
82 | ハンガリー | ヨーロッパ | 871,700 |
83 | マダガスカル | アフリカ | 851,112 |
84 | カナダ | 北アメリカ | 822,200 |
85 | カタール | アジア | 813,941 |
86 | パレスチナ国 | アジア | 777,883 |
87 | ネパール | アジア | 771,205 |
88 | オランダ | ヨーロッパ | 723,000 |
89 | クウェート | アジア | 716,046 |
90 | ブルンジ | アフリカ | 713,807 |
91 | アルメニア | アジア | 691,787 |
92 | オマーン | アジア | 655,177 |
93 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 646,488 |
94 | クロアチア | ヨーロッパ | 643,000 |
95 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 631,632 |
96 | グアテマラ | 南アメリカ | 616,513 |
97 | ウクライナ | ヨーロッパ | 607,100 |
98 | エクアドル | 南アメリカ | 551,960 |
99 | イスラエル | アジア | 550,000 |
100 | ギニアビサウ | アフリカ | 485,107 |
101 | ジブチ | アフリカ | 470,014 |
102 | ミャンマー | アジア | 450,000 |
103 | レバノン | アジア | 443,461 |
104 | 中央アフリカ共和国 | アフリカ | 441,336 |
105 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 433,800 |
106 | オーストリア | ヨーロッパ | 400,660 |
107 | マラウイ | アフリカ | 372,384 |
108 | アイスランド | ヨーロッパ | 365,290 |
109 | スイス | ヨーロッパ | 355,893 |
110 | ジンバブエ | アフリカ | 354,008 |
111 | キプロス | アジア | 343,400 |
112 | スウェーデン | ヨーロッパ | 340,840 |
113 | ルワンダ | アフリカ | 331,748 |
114 | パラグアイ | 南アメリカ | 317,239 |
115 | スロバキア | ヨーロッパ | 301,130 |
116 | リベリア | アフリカ | 294,112 |
117 | ハイチ | 南アメリカ | 288,165 |
118 | ポーランド | ヨーロッパ | 266,370 |
119 | ザンビア | アフリカ | 260,560 |
120 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 260,130 |
121 | ガボン | アフリカ | 225,025 |
122 | ガンビア | アフリカ | 179,185 |
123 | チェコ | ヨーロッパ | 174,200 |
124 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 167,159 |
125 | モザンビーク | アフリカ | 164,002 |
126 | モンテネグロ | ヨーロッパ | 161,376 |
127 | リトアニア | ヨーロッパ | 135,640 |
128 | マレーシア | アジア | 135,560 |
129 | ボツワナ | アフリカ | 133,502 |
130 | デンマーク | ヨーロッパ | 132,510 |
131 | フィンランド | ヨーロッパ | 132,080 |
132 | ガイアナ | 南アメリカ | 132,017 |
133 | コンゴ | アフリカ | 126,990 |
134 | スロベニア | ヨーロッパ | 117,200 |
135 | ベルギー | ヨーロッパ | 110,120 |
136 | ラトビア | ヨーロッパ | 87,320 |
137 | ベラルーシ | ヨーロッパ | 78,700 |
138 | フェロー諸島 | ヨーロッパ | 76,761 |
139 | エストニア | ヨーロッパ | 63,100 |
140 | バーレーン | アジア | 62,300 |
141 | 東ティモール | アジア | 43,363 |
142 | 赤道ギニア | アフリカ | 41,771 |
143 | タイ | アジア | 40,534 |
144 | エスワティニ | アフリカ | 37,623 |
145 | フィジー | オセアニア | 35,370 |
146 | フィリピン | アジア | 30,000 |
147 | コモロ | アフリカ | 25,660 |
148 | カーボベルデ | アフリカ | 19,229 |
149 | ホンジュラス | 南アメリカ | 16,902 |
150 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 16,604 |
151 | ベリーズ | 南アメリカ | 15,909 |
152 | 日本 | アジア | 15,175 |
153 | マルタ | ヨーロッパ | 14,470 |
154 | グレナダ | 南アメリカ | 13,919 |
155 | バルバドス | 南アメリカ | 13,320 |
156 | スリランカ | アジア | 12,200 |
157 | セントクリストファー・ネイビス | 南アメリカ | 12,000 |
158 | ブータン | アジア | 10,024 |
159 | セントルシア | 南アメリカ | 9,145 |
160 | ルクセンブルク | ヨーロッパ | 9,000 |
161 | ドミニカ | 南アメリカ | 8,387 |
162 | アンティグア・バーブーダ | 南アメリカ | 8,300 |
163 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 南アメリカ | 7,844 |
164 | パプアニューギニア | オセアニア | 7,288 |
165 | バハマ | 南アメリカ | 6,605 |
166 | ニカラグア | 南アメリカ | 6,602 |
167 | プエルトリコ | 南アメリカ | 6,588 |
168 | スリナム | 南アメリカ | 6,005 |
169 | エルサルバドル | 南アメリカ | 5,644 |
170 | ブルネイ ダルサラーム | アジア | 4,498 |
171 | モーリシャス | アフリカ | 4,367 |
172 | サントメ・プリンシペ | アフリカ | 3,329 |
173 | コスタリカ | 南アメリカ | 2,873 |
174 | ニューカレドニア | オセアニア | 2,263 |
175 | ジャマイカ | 南アメリカ | 1,304 |
176 | 大韓民国 | アジア | 1,270 |
177 | フランス領ポリネシア | オセアニア | 441 |
178 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 176 |
179 | 中国、香港特別行政区 | アジア | 22 |
2022年度の統計では、中国が大きく飛び抜けて世界1位となっており、2位のインドと比べても約2倍以上の飼養数を誇っています。これは、中国の広大な土地面積、多様な気候条件、そして羊を重視する内陸地域の畜産文化が大きく影響しています。また、中国は羊肉や羊毛の大規模な生産・消費国でもあるため、国内需要の高さも飼養数に大きく寄与しています。
インドとオーストラリアもそれぞれ2位、3位にランクインしており、それぞれの国の特徴がこの順位に現れています。インドは、農村コミュニティで羊が重要な生活基盤を構築しており、小規模農家が多くの羊を飼養しています。一方のオーストラリアは、羊毛の生産において世界有数の産地として知られています。広大な牧草地と高度に整備された畜産システムが多頭飼養を可能にしています。
日本に目を向けると、15,175匹という数値は非常に少なく、世界全体で152位と後方に位置しています。この背景には、地域的な農業の在り方や、羊肉の消費文化が他国と比べて定着していないことが挙げられます。また、平地が少なく牧草地に適した土地が貴重であることもその一因と考えられます。日本での羊の飼養は主に観光目的や教育牧場での利用に限られる傾向にあります。
一方、欧州に目を向けると、イギリス(10位)やスペイン(28位)がランクインしており、羊産業が伝統的でかつ経済的にも重要な位置を占めていることを示しています。特に、イギリスでは専用牧場の発達と生産効率の高い畜産システムにより、国内外で高品質な羊肉と羊毛が安定的に供給されています。
アジア・アフリカ地域では、イラン(4位)やナイジェリア(5位)をはじめとする中東・アフリカ諸国も上位にランクインしています。これらの国々では、羊が気候変動や貧困など厳しい環境下においても比較的飼育が容易な家畜種として重要視されています。そのため、紛争や自然災害によるリスクが高い地域においても、羊産業は安定的な食料および収入源としての役割を果たしています。
今後の課題として、まず地政学的なリスクが挙げられます。中東やアフリカ地域では、紛争や資源争奪がしばしば生産基盤を脅かしています。これにより、生産や輸送が不安定になり、地域経済に深刻な影響を与える可能性があります。加えて、気候変動による影響も避けられません。多くの国で干ばつが頻発しており、羊の飼育環境が悪化している地域も少なくありません。
こうした課題に対処するためには、例えば、各国間での技術共有や灌漑システムの導入を進めることが有効です。さらに、地理的な制約を克服するために、国際的な支援の体制を強化し、生産者が持続可能な方法で羊を飼育できるような仕組みを構築する必要があります。
また、日本においては、羊肉や羊乳製品に対する消費を促進し、新たな市場を開拓することが生産者の基盤の強化につながると考えられます。観光地や農家が協力し、地域の特色と融合した付加価値の高い取り組みを進めることで、国内での需要喚起を図ることも一案です。
今回のデータは、国ごとの羊飼養数から、地域的な背景や課題、そして将来の可能性を浮き彫りにしています。これを基に、各国で持続可能な畜産業の発展を追求することが求められています。国際協力や技術革新を推進し、羊産業が多様な地域で活力あるものとなるよう努力を継続することが重要です。