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アゼルバイジャンの羊飼養数推移(1961-2022)

アゼルバイジャンの羊飼養数データによると、1992年から2022年にかけて特徴的な変化が見られました。1990年代初頭の低下傾向から始まり、2000年以降増加に転じましたが、2015年以降はやや減少傾向に転じています。特に2006年から2015年にかけての増加と、2020年以降の減少が際立っており、近年は2022年時点で7,170,828匹と減少しています。

年度 飼養数(匹)
2022年 7,170,828
2021年 7,314,166
2020年 7,483,725
2019年 7,575,381
2018年 7,681,674
2017年 7,820,981
2016年 7,966,456
2015年 8,025,608
2014年 7,987,313
2013年 7,924,600
2012年 7,847,400
2011年 7,784,800
2010年 7,871,193
2009年 7,685,240
2008年 7,523,000
2007年 7,290,590
2006年 7,105,310
2005年 6,887,440
2004年 6,676,030
2003年 6,392,462
2002年 6,002,924
2001年 5,553,047
2000年 5,279,690
1999年 5,102,800
1998年 4,896,100
1997年 4,648,249
1996年 4,434,255
1995年 4,373,100
1994年 4,370,900
1993年 4,711,500
1992年 5,098,500

アゼルバイジャンの羊飼養数推移は同国の農業と経済、そして社会的背景を反映しています。1992年に5,098,500匹だった羊の飼養数は、1994年には4,370,900匹まで減少しました。この時期の減少は、ソビエト連邦の崩壊後に訪れた経済的混乱や農業インフラの再構築に伴うものであると考えられます。内陸国であるアゼルバイジャンにとって、畜産業は重要な産業の一つであり、羊飼養数は特に地方経済の活力を示す指標として意味を持っています。

2000年代以降、羊飼養数は回復基調にありました。特に2000年から2015年にかけては、政府による農業支援政策や農村地域の経済振興策が効果を発揮したためと考えられます。この間、2003年に6,392,462匹、2010年に7,871,193匹と顕著な増加を見せ、2015年にはとうとう8,025,608匹に達しました。この成長は、地域の食料安全保障の観点からもカギとなる重要な進展でした。主要な輸出品として羊肉や羊毛の収益が増え、地方経済の強化と輸出収入の向上に貢献しました。

しかしながら、2016年以降、再び減少傾向が認められます。特に2020年以降の減少が目立ち、2022年には7,170,828匹となり、2015年のピーク時に比べ約11%減少しました。この要因の一つとして、新型コロナウイルスの流行が挙げられます。パンデミックにより輸送や販売が制限され、生産および流通の経済的負担が増した結果、畜産業全体への影響が波及しました。また、地域情勢として、ナゴルノ・カラバフ地域における紛争が貴重な牧草地の利用に影響を及ぼした可能性も否定できません。

さらに気候変動も一因と考えられます。アゼルバイジャンは近年乾燥化が進行しており、放牧に必要な水資源や牧草地の減少が問題となっています。他国の状況と比較すると、例えば中国やインドでは同様の人口増加と経済成長に比例した畜産業の拡大が続いており、アゼルバイジャンの減少は相対的に顕著な課題として浮き彫りになっています。

今後の政策課題として、まずは気候変動に適応した農業技術の導入が挙げられます。持続可能な放牧管理システムや水資源の効率的な利用技術を導入することで、牧草地の維持と生産性向上を図る必要があります。また、ナゴルノ・カラバフ地域など、地政学的リスクに直面する地域へ政策的支援を強化することも重要です。和平の推進やインフラ整備により、これらの地域の牧草利用を活性化させるべきです。

流通面の改善も忘れてはなりません。コロナ禍で浮き彫りになったように、地域内外の市場へのアクセス強化は羊飼養数を回復させ、持続可能な産業基盤を構築する鍵となります。これには輸送インフラの改善、農家へのデジタル解決策の提供などが含まれます。

結論として、アゼルバイジャンの羊飼養数の減少は多様な要因によるものですが、適切な政策の設計と実行があれば、再び増加させる余地は十分にあると考えられます。特に国内外の市場ニーズを適切に把握し、安全な牧草地の管理や国際輸出戦略を進めることで、同国の畜産業はさらに発展する可能性を秘めています。国際機関の支援を受けながら地域間協力を進め、気候変動にも対応できる持続的な仕組みを構築することが求められます。