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エルサルバドルの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エルサルバドルの羊飼養数は1961年に4,000匹でスタートし、その後50年以上の間に一定の増減を経て、2022年には5,644匹に達しました。この推移を見ると、2000年以降は横ばいの状態が長く続きましたが、2011年以降は年間約50-60匹程度の増加傾向が見られています。全体的にみると、エルサルバドルの羊飼養数は緩やかに増加しているという特徴があります。

年度 飼養数(匹)
2022年 5,644
2021年 5,604
2020年 5,565
2019年 5,515
2018年 5,481
2017年 5,450
2016年 5,419
2015年 5,388
2014年 5,350
2013年 5,300
2012年 5,300
2011年 5,250
2010年 5,100
2009年 5,100
2008年 5,100
2007年 5,100
2006年 5,100
2005年 5,100
2004年 5,100
2003年 5,100
2002年 5,100
2001年 5,100
2000年 5,100
1999年 5,200
1998年 5,200
1997年 5,200
1996年 5,200
1995年 5,200
1994年 5,200
1993年 5,150
1992年 5,100
1991年 5,000
1990年 4,900
1989年 4,800
1988年 4,700
1987年 4,600
1986年 4,500
1985年 4,400
1984年 4,250
1983年 4,200
1982年 4,100
1981年 4,000
1980年 4,000
1979年 4,000
1978年 4,000
1977年 4,400
1976年 4,200
1975年 4,000
1974年 3,953
1973年 3,953
1972年 3,953
1971年 3,953
1970年 4,000
1969年 4,000
1968年 4,000
1967年 4,000
1966年 4,000
1965年 4,000
1964年 4,000
1963年 4,000
1962年 4,000
1961年 4,000

エルサルバドルの羊飼養数のデータからは、農業および畜産業における独特の構造が浮き彫りになります。この中米の国では1961年から1970年代後半まで、羊の飼養数はほぼ一定の4,000匹を維持していました。しかし、1980年代に入るとわずかではありますが緩やかな増加傾向が見られ、1990年代には年間約100匹ずつの増加が続きました。ただし2000年以降は再び一定の状態に戻り、5,100匹近辺で横ばいが続きました。

2011年以降から明確な増加傾向が顕著となり、2022年には過去最高となる5,644匹を記録しています。この増加は、地元の畜産業が需要に応じた供給能力を徐々に強化した結果ととらえることができます。一方で、この増加が持続可能であるかどうかは慎重に評価する必要があります。羊の飼養数は経済政策、環境条件、地元市場の需要、さらには輸出機会の影響を受けやすいからです。

エルサルバドルは農耕地が限られており、同時に密集した人口から農地の競争も激しいため、飼養可能な土地に制約がある点が課題となります。また、過去の内戦(1980年代のエルサルバドル内戦)や気候変動の影響で、持続的な農業施策を実施するのは一筋縄ではいきませんでした。特に、気温や降水量の変化は放牧や農地の利用に直接的な影響を及ぼします。

さらに、他国と比較した場合、エルサルバドルの羊飼養数は非常に小規模であることが分かります。例えば、羊の飼養が盛んな国である中国やオーストラリアではその数が億の単位に達しています。一方、日本では羊は主に観光系農業や特定地域のニッチな農業分野で利用されており、飼養数は数万匹程度にとどまります。エルサルバドルの数千匹という規模感は、経済と農業の活用の違いを物語っているといえるでしょう。

未来の課題としては、地球規模で進行する気候変動への対応、そして畜産業全体における生産性の向上が挙げられます。限られた土地資源の中で羊の飼養数を増やし品質を維持するには、効率的な放牧技術および飼料生産の向上が不可欠です。さらに、地域市場を超えた輸出機会を見据えた経済政策も重要になります。

結論として、エルサルバドルの羊飼養業はこれまでさまざまな課題を乗り越えながら、緩やかな成長を遂げてきました。しかし、将来の安定した発展には、気候変動対応型農業への移行、農地競争を見据えた土地資源の管理、さらには輸出市場の開拓など具体的なアプローチが求められます。国際連合食糧農業機関や地域間の協力体制を活かしながら、技術革新や持続可能な農業政策を導入することが成功の鍵となるでしょう。