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タンザニア連合共和国の羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、タンザニア連合共和国の羊飼養数は1961年の約298万匹から始まり、長期的に変動を経ながら2022年には約622万匹に増加しました。データには特定の時期における急増や急減が見られます。特に2011年から2014年にかけて顕著な急増が記録され、2015年以降には減少期を迎えたのち、2020年から2022年は緩やかな回復傾向が観察されています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 9,373,407
50.55% ↑
2022年 6,226,177
1.52% ↑
2021年 6,133,247
1.54% ↑
2020年 6,040,316
1.34% ↑
2019年 5,960,711
17.76% ↑
2018年 5,061,623
-3.36% ↓
2017年 5,237,836
-7.01% ↓
2016年 5,632,685
-8.68% ↓
2015年 6,168,295
-29.11% ↓
2014年 8,701,000
13.65% ↑
2013年 7,656,250
9.38% ↑
2012年 7,000,000
9.38% ↑
2011年 6,400,000
78.14% ↑
2010年 3,592,700
-0.2% ↓
2009年 3,600,000 -
2008年 3,600,000 -
2007年 3,600,000
2.86% ↑
2006年 3,500,000 -
2005年 3,500,000 -
2004年 3,500,000
-11.29% ↓
2003年 3,945,256
12.26% ↑
2002年 3,514,439
0.19% ↑
2001年 3,507,774
0.19% ↑
2000年 3,501,233
0.36% ↑
1999年 3,488,530
-1.73% ↓
1998年 3,550,020
-0.03% ↓
1997年 3,551,250
-0.03% ↓
1996年 3,552,380
1.7% ↑
1995年 3,493,030
-1.72% ↓
1994年 3,554,310
-0.02% ↓
1993年 3,555,130
-0.02% ↓
1992年 3,555,800
-0.02% ↓
1991年 3,556,462
-0.01% ↓
1990年 3,556,985
0.46% ↑
1989年 3,540,756
0.42% ↑
1988年 3,525,802
0.39% ↑
1987年 3,512,000
0.36% ↑
1986年 3,499,234
0.34% ↑
1985年 3,487,408
13.22% ↑
1984年 3,080,147
-21.37% ↓
1983年 3,917,147
1.9% ↑
1982年 3,844,110
1.9% ↑
1981年 3,772,435
-0.06% ↓
1980年 3,774,800
1.58% ↑
1979年 3,716,000
2.04% ↑
1978年 3,641,700
2.04% ↑
1977年 3,568,900
2.04% ↑
1976年 3,497,500
2.04% ↑
1975年 3,427,600
2.04% ↑
1974年 3,359,000
2.04% ↑
1973年 3,291,800
16.73% ↑
1972年 2,820,000
-0.07% ↓
1971年 2,822,000
-0.04% ↓
1970年 2,823,000
-0.07% ↓
1969年 2,825,000
-0.11% ↓
1968年 2,828,000
-0.14% ↓
1967年 2,832,000
-0.25% ↓
1966年 2,839,000
-0.25% ↓
1965年 2,846,000
4.4% ↑
1964年 2,726,000
-9.13% ↓
1963年 3,000,000
-2.6% ↓
1962年 3,080,000
3.15% ↑
1961年 2,986,000 -

タンザニア連合共和国における羊飼養は、農業部門と並び重要な産業の一つであり、地域社会の生計維持、農村経済の安定、さらには食料安全保障の分野へも直接的な貢献をしています。本データは、1961年から2022年までの羊飼養数推移を示しており、タンザニアの畜産業の発展や課題を読み解く重要な手がかりを提供しています。

具体的には、1960年代は羊の飼養数が300万匹前後にとどまる状況が続きましたが、1973年以降は飼養数が徐々に増加の傾向を示しました。その後、1970年代から1980年代にかけて、比較的安定した成長を遂げたものの、1984年の急激な減少が注目されます。この時期には干ばつや疾病の流行、生態系の変化が影響を及ぼした可能性があります。1990年代以降は、全体的に飼養数は横ばいの傾向にありました。しかし、2011年以降に約1.7倍もの急増が記録され、2014年には870万匹を超えるピークに達しました。この急激な増加要因には、農村開発政策の強化や畜産技術の普及、外貨獲得のための羊毛や肉の輸出促進が関連していると考えられます。

一方で、2015年以降は再び減少が見られます。この背景には、2014年からのエルニーニョ現象による気候変動の影響や、羊特有の病気の流行、そして土地利用の競争が含まれている可能性があります。2019年からは緩やかに回復し、2022年には再び620万匹以上に達していますが、2014年のピークには遠く及ばない状況です。このような変動は、地理的条件や気候変動、国内外の需要変化、さらには政策による支援の有無が複雑に絡み合っていることを示唆しています。

また、他国との比較が示す通り、タンザニアは羊の飼養数で世界的なリーダーとなるわけではありませんが、サブサハラアフリカ諸国の中では重要な位置を占めています。たとえば、人口で約1.3億人を有する隣国エチオピアでは、羊の飼養数はタンザニアを大きく上回る約2500万匹とされています。これに対して、アグリビジネスの多角化や畜産業の現代化という課題が、タンザニアにとって未だ大きな機会であることがわかります。

今後の持続可能な発展のためには、いくつかの対策が必要です。まず、気候変動に対応した灌漑インフラや牧草地管理の強化が鍵となります。また、畜産物に関する疫病対策を国際的に協力しながら徹底する取り組みも重要です。さらに、羊から得られる製品(羊毛、肉、乳製品)について付加価値を高めた加工産業の促進が、国内経済の発展と輸出収益の増加に寄与するでしょう。これに加え、若年層の雇用創出にもつながる畜産関連分野の人材育成政策が期待されます。そして、農地と牧地の適切な分配を進め、牧畜と耕作農業の間で持続可能な共生を図ることも欠かせません。

結論として、タンザニアにおける羊飼養数推移は経済的、環境的、社会的な要因を反映した複雑な課題と可能性を孕んでいます。このデータから示唆されるように、持続可能性を重視した政策の策定と実行が、同国の羊畜産業の発展、さらには食料安全保障の強化に不可欠です。特に国際的な支援や農業研究機関との連携による技術革新が進めば、タンザニアは羊産業を基盤とした新たな成長と繁栄を迎える可能性があります。