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エリトリアの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表したエリトリアの羊飼養数データによると、1993年の約151万匹から2022年には約246万匹へと、約63%の増加が見られます。この間、特に1997年から1998年にかけて大幅な増加があり、その後もおおむね緩やかな増加が続いていることが分かります。しかし、2002年や2019年には一部減少が見られるなど、一貫した成長ではない点も特徴的です。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 2,475,388
0.54% ↑
2022年 2,462,123
0.99% ↑
2021年 2,438,025
1.15% ↑
2020年 2,410,337
1.28% ↑
2019年 2,379,766
-1.35% ↓
2018年 2,412,294
1.57% ↑
2017年 2,374,936
1.49% ↑
2016年 2,339,978
1.36% ↑
2015年 2,308,548
0.81% ↑
2014年 2,290,000
-0.43% ↓
2013年 2,300,000
0.66% ↑
2012年 2,285,000
0.18% ↑
2011年 2,281,000
0.42% ↑
2010年 2,271,560
0.5% ↑
2009年 2,260,253
0.5% ↑
2008年 2,249,008
0.54% ↑
2007年 2,237,000
2.61% ↑
2006年 2,180,000
3.81% ↑
2005年 2,100,000 -
2004年 2,100,000 -
2003年 2,100,000
5% ↑
2002年 2,000,000
-6.98% ↓
2001年 2,150,000 -
2000年 2,150,000
7.5% ↑
1999年 2,000,000
-6.06% ↓
1998年 2,128,944
29.03% ↑
1997年 1,650,000
7.14% ↑
1996年 1,540,000
0.65% ↑
1995年 1,530,000
0.66% ↑
1994年 1,520,000
0.66% ↑
1993年 1,510,000 -

エリトリアはアフリカの北東部に位置し、紅海に面した地理的条件を持つ国です。この地理的特徴や主に半乾燥気候の影響を受け、農業が経済と生活の基盤の重要な部分を構成しています。その中でも、羊の飼養はエリトリアの畜産業における中心的役割を果たしており、食糧、収入源、生活資源として地元の多くの人々の生活を支えています。

データを見ると、エリトリアの羊飼養数は1993年から2022年までの約30年間で約151万匹から246万匹に増加しました。この成長は主に幾つかの要因に起因しています。一つには、地方経済での畜産業の重要性が増していることが挙げられます。畜産は直接的な食糧供給だけでなく、農村部での持続可能な生計手段としての役割を果たしており、特に羊の飼育はエリトリアの乾燥地にも適応しやすいという利点があります。

しかし注目すべきは、20世紀後半と21世紀初頭の特定の年で羊飼養数の減少が見られることです。例えば1998年、飼養数は急激に増加しましたが、1999年には少し低下し、その後も2002年や2014年、2019年などで減少傾向が確認されます。これらの変化は、干ばつや土地の劣化、さらには国境紛争などの地政学的リスクや不安定な社会状況が影響している可能性があります。同国は特にエチオピアとの国境紛争の歴史を抱えており、これらの争いが畜産業の生産性に影響を与えた可能性が高いと考えられます。

一方で、20世紀後半からの世界的な食料需要の高まりや、エリトリア政府の農業政策推進によって、羊の飼養数が再び上向きになったことも確認できます。特に2008年以降は安定した増加傾向が続いており、2022年には過去最高となる246万匹に達しています。このような増加の背景には、国内での家畜の需要増加だけでなく、輸出市場の機会拡大や家畜の飼養技術の改善も寄与していると考えられます。

今後の課題としては、厳しい気候条件や土地劣化を克服するための持続可能な開発の推進が挙げられます。例えば、乾燥地帯における放牧の効果的管理や、干ばつに強い草種の導入などの技術的な対策が重要です。また、地政学的リスクを軽減し、地域の安定化を図るため、エリトリア政府および周辺国が協力し合うことで、より安定的な畜産業の発展が見込めます。

さらに、国際的な視点からは、エリトリアの畜産業に焦点を当てた支援政策が重要です。特に、国際連合やNGOが家畜の健康管理や市民の栄養改善に向けたプロジェクトを展開することで、飼養数の持続的増加につなげられるでしょう。最終的には、エリトリアの人々が持続可能な生活を維持し、経済基盤の安定化を図ることが望まれます。