国連の国際連合食糧農業機関(FAO)によると、シリア・アラブ共和国の羊飼養数は、1961年の2,901,000匹から2022年の17,847,163匹へと大幅に増加しました。この増加は波を伴いながら推移し、特に1983年、2007年、2010年、そして現在に至るまで、数値の増減が顕著に見られます。データからは、地政学的シナリオや気候条件による影響が顕著に影響したことがうかがえます。
シリア・アラブ共和国の羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 17,847,163 |
2021年 | 16,783,185 |
2020年 | 16,073,088 |
2019年 | 14,557,655 |
2018年 | 14,052,576 |
2017年 | 13,876,048 |
2016年 | 15,492,808 |
2015年 | 16,719,754 |
2014年 | 17,858,139 |
2013年 | 18,018,686 |
2012年 | 18,062,841 |
2011年 | 18,071,212 |
2010年 | 15,511,000 |
2009年 | 18,336,000 |
2008年 | 19,237,000 |
2007年 | 22,865,400 |
2006年 | 21,380,000 |
2005年 | 19,651,052 |
2004年 | 17,565,000 |
2003年 | 15,292,700 |
2002年 | 13,497,481 |
2001年 | 12,361,800 |
2000年 | 13,505,200 |
1999年 | 13,998,459 |
1998年 | 15,424,717 |
1997年 | 13,829,316 |
1996年 | 13,119,500 |
1995年 | 12,075,000 |
1994年 | 11,256,620 |
1993年 | 10,147,000 |
1992年 | 14,665,086 |
1991年 | 15,193,659 |
1990年 | 14,508,608 |
1989年 | 14,011,000 |
1988年 | 13,691,000 |
1987年 | 12,668,835 |
1986年 | 11,669,000 |
1985年 | 10,993,000 |
1984年 | 12,693,000 |
1983年 | 13,360,000 |
1982年 | 11,403,470 |
1981年 | 10,503,908 |
1980年 | 9,300,720 |
1979年 | 8,129,336 |
1978年 | 7,236,317 |
1977年 | 7,070,006 |
1976年 | 6,489,536 |
1975年 | 5,808,919 |
1974年 | 5,295,441 |
1973年 | 4,839,506 |
1972年 | 5,165,534 |
1971年 | 5,455,353 |
1970年 | 6,045,758 |
1969年 | 6,096,191 |
1968年 | 5,937,921 |
1967年 | 5,735,000 |
1966年 | 5,682,000 |
1965年 | 5,373,000 |
1964年 | 4,753,000 |
1963年 | 3,926,000 |
1962年 | 3,223,000 |
1961年 | 2,901,000 |
シリアの羊飼養数の推移は、農業と畜産における同国の重要性を理解する手掛かりを与えてくれます。データを見ると、1960年代から緩やかに増加してきた羊の飼養数は、1980年代初頭にかけて急速に増加し、1983年には13,360,000匹に達しました。しかし、1984年以降は一時的に減少し、その後も波を伴いながら増減が繰り返されています。特に、1993年に羊の飼養数が10,147,000匹へと大幅に減少していますが、これは気候条件や国内の経済的失速、あるいは環境の変化と関連している可能性があります。
2000年代に入ると、飼養数は再び上昇し、2007年には22,865,400匹というピークに至りました。しかしながら、2008年以降、再び急激な減少が見られ、2010年には15,511,000匹にまで減少しています。これはシリアにおける干ばつの影響や地政学的リスクの高まりが要因と考えられます。その後、内戦が激化した2011年以降も、飼養数は大きな変動を見せていますが、2022年には17,847,163匹と、若干の回復が見られました。
このデータから見られるのは、シリアにおける羊の飼養数が単に国内の農業活動や畜産業に依存しているだけではなく、政治や経済状況、さらに自然災害や気候変動などの外的要因にも大きく左右されていることです。特に1993年の急減や2010年代の不安定な動向は、干ばつや内戦などの外的な環境要因に加え、畜産業への支援体制の欠如など、国内の社会的・政治的要素が相互に影響していることを示しています。
この状況を踏まえると、シリアにおける課題として、安定した家畜飼育環境の整備、干ばつ対策としての水資源管理の向上、さらには地政学的リスクに対応するための農村地域への技術的・経済的支援が挙げられます。また、気候変動による自然災害の可能性が高まる中で、持続可能な畜産の取り組みを導入することが求められます。たとえば、牧草地の適正な管理や、家畜の健康管理を目的とした技術普及活動が、その解決策となり得るでしょう。
さらに、国際社会との連携も鍵となります。国連を含む国際機関が協力し、シリアの畜産業振興のための資金援助や、内戦などの影響を最小限に抑える政策提言を行うことで、全体的な復興を目指すことができます。これにより、シリアの農村地帯での生活基盤が安定し、羊の飼養数だけでなく全体的な食糧安全保障が改善される可能性があります。
結論として、このデータが示すシリアの羊飼養数の推移は、単なる統計ではなく、国家の農業・畜産産業の過去、現在、未来を映し出した重要な指標です。中長期的な課題解決に向けた政策や戦略を具体化することで、シリアは持続可能な農業基盤の構築を実現し、地域経済の安定化を図ることができると言えるでしょう。