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バハマの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、バハマの羊飼養数は1961年には22,000匹であったのに対し、その後、長期的には減少傾向にありました。1970年代以降急激に減少し、2000年代に入ると約6,500匹前後で安定しました。2022年には6,605匹となり、過去数十年の減少トレンドは一段落しています。このデータには、食料供給や牧畜業の発展状況、さらには土地利用や生態系の変化が反映されています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 6,603
-0.03% ↓
2022年 6,605
0.11% ↑
2021年 6,598
0.11% ↑
2020年 6,591
0.17% ↑
2019年 6,580
0.32% ↑
2018年 6,559
-0.09% ↓
2017年 6,565
-0.38% ↓
2016年 6,590
-0.36% ↓
2015年 6,614
0.21% ↑
2014年 6,600 -
2013年 6,600 -
2012年 6,600
1.54% ↑
2011年 6,500 -
2010年 6,500 -
2009年 6,500 -
2008年 6,500 -
2007年 6,500 -
2006年 6,500 -
2005年 6,500 -
2004年 6,500
0.78% ↑
2003年 6,450
7.5% ↑
2002年 6,000
-6.51% ↓
2001年 6,418
2% ↑
2000年 6,292
11.26% ↑
1999年 5,655
-8.05% ↓
1998年 6,150 -
1997年 6,150
0.41% ↑
1996年 6,125
-5.77% ↓
1995年 6,500
3.31% ↑
1994年 6,292
-3.2% ↓
1993年 6,500
-2.99% ↓
1992年 6,700
-4.29% ↓
1991年 7,000
-2.78% ↓
1990年 7,200
-4% ↓
1989年 7,500 -
1988年 7,500 -
1987年 7,500
-6.25% ↓
1986年 8,000 -
1985年 8,000
-5.88% ↓
1984年 8,500
-5.56% ↓
1983年 9,000
-5.26% ↓
1982年 9,500
-5% ↓
1981年 10,000
-4.76% ↓
1980年 10,500 -
1979年 10,500
-4.07% ↓
1978年 10,945
-8.79% ↓
1977年 12,000
-7.69% ↓
1976年 13,000
-7.14% ↓
1975年 14,000
-6.67% ↓
1974年 15,000
-6.25% ↓
1973年 16,000
-11.11% ↓
1972年 18,000
-5.26% ↓
1971年 19,000
-5% ↓
1970年 20,000 -
1969年 20,000
-9.09% ↓
1968年 22,000
-4.76% ↓
1967年 23,100
0.87% ↑
1966年 22,900
0.44% ↑
1965年 22,800
-0.87% ↓
1964年 23,000
4.55% ↑
1963年 22,000 -
1962年 22,000 -
1961年 22,000 -

バハマの羊飼養数の推移を詳しく見ると、1961年から1970年代半ばにかけて、22,000匹前後で比較的安定していましたが、その後は大幅に減少しています。1970年代には急激な減少が見られ、この時期には羊飼養数が半分以下にまで落ち込みました。20世紀の終わりには約7,000匹前後となり、21世紀に入ると6,500匹を中心として横ばいになっています。この背景には、土地利用の変化、農業従事者の減少、消費者の食生活の変化など、さまざまな要因が影響を及ぼしたと考えられます。

バハマでの羊飼養数は、国内市場向けの利用が主とされており、国際的な競争力は限定的です。特に1970年代以降の減少には、観光業の発展による土地用途のシフトが関連している可能性があります。バハマでは観光が経済の主要産業となっており、そのため牧畜用地が観光開発用地に変わったことで、羊の飼育が縮小したと見られます。また、世界的に畜産物の国際競争力が問われる中、輸入品との競争が激化している点も無視できません。

一方で、2000年代以降、羊飼養数が安定しているのは、土地や資源の制約の中で小規模農業としての役割が固定化されたためと推測されます。このような状態は決して理想的とはいえず、もし地元の畜産業の自給能力を高めたいのであれば、政策的な介入が必要です。

未来への課題として挙げられるのは、気候変動や自然災害の影響です。特にバハマのような島嶼国では、ハリケーンや海面上昇などが生態系や農業に大きな影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクに備えるため、飼料生産や家畜の保全を支援する新しい農業技術の導入が求められています。また、地域の需要に即した羊肉や羊毛製品のブランド化を通じて付加価値を高め、市場での競争力を強化する試みも重要です。

具体的な施策としては、小規模農家への技術研修や資金援助を通じて生産性を向上させることが考えられます。加えて、地域間の協力を進めることで、輸入依存の課題を緩和する手段も模索できます。他国の例を見ると、例えばニュージーランドでは牧畜業務をクリーンエネルギーや観光と結びつけることで相乗効果を生み出していますが、バハマでも同様の取り組みを展開する可能性があります。

地政学的背景として、輸入に依存する畜産製品の供給網が、世界的な物流の混乱や政治的リスクに晒される点も留意すべきです。このような不確実性に対応するためには、国内自給率の向上を図ることが長期的な安定につながります。

結論として、バハマの羊飼養数は直近の数十年間では減少から横ばいへと推移していますが、その背景には農業政策の不備や観光業優先の土地利用変化が存在します。将来の課題に対応するには、農業分野における革新と持続可能な土地利用計画の策定が不可欠です。国際社会の支援や地域協力のもと、バハマの牧畜業もより競争力を持つ分野へ成長させることが期待されます。