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フランス領ポリネシアの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2022年におけるフランス領ポリネシアの羊飼養数は441匹と報告されています。過去数十年を通して、1960年代には約4,800匹を記録するなど比較的高い飼養数を維持していた一方で、1980年代に急激な減少を経験し、その後1990年代から安定的な水準へと移行しています。特に21世紀に入ってからは、ほぼ一定の水準で推移しています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 444
0.68% ↑
2022年 441 -
2021年 441 -
2020年 441 -
2019年 441
0.23% ↑
2018年 440 -
2017年 440 -
2016年 440 -
2015年 440 -
2014年 440 -
2013年 440 -
2012年 440 -
2011年 440 -
2010年 440 -
2009年 440 -
2008年 440 -
2007年 440 -
2006年 440 -
2005年 440 -
2004年 440 -
2003年 440 -
2002年 440 -
2001年 440 -
2000年 440 -
1999年 440
4.76% ↑
1998年 420 -
1997年 420 -
1996年 420 -
1995年 420
5% ↑
1994年 400
5.26% ↑
1993年 380
8.57% ↑
1992年 350
9.38% ↑
1991年 320
6.67% ↑
1990年 300 -
1989年 300 -
1988年 300
1.01% ↑
1987年 297 -
1986年 297
-46.96% ↓
1985年 560
-37.08% ↓
1984年 890
-27.05% ↓
1983年 1,220
-23.75% ↓
1982年 1,600
-20% ↓
1981年 2,000
-4.76% ↓
1980年 2,100
-4.55% ↓
1979年 2,200
-4.35% ↓
1978年 2,300
-4.17% ↓
1977年 2,400
-4% ↓
1976年 2,500
-3.85% ↓
1975年 2,600
-3.7% ↓
1974年 2,700
-3.57% ↓
1973年 2,800
-3.45% ↓
1972年 2,900
-3.33% ↓
1971年 3,000
-3.23% ↓
1970年 3,100
-3.13% ↓
1969年 3,200
-3.03% ↓
1968年 3,300 -
1967年 3,300
-5.71% ↓
1966年 3,500 -
1965年 3,500
-6.67% ↓
1964年 3,750
-8.54% ↓
1963年 4,100
-4.65% ↓
1962年 4,300
-11.49% ↓
1961年 4,858 -

フランス領ポリネシアにおける羊飼養数のデータを見ると、過去約60年間で大きな変動があったことがわかります。1961年には4,858匹と高い水準でしたが、その後減少を続け、1980年代には急激な減少を伴い、1986年にはわずか297匹まで落ち込みました。これ以降、1990年代から徐々に回復し、420匹から440匹付近で長期間安定しています。2022年時点では441匹と、近年ほぼ変動のない状態が続いています。

このような変動の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、フランス領ポリネシアが南太平洋に位置する島嶼地域であり、土地資源や牧草地といった畜産業に必要な自然条件が限定的であることが挙げられます。特に1960年代後半から1980年代にかけては、急速な都市化や土地利用の変化が進み、羊の飼養に適した土地が減少した可能性があります。また、1980年代の極端な減少は、疫病や自然災害といった突発的な外部要因が影響を及ぼした可能性も指摘されています。

一方で、1990年代以降の安定的な飼養数は、地域政府や関係組織が持続可能な畜産管理の仕組みを構築した結果と考えられます。しかしながら、この安定性に甘んじることなく、さらに改善余地があると言えるでしょう。たとえば、食料自給率向上を目指し、羊飼養数の適切な増加を目指す取り組みが求められるかもしれません。これには、最新の飼育技術や持続可能な農牧業の導入、さらには地域特有の生態系を踏まえた適切な土地利用計画が重要です。

また、地政学的な側面も注目すべき要素です。フランス領ポリネシアは輸入依存度が高い地域であり、世界情勢の変動による食料安定供給リスクが存在します。このため、羊を含む家畜飼養は、地域の安定的な栄養源確保の一助として開発が進められるべきです。特に新型コロナウイルスの流行以降、輸入物流の停滞や国際貿易依存のリスクが改めて認識された今、自給自足率の向上はますます重要な課題となっています。

さらに、持続可能性を追求するためには、地域社会と連携したプロジェクトの推進も欠かせません。たとえば、地域住民や農業団体と連携し、小規模ながらも効果的な羊の生産システムを育成することが考えられます。さらに、これに付随して羊毛や羊肉といった関連産業の発展も視野に入れれば、地域経済の発展にも寄与する可能性があります。

結論として、フランス領ポリネシアの羊飼養数の推移は、人口増加や資源制約といった地域的・地政学的要因を反映したものと言えます。これを踏まえた上で、今後は単なる現状維持ではない、新たな畜産戦略の策定が重要となります。国際機関や地域政府は、環境への負荷を抑えつつ、より効率的な羊の飼養方法を提案し、これを支えるための技術支援や資金援助を行うことが期待されます。持続可能な羊飼養体制の構築は、地域全体の食糧安全保障や農業経済の強化にも大きく貢献する可能性があります。