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モルドバ共和国の羊飼養数推移(1961-2022)

1992年に約123万9300匹の羊が飼養されていたモルドバ共和国では、その後1995年に141万匹を超えるピークを迎えました。しかし、以降のデータでは羊の飼養数は全体的に減少傾向を示しており、2022年には約43万3800匹と大幅に減少しました。この推移は国内外の経済状況や農業政策、社会情勢の変化を反映している可能性があります。

年度 飼養数(匹)
2022年 433,800
2021年 474,400
2020年 676,865
2019年 613,440
2018年 679,149
2017年 710,567
2016年 553,442
2015年 569,075
2014年 729,829
2013年 695,093
2012年 709,888
2011年 787,885
2010年 803,747
2009年 761,917
2008年 753,903
2007年 835,077
2006年 818,316
2005年 822,845
2004年 817,128
2003年 830,000
2002年 834,870
2001年 829,705
2000年 930,229
1999年 1,026,000
1998年 1,115,000
1997年 1,248,000
1996年 1,301,000
1995年 1,410,887
1994年 1,366,230
1993年 1,294,296
1992年 1,239,300

モルドバ共和国の羊飼養数の推移に関するデータは、同国の農業経済や社会的背景を理解する上で重要な指標となります。モルドバは主に農業に依存する経済体制を有しており、羊は伝統的に同国の畜産業において重要な位置を占めてきました。このデータは、国際連合食糧農業機関(FAO)が提供したもので、毎年の羊飼養数を記録しています。

1992年から1995年にかけて、モルドバの羊飼養数は増加し、1995年には141万匹を超えるピークに達しました。この増加は、ソビエト連邦崩壊後の初期段階にあり、農業への依存が高まった時期に対応しています。しかしその後、飼養数は減少に転じ、2000年代に入ると減少速度が緩やかになる一方で、依然として右肩下がりを続けています。

この減少の背景として、いくつかの要因を挙げることができます。まず第一に、農業従事者の労働人口の減少と都市部への人口流出が挙げられます。若い世代が農村部を離れ都市部や国外でのより良い経済機会を求めて移住した結果、伝統的な畜産業への労働力が不足しています。また、モルドバの農業政策の転換や市場経済への移行に伴って、小規模畜産農家が困難に直面したことも要因の一つです。国際市場との競争の激化や飼料コストの上昇も、飼養数減少に拍車をかけたと考えられます。

2012年以降、飼養数の推移はさらに深刻な減少を見せています。2015年には約57万匹にまで落ち込み、2021年以降は特に大きな減少幅が見られています。2022年には約43万匹と、1992年の約3分の1まで減少しました。この急激な変動の一因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが挙げられるでしょう。パンデミック期間中、サプライチェーンの混乱や農畜産物の需要変動が生じ、生産者に直接的な影響を与えたことが推察されます。

また地政学的リスクも無視できない要素です。モルドバはウクライナと国境を接する地理的位置にあり、近年の地域的な緊張や紛争が農業生産や物流、経済全体に悪影響を及ぼしている可能性があります。このような背景の中、羊飼養数の急激な減少はモルドバ国内だけでなく、周辺地域との関係性を考える上でも重要な兆候と言えるでしょう。

今後の課題として、地方の畜産業をいかに維持し、回復させるかが挙げられます。具体的には、小規模農家を支援するための国際的な協力や資金援助が必要です。例えば、低利子農業ローンの提供や飼料価格の安定化政策、また近代的な畜産技術導入のための教育・訓練プログラムの充実が挙げられます。また、農村部への経済的誘因を提供して若い労働力を確保することも重要です。さらに、地域間協力の枠組みを強化し、周辺国との連携を深めることで、影響を緩和することができます。

結論として、モルドバ共和国の羊飼養数の減少は、経済、社会、地政学的な多様な問題に起因しています。この問題を解決するためには、国内政策の強化のみならず、国際的な支援や地域的な協力が欠かせません。また、データを定期的にモニタリングし、新たな問題に柔軟に対処する姿勢が求められます。これらの取り組みが実を結ぶことで、モルドバの持続可能な農業及び社会の未来が構築されることを期待します。