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アフガニスタンの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、アフガニスタンにおける羊の飼養数は、1960年代から2022年にかけて大きく変動しています。過去の最盛期には飼養数が2,000万匹を超えていたものの、内戦や干ばつといった混乱の影響で大幅な減少を経験しています。ここ数十年、飼養数は回復基調にあるものの、依然として全盛期には届かない状況が続いています。

年度 飼養数(匹)
2022年 12,500,000
2021年 12,700,000
2020年 12,817,638
2019年 13,000,000
2018年 13,449,733
2017年 13,866,000
2016年 13,265,200
2015年 13,218,000
2014年 13,485,000
2013年 13,141,000
2012年 13,820,000
2011年 14,262,000
2010年 13,286,000
2009年 12,287,000
2008年 10,710,000
2007年 8,105,000
2006年 9,259,000
2005年 10,773,000
2004年 10,136,000
2003年 9,074,000
2002年 8,773,000
2001年 13,955,000
2000年 15,000,000
1999年 17,690,422
1998年 16,251,608
1997年 15,110,000
1996年 13,965,000
1995年 12,568,186
1994年 13,000,000
1993年 13,000,000
1992年 13,500,000
1991年 14,200,000
1990年 14,170,000
1989年 14,150,000
1988年 14,150,000
1987年 12,000,000
1986年 10,500,000
1985年 13,600,000
1984年 14,900,000
1983年 16,900,000
1982年 18,900,000
1981年 18,900,000
1980年 18,700,000
1979年 18,400,000
1978年 19,075,008
1977年 20,244,000
1976年 21,200,000
1975年 20,417,008
1974年 18,000,000
1973年 16,000,000
1972年 12,840,000
1971年 21,400,000
1970年 21,500,000
1969年 21,490,000
1968年 21,455,008
1967年 20,600,000
1966年 20,600,000
1965年 19,600,000
1964年 19,000,000
1963年 18,500,000
1962年 18,150,000
1961年 18,000,000

アフガニスタンは、その地理的特徴と文化的背景から、昔から羊の飼養が盛んな国のひとつとして知られています。羊は同国の食生活や衣料産業、さらに輸出品としても経済に大きな役割を果たしています。FAOのデータを基にその飼養数の変遷を見ると、特に1960年代から1970年代前半には大きな増加が見られ、1968年には約2,145万匹という過去最高値を記録しました。しかし、それ以降の動向には国内外の要因による影響が強く表れています。

1971年に飼養数は2,140万匹に達していましたが、1972年には1,284万匹と急減しました。この大幅な減少の要因としては、この期間の干ばつの発生が挙げられます。この事象は草地の枯渇を招き、羊の飼養に苦境をもたらしました。また、1970年代後半から1980年代にかけては、アフガニスタン国内の政情不安とソビエト連邦の介入による長期化した紛争が農牧業基盤に甚大な影響を与えました。その後も紛争は続き、1990年代から2000年代初頭にかけて羊の飼養数は低迷し、2002年には877万匹と最も低い水準にまで落ち込んでいます。

その後、国際社会の援助が進むにつれて飼養数はゆっくりと増加に転じましたが、依然として楽観視できない状況です。2022年の時点で飼養数は1,250万匹にとどまり、1960年代の水準にさえ戻っていません。この背景には紛争や治安悪化といった地政学的リスクのほか、気候変動による生態系の変化が影響を及ぼしている可能性があります。特に、干ばつや洪水といった気象的な問題は、家畜飼養の基盤である草地の管理や水資源の確保を難しくしています。

アフガニスタンにおける羊飼養の動向は、地域の安定性と食料安全保障に直接的に関連する重要な指標です。これを支えるためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。まず、気候変動への適応可能な牧草地管理や灌漑施設の導入を推進し、草地の回復力を高めることが重要です。また、国際社会および地域パートナーとの協力を強化し、治安の維持を通じて農牧業活動の安定化を図ることが求められます。さらに、農牧業従事者への技術支援や教育を提供することで、家畜の健康管理や生産性向上の基盤を築くことも重要です。

特に、気候リスクを軽減するための灌漑インフラ整備が鍵となります。これは干ばつや洪水に強い農業を実現するための重要なステップです。また、このようなインフラは農村経済の活性化にも寄与します。そして、地政学的リスクの影響を受けにくい牧畜制度をつくるためには、国際機関による長期的な介入が欠かせません。

結論として、アフガニスタンにおける羊飼養数の推移は、同国の社会経済情勢や気候、さらには地政学的な問題を反映しています。一時的な改善だけでなく、持続可能な牧畜制度の確立が急務です。国際社会は変動する状況に即応し、技術的支援や財政的支援を継続的に提供していくべきです。このような支援が実現されれば、アフガニスタンは再び安定的な羊牧畜の基盤を取り戻し、地域全体の食料と経済の安定に寄与することが期待されます。