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チュニジアの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、チュニジアにおける羊飼養数は1961年の約511.6万匹から、2022年には約619.6万匹となっています。この期間中、最大値は2007年の約761.8万匹、最小値は1968年の約452万匹でした。このデータから、羊飼養数は長期間にわたり増加傾向を示しましたが、近年では減少傾向が見られます。

年度 飼養数(匹)
2022年 6,195,681
2021年 6,268,035
2020年 6,408,658
2019年 6,520,120
2018年 6,470,000
2017年 6,406,100
2016年 6,406,100
2015年 6,485,600
2014年 6,805,700
2013年 6,855,520
2012年 6,802,420
2011年 6,998,630
2010年 7,234,070
2009年 7,361,620
2008年 7,300,940
2007年 7,618,350
2006年 7,483,790
2005年 7,213,390
2004年 6,948,660
2003年 6,613,200
2002年 6,833,000
2001年 6,860,570
2000年 6,926,250
1999年 6,576,200
1998年 6,544,000
1997年 6,292,990
1996年 6,818,000
1995年 6,221,500
1994年 6,137,100
1993年 7,109,830
1992年 6,400,000
1991年 6,290,000
1990年 5,966,300
1989年 5,547,500
1988年 5,580,700
1987年 5,707,000
1986年 5,409,000
1985年 5,846,000
1984年 5,561,000
1983年 5,190,000
1982年 5,104,800
1981年 4,734,000
1980年 4,967,000
1979年 4,251,000
1978年 5,139,800
1977年 6,061,000
1976年 5,978,000
1975年 6,523,000
1974年 6,242,000
1973年 5,968,000
1972年 5,710,000
1971年 5,245,000
1970年 4,750,000
1969年 5,115,000
1968年 4,520,000
1967年 5,200,000
1966年 6,050,000
1965年 5,600,000
1964年 5,600,000
1963年 5,100,000
1962年 4,800,000
1961年 5,116,000

チュニジアにおける羊飼養数のデータは、国家の農業生産、食糧安全保障、さらには経済や社会構造における重要な指標とされています。食肉や乳製品の供給源としてだけでなく、羊は農業従事者の収入源や伝統的な生活文化にも深い関連があります。この半世紀以上のデータを分析すると、気候、政策、経済状況など複合的な要因が羊飼養数の変動に強く影響を与えていることが分かります。

1960年代から1970年代にかけて、飼養数の上下動が目立つ理由の一つは、干ばつなどの気象条件です。特に、1968年には飼養数が一時的に最低値となっていますが、これは当時の気候変動の影響が顕著だったと考えられます。その後、1980年代から1990年代にかけて飼養数が徐々に増加した背景には、農業技術の改善や国内外の需要増加が挙げられます。1993年に約710万匹に達した後も安定的に増加し、2007年には最高記録を更新しています。

一方で、近年のデータを見ると、約2007年以降、飼養数の増加ペースは鈍化し、特に2020年以降は減少傾向にあります。この減少の主な理由としては、気候変動の深刻化による干ばつ被害、家畜の餌に関する資源不足、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による農業従事者の活動制限などが挙げられます。また、2021年から2022年にかけては、約62万匹の減少がみられています。これは食肉需要の低下や輸出入の停滞といった要因が重なった結果とも言えます。

チュニジアの羊飼養産業は、経済的な重要性に加えて、中東・北アフリカ(MENA)地域における地政学的なリスクにも影響を受けます。この地域では水資源や農地を巡る争いが多く、家畜の生産にも影響を及ぼす可能性があります。また、世界的なエネルギー価格の変動や政治的な不安定さも、飼養状況を左右する要因となります。

今後、チュニジアが持続可能な家畜の生産を維持しつつ、経済発展を図るためには、いくつかの具体的な対策が求められます。例えば、気候変動適応策の一環として、干ばつに強い飼料作物の開発や農業用水の効率的な配分施策が挙げられます。また、小規模農家の収入向上のため、国内外での販路拡大を支援する政策の実施が重要です。他国の成功例を参考にすることも有益で、たとえば、オーストラリアやニュージーランドでは、家畜の健康管理および生産性向上のためにデジタル技術が積極的に活用されています。

さらに、国際機関や地域間協力を通じて気候や資源問題への対応を強化することも不可欠です。例えば、アフリカ連合(AU)や国連の枠組みを活用し、持続可能な農業発展を目指した資金援助や技術移転を進めるべきです。

総じて、チュニジアの羊飼養産業は、多様な要因に影響されつつも、農業分野と地域社会に深い貢献を続けています。将来的な課題に適切に対処することで、この重要な産業の発展をさらに促進することが可能です。