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ガンビアの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによれば、ガンビアの羊飼養数は長期間にわたり不安定な推移を見せています。1961年には約8万匹だった飼養数が1970年代から増加傾向を見せ、一時的に20万匹を超える水準に達する年もありましたが、1990年代以降は大幅な減少と増加を繰り返しました。特に2010年代にかけて大きく減少しており、2014年には53,184匹と最低値を記録しました。2022年には再び回復傾向を示し、179,185匹まで増加しています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 170,631
-4.77% ↓
2022年 179,185
0.62% ↑
2021年 178,081
0.62% ↑
2020年 176,984
15.13% ↑
2019年 153,730
18.3% ↑
2018年 129,952
26.18% ↑
2017年 102,991
45.69% ↑
2016年 70,691
28.53% ↑
2015年 55,000
3.41% ↑
2014年 53,184
-51.65% ↓
2013年 110,000
-1.93% ↓
2012年 112,164
-37.69% ↓
2011年 180,000
-28.29% ↓
2010年 251,000
16.74% ↑
2009年 215,000
7.5% ↑
2008年 200,000
9.29% ↑
2007年 183,000
-17.19% ↓
2006年 221,000
2.79% ↑
2005年 215,000
2.87% ↑
2004年 209,000
2.96% ↑
2003年 203,000
39.43% ↑
2002年 145,593
12.66% ↑
2001年 129,232
22.46% ↑
2000年 105,531
-5% ↓
1999年 111,085
-5% ↓
1998年 116,932
-5% ↓
1997年 123,086
-5% ↓
1996年 129,564
-5% ↓
1995年 136,383
-5% ↓
1994年 143,561
-5% ↓
1993年 151,117
-5% ↓
1992年 159,071
-5% ↓
1991年 167,443
38.56% ↑
1990年 120,841
-13.69% ↓
1989年 140,000
-14.28% ↓
1988年 163,329
-9.26% ↓
1987年 180,000 -
1986年 180,000
2.86% ↑
1985年 175,000
29.63% ↑
1984年 135,000
-6.9% ↓
1983年 145,000
2.11% ↑
1982年 142,000
2.16% ↑
1981年 139,000
2.21% ↑
1980年 136,000
2.26% ↑
1979年 133,000
2.31% ↑
1978年 130,000
2.36% ↑
1977年 127,000
2.42% ↑
1976年 124,000
1.64% ↑
1975年 122,000
1.67% ↑
1974年 120,000
1.69% ↑
1973年 118,000
2.16% ↑
1972年 115,500
4.05% ↑
1971年 111,000
3.93% ↑
1970年 106,800
3.99% ↑
1969年 102,700
4.05% ↑
1968年 98,700
4% ↑
1967年 94,900
4.29% ↑
1966年 91,000
33.82% ↑
1965年 68,000
9.68% ↑
1964年 62,000
14.83% ↑
1963年 53,991
-32.68% ↓
1962年 80,204
0.26% ↑
1961年 80,000 -

ガンビアの羊飼養数推移を見ていくと、このデータは同国の農業生産と食糧供給の安定性を測る重要な指標と言えます。1961年の8万匹から1970年には10万匹を超え、その後も増加を続けましたが、1984年以降に見られた急増(175,000匹)や翌年以降の大幅な変動(1989年には140,000匹まで減少)を鑑みると、農業方針や環境条件、さらには経済的要因が大きく影響していると考えられます。

1990年代に入ると、飼養数は1990年の120,841匹や1992年の159,071匹のように不規則な変動が続きました。この時期、ガンビアでは砂漠化や干ばつ、農業生産の低迷といった気候変動の影響が強く現れたことが一因とみられます。さらには、地域の人口増加や都市化に伴う農地減少も羊の飼養数に影響を及ぼした可能性があります。

一方で、2003年から2010年にかけての劇的な増加は非常に注目すべき点です。この期間には203,000匹から251,000匹へと急成長を見せました。この背景には、政府や国際支援機関が農業振興策や畜産支援を行ったことが挙げられるでしょう。しかし、その後の2011年から2014年にかけて再び110,000匹未満まで急減したことで、これらの政策が一貫した成果をもたらしていない可能性が示唆されます。

2015年以降の回復傾向を見ると、2020年代にかけて飼養数が着実に回復しており、2022年には179,185匹まで増加しました。この増加は、農業技術の向上や家畜医療の普及、あるいは気候変動への適応策が功を奏した結果である可能性があります。

飼養数の推移が示す課題として、気候変動の影響、農地の確保、農業技術の持続的な向上が挙げられます。ガンビアでは、降雨パターンの変化や気温上昇による家畜へのストレスが深刻な問題です。また、農業従事者への資金や教育の不足、内外での経済的リスクも課題となっています。

国際協力の観点からは、持続可能な牧草地管理や、水不足解消を支援するための地域間協力が重要です。例えば隣国と協力して家畜用の水供給システムを構築したり、地元農業者に適切な家畜管理ノウハウを伝えるプログラムも効果的でしょう。また、畜産業を支えるための保険制度や金融政策を導入し、予期しないリスクへの備えを可能にすることも課題の解決に寄与すると考えられます。

さらに、地政学的リスクに目を向けると、羊やその他の家畜は地域における貴重な経済資源であるため、紛争や地域の不安定性が羊の増減に重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため、地域の安定と羊飼養数を維持するための平和構築活動が求められます。

ガンビアの羊飼養数の不安定な推移は、過去からの自然条件や社会的・経済的要因を反映しています。今後は、これらの課題を克服し、さらなる増加と安定を達成するための包括的な政策が必要です。それには、気候変動に適応した農業技術や地域全体の協力体制を強化する取り組みも含まれるでしょう。このような対応が実現することで、ガンビアの農業と畜産業は、持続的な成長を遂げることが期待されます。