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ブルネイ ダルサラームの羊飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ブルネイ ダルサラームの羊の飼養数は過去数十年間で大きな増減を見せつつ、近年は安定した増加傾向を示しています。1990年代には大きな変動が見られたものの、2000年代以降は徐々に飼養数が増加し、2022年には4,498匹に達しました。この変動と増加は、国の農業政策や食糧自給の意識向上に深く関係していると考えられます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 4,470
-0.62% ↓
2022年 4,498
2.27% ↑
2021年 4,398
2.37% ↑
2020年 4,296
1.87% ↑
2019年 4,217
-0.4% ↓
2018年 4,234
1.9% ↑
2017年 4,155
1.84% ↑
2016年 4,080
-1.33% ↓
2015年 4,135
3.38% ↑
2014年 4,000 -
2013年 4,000 -
2012年 4,000 -
2011年 4,000
5.26% ↑
2010年 3,800 -
2009年 3,800 -
2008年 3,800 -
2007年 3,800 -
2006年 3,800 -
2005年 3,800
5.56% ↑
2004年 3,600
2.86% ↑
2003年 3,500
9.38% ↑
2002年 3,200
6.67% ↑
2001年 3,000
50% ↑
2000年 2,000
33.33% ↑
1999年 1,500
-40% ↓
1998年 2,500
431.91% ↑
1997年 470
213.33% ↑
1996年 150
-83.33% ↓
1995年 900
650% ↑
1994年 120
-86.67% ↓
1993年 900
20% ↑
1992年 750
525% ↑
1991年 120
100% ↑
1990年 60 -

ブルネイ ダルサラームにおける羊の飼養数は、1990年の60匹から2022年の4,498匹にまで増加し、その推移は非常に興味深いものです。特に1990年代には急激な増減が見られ、1992年に750匹、1998年にはピークの2,500匹を記録した一方で、それ以外の年には数百匹台に減少していました。この不安定な変動は、当時の農業における政策やインフラがまだ十分に整っていなかったこと、農業分野が石油依存経済の影響を受けていたことが要因として挙げられます。

2000年代に入ると、飼養数は一貫して増加し、2010年以降は3,800匹以上で安定した水準を保っています。その後、2015年に4,000匹を超え、2022年には4,498匹に達しました。この増加傾向は、食糧安全保障の向上や自給自足体制の強化を目的とした政策の結果と考えられます。ブルネイ政府は近年、農業の多角化を進めるほか、小規模農家への支援を強化しており、特に家畜分野での発展が顕著となっています。

他国との比較では、例えば日本における羊の飼養数は限られており、消費のほとんどを輸入に依存しています。一方、オーストラリアやニュージーランドなどは世界有数の羊飼養国として立ち位置を築いており、大規模な牧羊業に特化しています。これに比べると、ブルネイの飼養数は依然として小規模ながら、国の規模や浸透している文化的背景を考慮すると、国内需要に見合った成長が遂げられています。

今後の課題として、ブルネイにおいて羊の飼養業が持続可能性を保ちながら成長するための環境整備が挙げられます。限られた土地資源を効率的に活用する必要があることに加え、飼育技術や感染症対策を強化し、品質の向上を図ることが重要です。また、ブルネイは熱帯気候に位置しているため、羊飼育においては気候への適応が求められます。これらの課題を克服するためには他国との技術協力や研究開発が不可欠です。

さらに考慮すべきポイントとして、地政学的なリスクも挙げられます。ブルネイは比較的安定した国として知られていますが、近隣諸国における食糧需要の増加や自然災害の発生が、輸出入の安定性に影響を与える可能性があります。これは羊飼養数の推移にも波及し得る要因であり、地域協力の枠組みを築き、食糧供給ネットワークを確保することが将来的な鍵となるでしょう。

結論として、ブルネイ ダルサラームの羊飼養数の増加は、国内の農業政策の成果を示す好材料です。しかしながら、今後は持続的な成長を支えるための環境整備や技術革新、そして地域間協力の強化が求められます。これにより、ブルネイの食糧自給率が高まり、安定した供給体制を築くことが期待されます。国際機関や各国との連携を深めることは、この課題の解決に大きく寄与することでしょう。