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キューバの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、キューバの羊飼養数は1961年から2022年の間に大きく変動しています。特に1989年から1995年にかけて急激な増減が見られ、その後は全体的に減少傾向が続いています。2022年の飼養数は1,411,800匹で、これはピーク時である1992年の4,392,855匹の約3分の1に減っています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 1,414,807
0.21% ↑
2022年 1,411,800
-2.16% ↓
2021年 1,442,900
-1.05% ↓
2020年 1,458,200
-1% ↓
2019年 1,473,000
0.08% ↑
2018年 1,471,800
-6.09% ↓
2017年 1,567,200
-5.18% ↓
2016年 1,652,900
-2.04% ↓
2015年 1,687,400
-22.36% ↓
2014年 2,173,400
6.8% ↑
2013年 2,035,000
-3.2% ↓
2012年 2,102,300
-1.1% ↓
2011年 2,125,700
-10% ↓
2010年 2,361,900
-8.6% ↓
2009年 2,584,100
-3.4% ↓
2008年 2,675,000
0.83% ↑
2007年 2,653,100
-3.92% ↓
2006年 2,761,300
16.95% ↑
2005年 2,361,000
-2.03% ↓
2004年 2,409,985
-6.6% ↓
2003年 2,580,208
-1.29% ↓
2002年 2,613,894
3.58% ↑
2001年 2,523,600
-1.89% ↓
2000年 2,572,100
25.8% ↑
1999年 2,044,600
30.84% ↑
1998年 1,562,700
-1.81% ↓
1997年 1,591,551
29.74% ↑
1996年 1,226,732
-6.32% ↓
1995年 1,309,466
-62.74% ↓
1994年 3,514,452
4.88% ↑
1993年 3,350,843
-23.72% ↓
1992年 4,392,855
29.2% ↑
1991年 3,400,000
1.49% ↑
1990年 3,350,000
1.52% ↑
1989年 3,300,000
763.87% ↑
1988年 382,000 -
1987年 382,000
0.53% ↑
1986年 380,000
0.53% ↑
1985年 378,000
0.8% ↑
1984年 375,000
1.35% ↑
1983年 370,000
1.37% ↑
1982年 365,000
1.39% ↑
1981年 360,000
1.41% ↑
1980年 355,000
0.85% ↑
1979年 352,000
0.57% ↑
1978年 350,000
1.16% ↑
1977年 346,000
1.76% ↑
1976年 340,000
3.03% ↑
1975年 330,000
3.13% ↑
1974年 320,000
3.23% ↑
1973年 310,000
3.33% ↑
1972年 300,000
3.45% ↑
1971年 290,000
3.57% ↑
1970年 280,000
3.7% ↑
1969年 270,000
3.85% ↑
1968年 260,000
6.12% ↑
1967年 245,000
2.08% ↑
1966年 240,000
2.13% ↑
1965年 235,000
1.29% ↑
1964年 232,000
1.31% ↑
1963年 229,000
1.78% ↑
1962年 225,000
1.35% ↑
1961年 222,000 -

キューバの羊飼養状況を長期的に見ると、1960年代から1980年代後半までは着実な増加が見られます。この期間、飼養数は徐々に増加し、農業政策の整備や国内消費需要の増加がその背景にあると考えられます。しかし1989年以降、極めて急激な増加とその後の減少が記録されています。この異常な推移は、ソビエト連邦崩壊がもたらした経済的混乱や外的影響と深く関係していると考えられます。

1989年から1992年にかけて飼養数は4,392,855匹まで急増しています。この時期、キューバ政府が食糧問題への対応として家畜の生産を強化したことが原因と考えられます。しかし経済的困難が続く中、1995年には1,309,466匹に急減しました。その後も回復と低迷を繰り返しながら全体の生産性は低下傾向を示しており、2022年には約1,400,000匹にまで減少しました。この減少の背景には、国内外の経済的制約、気候変動による自然災害の影響、さらに資源の配分の効率化が大きく関係している可能性があります。

キューバの羊飼養数の変動は、他国の状況や国際情勢と比較することで一層明確になります。例えば、隣国アメリカでは大規模な農業生産体制が整備されている一方で、小規模農家や地方分権型の家畜生産に依存しているキューバは効率性が低く、外的要因に弱い構造を持っています。また、近隣の中南米諸国のように比較的安定した気候がないため、自然条件の影響も顕著です。

このような変動を踏まえ、いくつかの課題が浮かび上がります。第一に、生産性の向上です。家畜管理の効率化、育種技術の改善、飼料資源の適正確保を通じて、生産レベルを安定させる必要があります。第二に、気候変動に備えた災害対策の強化が求められます。具体的には、乾燥や嵐などの気象条件に対応した飼育施設の整備や国際的な気候基金の利用です。さらに、第三の課題として、農業分野への資金や人的リソースの供給安定化が挙げられます。これにより、農業従事者の生活改善と労働環境の向上が可能となり、産業全体の競争力が強化されるでしょう。

将来的な示唆としては、国際協力の枠組みの強化が望まれます。中南米地域内での農業協力の推進や、食糧安全保障を柱とする国際機関との連携が重要です。また、新たなテクノロジーの導入や持続可能な農業技術の利用が、環境負荷を軽減しつつ羊の生産を増加させる鍵となるでしょう。

結論として、キューバの羊飼養数の長期的な低下傾向は、経済的制約や自然条件、国際情勢の影響が複雑に絡んだ結果と言えます。同時に、この問題を解決するためには国内の改革努力だけでなく、積極的な国際協力が不可欠です。今後、食糧生産の安定化を目指した具体的施策が、キューバの将来の発展に大きく寄与すると考えられます。