国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新データによると、グアテマラの羊の飼養数は過去数十年で変動を見せてきました。1961年には約67万匹であった飼養数が、一時的な減少を経て2000年には約24万匹まで減少しましたが、その後再び上昇基調に転じ、最新の2022年には約61万6千匹に達しました。この推移は、農業政策、地域紛争、社会経済状況の影響を受けつつも、近年では安定傾向にあります。
グアテマラの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 616,513 |
2021年 | 610,780 |
2020年 | 605,046 |
2019年 | 600,470 |
2018年 | 589,214 |
2017年 | 588,475 |
2016年 | 589,300 |
2015年 | 585,200 |
2014年 | 581,300 |
2013年 | 581,500 |
2012年 | 574,100 |
2011年 | 566,500 |
2010年 | 564,400 |
2009年 | 561,300 |
2008年 | 558,300 |
2007年 | 555,900 |
2006年 | 553,600 |
2005年 | 494,000 |
2004年 | 402,100 |
2003年 | 402,100 |
2002年 | 492,800 |
2001年 | 572,300 |
2000年 | 239,700 |
1999年 | 325,000 |
1998年 | 400,000 |
1997年 | 475,000 |
1996年 | 551,087 |
1995年 | 525,000 |
1994年 | 500,000 |
1993年 | 440,000 |
1992年 | 430,000 |
1991年 | 438,300 |
1990年 | 433,500 |
1989年 | 425,000 |
1988年 | 431,000 |
1987年 | 407,700 |
1986年 | 455,700 |
1985年 | 431,700 |
1984年 | 359,800 |
1983年 | 359,800 |
1982年 | 335,800 |
1981年 | 311,800 |
1980年 | 455,700 |
1979年 | 602,549 |
1978年 | 599,659 |
1977年 | 611,873 |
1976年 | 560,000 |
1975年 | 540,000 |
1974年 | 560,000 |
1973年 | 571,909 |
1972年 | 527,926 |
1971年 | 520,948 |
1970年 | 570,000 |
1969年 | 550,438 |
1968年 | 564,500 |
1967年 | 631,600 |
1966年 | 526,000 |
1965年 | 794,000 |
1964年 | 748,300 |
1963年 | 702,328 |
1962年 | 792,240 |
1961年 | 676,550 |
グアテマラの羊の飼養数の推移データからは、全国的な家畜農業の歴史とその変遷を見ることができます。データは1961年から始まりますが、この時点では67万6千匹を数えており、1960年代から1970年代にかけて比較的高い水準が見られました。しかし、1970年代以降、特に1980年以降では急激な減少が顕著となりました。例えば、1980年から1981年のわずか1年で約14万匹もの飼養数が減少し、1981年には31万1千匹となりました。この急激な減少の背景には、地域紛争の影響や、農村部における貧困問題、さらには輸出主導型農業の変遷が関連していると考えられます。
1980年代から1990年代にかけては、比較的低水準での推移が続き、大きな回復は見られませんでした。1994年に50万匹、1995年には52万5千匹に一時的に回復するものの、その後再び下降トレンドに入り、2000年には23万9千匹まで減少しました。しかし、この時期を底として、2000年代以降には再び増加傾向となり、2010年代にかけては安定した上昇基調が見られます。2022年時点で61万6千匹となり、過去の高水準に近づいていることが分かります。
これらの変動には、グアテマラの経済や気候、社会構造が強く影響しているとも考えられます。特に都市化の進展や耕作地の転換が、小規模農家による家畜飼育に影響を与えた可能性があります。また、1980年代の紛争や自然災害により多くの農家が困難な状況に陥った背景も指摘できます。一方で、2000年代以降の増加には、農業技術の改善や市場需要の拡大、グアテマラ政府や国際機関による農村支援政策が影響している可能性があります。
現状を見ると、飼養数は増加の兆しを示していますが、いくつかの課題が残されています。たとえば、気候変動の影響は今後さらに顕著になる可能性が高く、干ばつや洪水、さらには高温による植生への影響が羊の牧草資源を圧迫するかもしれません。また、羊毛や羊肉の国内外市場における需要と価格の変動も、養羊業の持続可能性に直接的な影響を与えるでしょう。
こうした背景の中で、グアテマラが養羊業を持続的に発展させるためには、いくつかの具体的な提案が考えられます。1つは気候変動に対する適応策として、干ばつに強い飼料植物や飲料水供給システムの導入を進めることです。また、小規模農家を中心に研修プログラムを展開し、効率的な飼育技術の普及を図ることで、生産効率を高めることができるでしょう。さらに、国内および国際市場での販売支援を強化することで、経済的な安定性を提供することも重要です。例えば、公正な価格での買取制度や、羊毛製品のブランド化推進が考えられます。
また、地政学的な観点からは、地域の安定が養羊業の発展には不可欠です。過去の紛争や社会的不安定が養羊業に悪影響を及ぼした歴史を鑑みると、持続可能な養羊業を育むためには、地元コミュニティの平和維持と経済安定化を支援する政策が重要になります。
結論として、グアテマラの羊飼養数推移は、国の農業政策や社会環境、気候変動による影響を反映しています。現状の増加傾向を維持しつつ、未来のリスクに備えるための政策や取り組みが不可欠です。国際的な協力を進めることもまた、グアテマラの養羊業の持続可能な発展を支える重要な鍵となるでしょう。