国際連合食糧農業機関(FAO)の最新版データによると、コロンビアにおける羊の飼養数は、長期的な減少や変動を経て2022年に1,819,247匹に達しています。このデータは1961年から始まり、70年代から80年代にかけて上昇していましたが、2000年代以降は大きな減少を辿り、その後2016年以降復調の兆しが見られています。全体を見れば多くの社会的・地政学的要因が影響していると考えられ、将来的な重要課題を示唆する内容となっています。
コロンビアの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 1,819,247 |
2021年 | 1,805,877 |
2020年 | 1,779,697 |
2019年 | 1,561,197 |
2018年 | 1,180,261 |
2017年 | 1,061,722 |
2016年 | 995,790 |
2015年 | 736,234 |
2014年 | 725,783 |
2013年 | 701,884 |
2012年 | 1,045,416 |
2011年 | 1,549,480 |
2010年 | 1,791,802 |
2009年 | 1,400,000 |
2008年 | 1,620,000 |
2007年 | 1,690,000 |
2006年 | 1,800,000 |
2005年 | 1,850,000 |
2004年 | 1,900,000 |
2003年 | 2,000,000 |
2002年 | 2,044,670 |
2001年 | 2,256,030 |
2000年 | 2,288,000 |
1999年 | 2,195,600 |
1998年 | 1,994,400 |
1997年 | 2,325,100 |
1996年 | 2,400,000 |
1995年 | 2,540,000 |
1994年 | 2,540,000 |
1993年 | 2,540,000 |
1992年 | 2,553,000 |
1991年 | 2,550,000 |
1990年 | 2,547,000 |
1989年 | 2,545,000 |
1988年 | 2,542,000 |
1987年 | 2,575,500 |
1986年 | 2,537,500 |
1985年 | 2,500,000 |
1984年 | 2,466,250 |
1983年 | 2,660,000 |
1982年 | 2,634,000 |
1981年 | 2,426,573 |
1980年 | 2,413,300 |
1979年 | 2,356,600 |
1978年 | 2,255,446 |
1977年 | 2,137,864 |
1976年 | 2,026,412 |
1975年 | 1,920,800 |
1974年 | 1,888,100 |
1973年 | 1,812,000 |
1972年 | 2,036,000 |
1971年 | 2,025,000 |
1970年 | 1,962,000 |
1969年 | 1,818,000 |
1968年 | 1,966,000 |
1967年 | 1,746,014 |
1966年 | 1,701,872 |
1965年 | 1,630,000 |
1964年 | 1,500,000 |
1963年 | 1,507,000 |
1962年 | 1,400,000 |
1961年 | 1,417,000 |
コロンビアの羊飼養数についてのデータは、過去60年以上の長期的な変化を捉えています。1961年に1,417,000匹であった羊の飼養数は、1970年代から80年代にかけて上昇を続け、1983年には2,660,000匹に達しました。この時期の増加は、農村部における羊の経済的役割の強化や持続可能な飼育技術の進展と一致していると考えられます。しかし、1990年代以降は再び減少傾向を見せ、2008年には1,620,000匹、さらに2013年には701,884匹という急激な減少が観測されました。このような劇的な変化は、主に国内の社会的・政治的不安定さ、生産インフラの劣化、また時折発生する自然災害の影響が原因と推測されます。特に内戦や薬物取引を巡る衝突が農村地域に与えた影響は大きく、動物生産自体の減少を招いたと考えられます。
2016年からは羊飼養数に回復の兆しが見られ、2022年には1,819,247匹に達しており、これは過去の減少からの復活を示唆しています。この回復要因としては、和平プロセスの進展、国内農業支援政策の導入、地域経済の再編成、そして一部地域での農畜産業の近代化が挙げられます。特にコロンビア政府が進める農村部の再建政策や、持続可能な農業技術の普及が重要な役割を果たした可能性があります。また、世界的な羊肉と羊毛の需要増加に伴い、輸出市場の可能性に対する関心も高まったことで飼養数が増加したとも考えられます。
しかし、このデータを見ると、依然としていくつかの課題が残されています。まず、飼養数の減少を招いた過去の要因、特に地域衝突や農村部の貧困の問題は完全には解決されておらず、これらが再び悪化すれば復調傾向が短期的なものに終わる可能性があります。また、気候変動の影響による牧草地の減少や飢餓のリスクも大きな問題です。コロンビアでは、地形や気候条件が多様であるものの、農畜産業が気候変動に脆弱であるため、未来の持続可能な運営が課題とされています。さらに、製品の品質向上と輸出競争力確保に向けた国際的な基準への対応は不可欠ですが、そのためにはさらなる投資が必要となります。
将来的にコロンビアの羊飼養業を持続可能にするためには、いくつかの具体的な政策が重要です。まず第一に、気候変動に対抗できる牧草地管理技術の導入が必要です。地域ごとに合わせた先進技術の普及を促進しつつ、地元の慣習を尊重するアプローチが求められます。次に、国内外の市場開拓へ向けた輸出促進対策も重要です。政府や民間が一体となり、高品質な羊肉や羊毛を輸出するための新しい流通システムの構築を進めるべきです。さらに、農村部の安定化を支援することで、羊飼養が安定的に行える基盤を整備することも優先事項です。これには、教育への投資やインフラ整備、地域住民への再教育プログラムなどが含まれます。
結論として、コロンビアの羊飼養数推移は、単なる数値の増減以上に、この国が直面してきた地政学的・社会的課題やその対策の成否を反映しています。近年の回復傾向は歓迎されるものですが、この動きを維持しさらに発展させるには、地元と国際的な視点からの多角的な取り組みが必要です。コロンビア政府のみならず、国際機関や非政府組織が連携し、持続可能な畜産業を支える包括的な支援を行うべきです。