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ジンバブエの羊飼養数推移(1961年~2023年)

ジンバブエの羊飼養数は1960年代から増加傾向をたどり、1970年には81万1,000匹とピークを迎えました。しかし、その後徐々に減少し、1980年代からさらに大きな変動が見られます。2000年以降は再び低下傾向にあり、2022年時点の飼養数は35万4,008匹と、過去のピーク時の半分以下となっています。この数値の背景には、経済、気候、地域衝突など、さまざまな要因が影響していると考えられます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 512,758
44.84% ↑
2022年 354,008
-0.13% ↓
2021年 354,483
-0.13% ↓
2020年 354,934
0.66% ↑
2019年 352,608
-0.93% ↓
2018年 355,906
1.74% ↑
2017年 349,828
-30.63% ↓
2016年 504,305
10.44% ↑
2015年 456,627
46.01% ↑
2014年 312,733
-2.27% ↓
2013年 320,000
2.56% ↑
2012年 312,000
0.83% ↑
2011年 309,429
0.04% ↑
2010年 309,305
-1.81% ↓
2009年 315,000
-22.23% ↓
2008年 405,033
3.85% ↑
2007年 390,000
-4.88% ↓
2006年 410,000
-2.38% ↓
2005年 420,000
-12.13% ↓
2004年 478,000
-6.46% ↓
2003年 511,000
-11.28% ↓
2002年 576,000
-3.68% ↓
2001年 598,000
-13.33% ↓
2000年 690,000
7.78% ↑
1999年 640,175
23.11% ↑
1998年 520,000
1.96% ↑
1997年 510,000
-3.84% ↓
1996年 530,391
8.91% ↑
1995年 487,000
8.22% ↑
1994年 450,000
7.14% ↑
1993年 420,000
-14.98% ↓
1992年 494,000
0.2% ↑
1991年 493,000
-17.7% ↓
1990年 599,000
11.13% ↑
1989年 539,000
-19.67% ↓
1988年 671,000
18.34% ↑
1987年 567,000
10.72% ↑
1986年 512,100
-10% ↓
1985年 569,000
32.02% ↑
1984年 431,000
8.02% ↑
1983年 399,000
-0.25% ↓
1982年 400,000
-14.71% ↓
1981年 469,000
21.19% ↑
1980年 387,000
-34.07% ↓
1979年 587,000
-16.74% ↓
1978年 705,000
2.47% ↑
1977年 688,000
-0.15% ↓
1976年 689,000
-9.1% ↓
1975年 758,000
1.47% ↑
1974年 747,000
-1.06% ↓
1973年 755,000
2.58% ↑
1972年 736,000
-6.24% ↓
1971年 785,000
-3.21% ↓
1970年 811,000
10.64% ↑
1969年 733,007
15.55% ↑
1968年 634,377
21.31% ↑
1967年 522,956
13.69% ↑
1966年 459,970
14.28% ↑
1965年 402,500
3.21% ↑
1964年 390,000
1.77% ↑
1963年 383,200
3.89% ↑
1962年 368,850
11.2% ↑
1961年 331,700 -

ジンバブエの羊飼養数推移は、その国の農業構造や社会的状況を反映する重要な指標の一つです。このデータに基づくと、1960年代から1970年にかけて飼養数が大幅に増加しました。この増加の背景には、当時の安定した農業政策と比較的穏やかな地政学的状況、また、牧草地の確保が順調に行われていたことが影響していたと推測されます。しかし、1971年以降は再び減少を始め、特に1980年代にかけて急激な低下が見られます。

1980年代初頭の羊飼養数の急減には、当時の社会経済的混乱が大きな影響を及ぼしたと考えられます。この時期は、ジンバブエが独立を果たした直後であり、経済構造の変化や土地改革が進められた時期でもあります。加えて、地域的な紛争や政策の影響で羊の生産が停滞し、1979年には約58万匹、1980年には約39万匹にまで減少しました。その後、飼養数は一部で回復を見せるものの、大規模な地政学的変動による不安定な環境や農業政策の不一致、さらには気候変動による干ばつなどの問題が飼養数にさらなる影響を与えています。

2000年以降は、再び羊の飼養数が回復しつつある時期もありましたが、それも限定的でした。特に2000年の69万匹をピークにして、再び下降傾向となり、2010年代には35万匹前後に減少したままとなっています。この背景としては、甚大なインフレや経済危機が考えられます。また、2009年以降には経済の不安定性や輸出市場の崩壊が生産を直接的に制約しました。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大が物流や地域間取引を停滞させたことも間接的に影響を及ぼした可能性があります。

加えて、地理的要因としてジンバブエは準乾燥地帯に位置しており、近年の気候変動が牧草地の減少を招いています。干ばつや予測困難な降水パターンの増加によって放牧環境は悪化しており、これが羊飼養数の低下につながっていると言えます。他国との比較を行うと、ジンバブエの羊飼養数は同様の気候条件を持つ南アフリカのような国と比べて依然として低水準です。これは主に管理技術の不足や農業インフラの未整備が原因とされています。

今後の改善策としては、持続可能な牧羊事業の推進が挙げられます。具体的には、干ばつ耐性のある牧草品種の導入や、羊の飼養に適した管理技術の普及、さらには地域間協力による資源共有の仕組みづくりなどが重要です。また、ジンバブエ政府のさらなる農業政策の見直しと、国際機関の援助を受けた施設設備の改善が必要です。技術支援と教育により、地元の農業従事者が効果的に生産量を向上できる体制を整えることが、長期的な解決策となるでしょう。

結論として、ジンバブエの羊飼養数は経済、政治、環境など多様な要因の影響を受けて推移しています。課題は多いものの、気候適応型の牧羊事業を確立し、地域、国内、国際レベルで協力を進めることが、羊飼養数安定及び農村経済の発展の鍵となると考えられます。