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東ティモールの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、東ティモールの羊の飼養数は長期的に見ると変動が激しく、特に1970年代後半から1980年台前半にかけて大きく減少しました。一時期は11,200匹まで減少しましたが、1990年代にかけて徐々に回復しました。その後、2013年に68,767匹に達した後、再び急激な減少を見せ、2019年には24,118匹にまで落ち込む一方で、2020年以降は回復基調にあり、2022年には43,363匹に達しています。この変動には政治的、地理的、経済的要因が深く関係していると考えられます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 20,304
-53.18% ↓
2022年 43,363
12.26% ↑
2021年 38,628
19.64% ↑
2020年 32,286
33.87% ↑
2019年 24,118
-13.66% ↓
2018年 27,933
-13.37% ↓
2017年 32,243
-7.66% ↓
2016年 34,919
-13.78% ↓
2015年 40,498
-41.31% ↓
2014年 69,001
0.34% ↑
2013年 68,767
18% ↑
2012年 58,278
18% ↑
2011年 49,388
18% ↑
2010年 41,854
-0.13% ↓
2009年 41,909
1.48% ↑
2008年 41,298
1.5% ↑
2007年 40,688
1.5% ↑
2006年 40,087
1.5% ↑
2005年 39,495
1.36% ↑
2004年 38,965
14.6% ↑
2003年 34,000
17.24% ↑
2002年 29,000
22.22% ↑
2001年 23,728
-6.95% ↓
2000年 25,500
-15% ↓
1999年 30,000
-11.67% ↓
1998年 33,965
3.15% ↑
1997年 32,929
1.5% ↑
1996年 32,442
2.31% ↑
1995年 31,709
2.31% ↑
1994年 30,993
-4.36% ↓
1993年 32,407
-2.95% ↓
1992年 33,393
2.5% ↑
1991年 32,579
4.72% ↑
1990年 31,110
2% ↑
1989年 30,500
5.99% ↑
1988年 28,777
1.65% ↑
1987年 28,309
0.81% ↑
1986年 28,082
1.98% ↑
1985年 27,536
10.14% ↑
1984年 25,000
13.64% ↑
1983年 22,000
10% ↑
1982年 20,000
33.33% ↑
1981年 15,000
33.93% ↑
1980年 11,200
-25.33% ↓
1979年 15,000
-25% ↓
1978年 20,000
-20% ↓
1977年 25,000
-9.75% ↓
1976年 27,700
-20.86% ↓
1975年 35,000
-16.01% ↓
1974年 41,672
-9.39% ↓
1973年 45,991
-5.87% ↓
1972年 48,858
13.54% ↑
1971年 43,033
10.57% ↑
1970年 38,920
17.65% ↑
1969年 33,081
-20.95% ↓
1968年 41,850
-22.51% ↓
1967年 54,005
-5.7% ↓
1966年 57,271
-3.41% ↓
1965年 59,291
24.14% ↑
1964年 47,760
5.86% ↑
1963年 45,116
5.15% ↑
1962年 42,906
2.19% ↑
1961年 41,987 -

東ティモールの羊の飼養数推移は、同国の地政学的・社会経済的背景を反映したものと見られます。1960年代には徐々に羊の飼養数が増加していましたが、1970年代中盤以降、インドネシアによる併合や紛争などの地政学的リスクが羊飼育に与える影響が大きかったと考えられます。この時期、飼養数は1968年の41,850匹から1980年には11,200匹まで減少しています。この急激な減少には、紛争の影響による農業・牧畜基盤の崩壊が大きく影響している可能性があります。

その後、東ティモールが2002年に独立したことで安定期を迎え、飼育環境の改善が進むとともに、飼養数は再び増加傾向を示しました。特に2013年には68,767匹とピークに達し、これまでの最も高い数値を記録しています。しかしながら、2015年以降は変動が大きく、2022年には43,363匹に留まっています。この変動には、気候変動の影響で起こる自然災害や餌不足、新型コロナウイルス感染症による物流の制限、さらにはインフラ整備の遅れなどが関連していると考えられます。

東ティモールの羊飼養は国の食糧保障や経済基盤において重要な役割を果たしており、持続可能な管理が求められます。気候変動による干ばつや洪水、また羊の健康状態への管理が不十分だと、生産性の低下に繋がってしまいます。さらに、国内市場の需要と供給の不均衡や輸送・流通の弱体性も問題とされています。

これら課題に対して、国や国際機関が取り組むべき対策は多岐にわたります。具体的には、家畜管理の近代化と効率化を進めるための技術支援や、牧草地管理の改善、灌漑設備の整備が求められます。また、若年層を対象にした農業や畜産に関する教育・訓練プログラムの実施も必要です。さらに、気候変動に適応するための災害対策強化や、外部市場への輸出拡大を目指した国際協力の枠組みも有効であると考えられます。

東ティモールの羊飼養数推移のデータは単なる数値の変化を示すものではなく、国の政治的・社会経済的な状況や自然環境の影響を理解する指標となります。このデータに基づき持続可能な畜産業を目指した政策を推進し、将来的には安定した食糧自立を達成するための努力が期待されます。