国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、サントメ・プリンシペの羊飼養数は、1961年の3,115匹から2022年の3,329匹にかけて、長期的な減少と回復を経つつ、現在ほぼ安定した増加を示しています。特に1970年代には急減が見られましたが、1990年代以降には回復基調が続いています。しかし、過去60年間の増加率は約6.9%と比較的緩やかであり、国内農業のひとつの象徴とも言える羊の供給において持続可能な発展が求められています。
サントメ・プリンシペの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 3,329 |
2021年 | 3,318 |
2020年 | 3,308 |
2019年 | 3,303 |
2018年 | 3,301 |
2017年 | 3,285 |
2016年 | 3,273 |
2015年 | 3,240 |
2014年 | 3,200 |
2013年 | 3,200 |
2012年 | 3,200 |
2011年 | 3,200 |
2010年 | 3,200 |
2009年 | 3,200 |
2008年 | 3,200 |
2007年 | 3,000 |
2006年 | 3,000 |
2005年 | 3,000 |
2004年 | 2,800 |
2003年 | 2,800 |
2002年 | 2,700 |
2001年 | 2,600 |
2000年 | 2,600 |
1999年 | 2,550 |
1998年 | 2,500 |
1997年 | 2,450 |
1996年 | 2,400 |
1995年 | 2,300 |
1994年 | 2,200 |
1993年 | 2,100 |
1992年 | 2,000 |
1991年 | 1,800 |
1990年 | 1,800 |
1989年 | 1,800 |
1988年 | 1,800 |
1987年 | 1,800 |
1986年 | 1,800 |
1985年 | 1,800 |
1984年 | 1,800 |
1983年 | 1,800 |
1982年 | 1,800 |
1981年 | 1,800 |
1980年 | 1,800 |
1979年 | 1,700 |
1978年 | 1,600 |
1977年 | 1,500 |
1976年 | 1,400 |
1975年 | 1,300 |
1974年 | 1,189 |
1973年 | 1,311 |
1972年 | 1,543 |
1971年 | 1,834 |
1970年 | 2,159 |
1969年 | 2,354 |
1968年 | 2,574 |
1967年 | 2,393 |
1966年 | 2,519 |
1965年 | 2,652 |
1964年 | 2,491 |
1963年 | 3,043 |
1962年 | 3,339 |
1961年 | 3,115 |
サントメ・プリンシペは小規模な島国であり、食料安定性と持続可能な農業が重要視されています。この中で羊の飼養数は農村部の生活や地域経済と密接に関連しています。データを分析すると、1960年代から1970年代にかけて羊の飼養数が大幅に減少しました。この背景には、この地域の社会経済的な状況や政治的な不安定さ、土地利用の変化などが影響していると考えられます。特に1975年に独立した後、農業政策や優先事項の転換が行われた可能性があります。この影響が1970年代の羊飼養数の急激な低下に表れていると推測されます。
1980年代以降、羊飼養数は1,800匹で横ばい状態となりました。この期間はサントメ・プリンシペの農業が一定の安定期を迎えたことを示しているかもしれません。しかし、1990年代になると飼養数が再び徐々に増加傾向となり、2020年代には3,300匹を超えるようになりました。これは、地域住民の生活水準の向上、農業支援政策の強化、さらには牧畜技術の改良が寄与していると考えられます。
他国と比較すると、サントメ・プリンシペの羊飼養数は非常に小規模です。例えば、中国やインドといったアジア諸国では羊の数は数千万匹規模となることが一般的であり、アフリカ諸国の中でもエチオピアやナイジェリアの羊飼養数と比較して格段に少ない規模です。この差は国土面積、気候条件、農業生産性の違いに起因しています。サントメ・プリンシペの気候や地形の特性を考慮すると、大規模な放牧地には限界があり、飼養できる羊の数も制約を受けています。これらの条件の下、地域特有の高付加価値製品の生産を目指していくことが解決策となる可能性があります。
課題としては、持続可能な形で羊の飼養数を増やすこと、そしてその成果を効率的に地域経済に還元することが挙げられます。飼養数が増える一方で、気候変動や災害のリスクが地域農業に悪影響を及ぼすことも懸念されます。特に、近年アフリカ大陸で頻発している干ばつは、サントメ・プリンシペにも同様に影響を及ぼす恐れがあります。
解決策として、持続可能な放牧政策の導入や牧畜技術の近代化、地域経済の振興策が挙げられます。特に、羊毛や羊乳など家畜由来の製品を利用した付加価値の創出を進めれば、農村部の所得向上と経済基盤の強化が期待できます。また、国際機関や隣国との連携を通じて、畜産業に対する技術支援や資金援助を拡充することも考えられるでしょう。
総じて、サントメ・プリンシペの羊飼養数は歴史的変遷を経ながら緩やかな増加基調にありますが、将来的な課題は山積しています。このため、地元政府だけでなく国際的な協力が求められる状況です。