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ニカラグアの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニカラグアの羊の飼養数は2022年時点で6,602匹と記録されており、過去60年以上にわたるデータの中で緩やかな増加と若干の停滞期を示しています。1961年から1974年までは増加が緩やかでありましたが、1975年以降急激な増加を見せ、その後1980年代から現在に至るまで、安定的な推移を辿っています。しかし、近年は微減や微増が繰り返される状態が続いています。それに伴い、主に農業と連携する羊産業の現状と将来に関する課題と可能性が見えてきます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 6,933
5.01% ↑
2022年 6,602
0.26% ↑
2021年 6,585
0.27% ↑
2020年 6,567
-0.14% ↓
2019年 6,576
-0.57% ↓
2018年 6,614
-0.41% ↓
2017年 6,641
0.62% ↑
2016年 6,600
1.62% ↑
2015年 6,495
2.28% ↑
2014年 6,350
0.79% ↑
2013年 6,300
-0.79% ↓
2012年 6,350 -
2011年 6,350
0.79% ↑
2010年 6,300 -
2009年 6,300 -
2008年 6,300 -
2007年 6,300
8.62% ↑
2006年 5,800
-1.69% ↓
2005年 5,900 -
2004年 5,900
7.27% ↑
2003年 5,500
7.84% ↑
2002年 5,100
-5.56% ↓
2001年 5,400
5.88% ↑
2000年 5,100 -
1999年 5,100 -
1998年 5,100
13.33% ↑
1997年 4,500 -
1996年 4,500 -
1995年 4,500
2.27% ↑
1994年 4,400 -
1993年 4,400
7.32% ↑
1992年 4,100
7.89% ↑
1991年 3,800
2.7% ↑
1990年 3,700
2.78% ↑
1989年 3,600
2.86% ↑
1988年 3,500
2.94% ↑
1987年 3,400
3.03% ↑
1986年 3,300
3.13% ↑
1985年 3,200
3.23% ↑
1984年 3,100
3.33% ↑
1983年 3,000
7.14% ↑
1982年 2,800
3.7% ↑
1981年 2,700
-1.82% ↓
1980年 2,750
-1.79% ↓
1979年 2,800 -
1978年 2,800
7.69% ↑
1977年 2,600
8.33% ↑
1976年 2,400
20% ↑
1975年 2,000
21.21% ↑
1974年 1,650
3.13% ↑
1973年 1,600
3.23% ↑
1972年 1,550
3.33% ↑
1971年 1,500
3.45% ↑
1970年 1,450
3.57% ↑
1969年 1,400
7.69% ↑
1968年 1,300
4% ↑
1967年 1,250
2.46% ↑
1966年 1,220
1.67% ↑
1965年 1,200
1.69% ↑
1964年 1,180
1.72% ↑
1963年 1,160
1.75% ↑
1962年 1,140
1.79% ↑
1961年 1,120 -

ニカラグアにおける羊飼養数の歴史を振り返ると、1960年代初頭の1,120匹に対して2022年の6,602匹という6倍近い規模への成長は注目に値します。1961年から1970年までは毎年約30匹ずつ順調に増えており、1975年以降は特に急激な伸びが見られました。この背景には、地元農業の多角化の取り組みや、1970年代における羊毛や羊肉の需要増が影響していると考えられます。しかし、1980年代~1990年代に入ると成長がやや鈍化しました。これには国内の内政不安や社会的課題が影響した可能性があり、地政学的なリスクが農業経済に与える影響が示唆されます。

2000年代に入ると、飼養数は年ごとに変動が見られるものの、大きな成長は見られません。この時期には、既存の農業基盤問題や牧畜の効率化の課題が浮き彫りになり、安定した持続可能な成長が課題として浮かび上がっています。例えば、2002年の5,100匹から2003年に5,500匹へと増加し、その後2007年には6,300匹に到達しましたが、この成長ペースは過去のピークと比較して鈍化しています。特に最近では羊飼養数の年次変動が目立ち、気候変動や土地利用の変化、さらにパンデミックやその他の地政学的リスクが影響している可能性があります。

地球規模で見ると、羊の飼養数は各国で異なる特徴を示しています。例えば、農業が主産業のニュージーランドやオーストラリアでは、羊産業が国民経済の中核を担っています。一方で日本の羊飼養数はごくわずかで、市場規模は小さいです。人口が多い国々ではインドもまた畜産部門の発展が見られ、羊やその他家畜の増加を支えています。ニカラグアはこれら世界的なデータと比較しても小規模ですが、中小規模な牧畜業が地域経済を支える一つの柱となっています。

現時点での主要な課題として、羊の安定的な成長を妨げる要因への対策が挙げられます。気候変動による干ばつや土壌劣化、さらには羊飼養に必要な飼料の供給不足の影響が懸念されています。また、羊を育てるための農業技術や飼料の輸入コストが高いため、収益性が思うように確保できない農家も増えています。これらの課題に対応するには、農業技術の効率化や、気候変動に強い飼料作物の導入、さらには地域間協力による牧草地の再分配が有効な方法になり得ます。

未来に向けては、さらなる農業分野の研究・開発への投資が重要です。同時に、気候変動への対策や家畜の効率的な育成を支援する公的・私的組織の協力体制を強化することが期待されます。また、地域内外での羊毛や羊肉の貿易促進や市場の拡大も一つの解決策です。特にニカラグアの羊産業においては、地域的な小規模生産者が主体となるため、彼らへの金融支援やトレーニングプログラムの実施が長期的な産業基盤を構築するために不可欠です。

今後は、家畜部門におけるデータ収集と分析を継続的に行い、環境に影響を与えず持続可能性を高める施策を導入することが求められます。そのため、ニカラグア政府だけでなく、国際社会による支援も重要です。これにより、同国の羊産業は競争力を持ちながら成長を続け、地域経済全体により良い影響を与えることが可能になるでしょう。