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ギリシャの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関の最新データによると、ギリシャの羊の飼養数は2022年に7,378,400匹となり、1961年の9,353,000匹から減少しています。一時的な上昇も見られたものの、全体的には長期的な減少傾向が続いています。特に2018年以降、減少のスピードが加速している点が注目されます。

年度 飼養数(匹)
2022年 7,378,400
2021年 7,690,900
2020年 7,721,800
2019年 8,427,000
2018年 8,430,000
2017年 8,827,820
2016年 8,680,235
2015年 8,746,260
2014年 8,611,026
2013年 8,778,430
2012年 8,913,929
2011年 8,903,667
2010年 8,931,392
2009年 8,888,895
2008年 8,896,587
2007年 8,831,042
2006年 8,791,757
2005年 8,827,078
2004年 9,002,010
2003年 9,058,117
2002年 9,127,187
2001年 8,991,274
2000年 8,950,971
1999年 8,930,415
1998年 8,884,153
1997年 8,896,281
1996年 8,869,126
1995年 8,777,155
1994年 8,706,146
1993年 8,666,000
1992年 8,692,000
1991年 8,660,000
1990年 8,723,025
1989年 8,670,262
1988年 8,612,300
1987年 8,258,143
1986年 8,341,833
1985年 8,258,143
1984年 8,252,435
1983年 8,227,000
1982年 8,143,706
1981年 8,048,432
1980年 8,042,543
1979年 8,029,488
1978年 8,075,493
1977年 8,299,504
1976年 8,360,569
1975年 8,273,933
1974年 8,367,031
1973年 7,906,341
1972年 7,686,404
1971年 7,534,582
1970年 7,680,270
1969年 7,724,467
1968年 7,873,791
1967年 7,828,721
1966年 7,819,000
1965年 8,097,000
1964年 8,513,000
1963年 8,899,000
1962年 8,962,000
1961年 9,353,000

ギリシャは長い歴史の中で農牧業が国民生活や経済の中心を担ってきました。この中で羊の飼養は乳製品や肉、特にフェタチーズの生産に欠かせない重要な役割を果たしてきました。そのため、羊の飼養数はギリシャ農業の動向を測る指標の一つといえます。このデータでは、1961年には9,353,000匹という高い数字を記録し、その後長期的な減少傾向が確認されています。

1960年代から1970年代前半には急速な減少が見られました。この時期、経済発展と都市化の進展に伴い、伝統的な牧畜業の形態が衰退したことが背景にあると考えられます。一方で1972年から1986年にかけては一時的な回復がみられ、8,300,000匹台から8,600,000匹台への増加が観察されました。この回復の要因としては、EU加盟とその際に提供された農業助成金が歪みを是正した影響が挙げられます。また1980年代から2000年代初めにかけて、比較的安定した8,900,000匹前後の水準が維持されていました。

しかしながら、2010年以降、特に2018年を境に羊の飼養数は再び減少の兆候を強めています。同年には8,430,000匹と減少し始めたものの、2022年の7,378,400匹と比較すると、この減少スピードの加速は無視できません。この減少の裏にある要因の一つには、ギリシャは2010年代の財政危機の影響があります。この危機は畜産に不可欠な資材や餌の価格上昇を引き起こし、小規模な牧場経営者が廃業に追い込まれました。また、労働力不足の問題も深刻で、特に若年層が都市部に移動し、伝統的農牧業に携わる人材が減少しています。

地域の問題を考慮すると、地政学的リスクも無視できません。例えば、地中海東部での資源問題や気候変動による干ばつの影響が羊の放牧可能な土地の縮小を招いています。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックも間接的に影響を与えています。この際輸送や市場流通が制限され、生産者が経済的な厳しい状況に置かれた結果、飼養数の維持が困難となりました。

未来への課題として、国内外の需要と持続可能な牧畜システムのバランスを取ることが挙げられます。このためには、以下のような具体的な対策が検討されるべきです。一つ目は、EUの農業助成金や国際機関の支援を活用し、資金繰りを改善することです。二つ目として、気候変動の影響を軽減するために、飼料作物の適応型品種導入や水資源保全技術の普及も重要です。さらに、若年層に対して牧畜業を魅力的な職業として再評価するための教育やサポート体制が必要です。たとえば、都市部で行われる消費者教育を通じて、地元産乳製品や肉の価値を改めて認識させ、地域経済循環に貢献する仕組みが考えられます。

このデータが示す事実はただ過去を記録するにとどまらず、ギリシャ農業が直面する課題や可能性を浮き彫りにしています。国際連携を通じた解決策の模索や気候変動対策、地域特性を活かした持続可能な牧畜モデルの導入は、長期的な観点でギリシャにとって非常に重要です。これを適切に実行すれば、伝統的農産業を保護しつつ、国内経済の安定にも寄与することが期待されます。