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マラウイの羊飼養数推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、マラウイの羊飼養数は1961年の82,223匹から2022年の372,384匹へと大幅に増加しました。一部の期間では減少または停滞が見られるものの、近年は特に2010年以降、ほぼ一貫して増加傾向が続いています。特に2018年以降の増加幅が顕著で、2022年には過去最高値を記録しました。

年度 飼養数(匹)
2022年 372,384
2021年 365,235
2020年 366,184
2019年 351,458
2018年 317,899
2017年 283,398
2016年 286,974
2015年 275,537
2014年 269,230
2013年 255,928
2012年 240,269
2011年 228,649
2010年 214,230
2009年 199,890
2008年 188,520
2007年 185,609
2006年 175,394
2005年 156,714
2004年 227,363
2003年 108,179
2002年 109,514
2001年 115,247
2000年 111,539
1999年 103,095
1998年 102,671
1997年 97,916
1996年 93,018
1995年 86,827
1994年 91,915
1993年 84,260
1992年 100,133
1991年 101,796
1990年 85,167
1989年 110,000
1988年 150,000
1987年 151,300
1986年 165,483
1985年 184,711
1984年 149,854
1983年 155,607
1982年 110,546
1981年 85,043
1980年 88,929
1979年 78,747
1978年 86,368
1977年 85,194
1976年 87,821
1975年 79,185
1974年 79,202
1973年 88,516
1972年 79,518
1971年 73,210
1970年 81,136
1969年 90,280
1968年 81,277
1967年 88,820
1966年 71,337
1965年 71,337
1964年 74,139
1963年 81,918
1962年 77,757
1961年 82,223

マラウイの羊飼養数の推移を見ると、全体として長期的には増加基調にあるものの、以下のようないくつかの特徴的な動きが読み取れます。まず初期の1960年代から1970年代半ばまでは、比較的小規模な増減を繰り返しており、安定的な成長は見られませんでした。ただし1980年代に入ると、1982年から1985年にかけて急増が記録され、特に1985年には飼養数が184,711匹に達しました。この増加には、社会経済的あるいは気象条件の要因が関与している可能性が考えられますが、詳細な背景にはさらなる分析が必要です。

しかし1989年から1990年代前半にかけて大幅な減少が見られたことは注目に値します。この期間は、マラウイ国内での経済的混乱や食糧危機などの影響が、羊の飼養数に対しても間接的に影響を与えた可能性があります。例えば、家畜の飼料供給不足や市場価格の低迷などが要因として挙げられるでしょう。ただし2000年代以降からは、再び飼養数の増加がみられ、特に2010年代にはその勢いが顕著となりました。

2018年以降の急増には、マラウイ国内での畜産業の活性化や、国際的な支援を受けた畜産プロジェクトの成功が関与していると推測されます。例えば、羊の供給量を増やし国内の肉製品市場を拡大する政策が影響している可能性があります。また、地域的な食糧安全保障の向上を目指す施策の一環として、家畜飼育の重要性が高まっている事情も関連していると考えられます。

一方で、この急激な増加は必ずしも持続可能な成長を保証するものではありません。例えば、羊を含む家畜の飼養による土地や水資源への負荷が問題視される可能性があります。さらに、気候変動の影響が畜産業全体にどのように波及するかも慎重に見極める必要があります。アフリカ諸国全般でみられる水不足や降雨量の不安定化が、家畜の健康や生産性にマイナスの影響を与えるリスクが指摘されています。

また、隣国との地域的な農業・畜産市場の連携を強化することも考慮すべき課題です。マラウイは内陸国であるため、家畜産業をより広域的な文脈で発展させるためには、輸送インフラ整備や周辺国との貿易協定の強化が重要です。例えば、近隣諸国での需要に適合した羊肉や乳製品の生産を目指すことで、国際市場での競争力を高めることが期待されます。

資源配分の観点からも、家畜の増加に伴う環境管理が重要です。過剰な放牧が土壌の劣化や生態系への圧力を引き起こさないよう、適切な資源管理を導入することが推奨されます。例えば、持続可能な放牧地の設計や、家畜廃棄物の再利用を促進する政策が必要です。さらに気候変動に対応するための適応型農業技術導入も有効な対策といえるでしょう。

総じて、マラウイの羊飼養数が増加を続けていることは地域経済や食糧安全保障にプラスの効果をもたらしていますが、同時に土地資源や水資源への負担、環境管理の重要性が増している点を無視することはできません。今後は国内政策の強化と国際的な協力を通じて、持続可能な畜産モデルを構築していくことが求められます。