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プエルトリコの羊飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、プエルトリコの羊飼養数は1961年に3,800匹であったところから、1990年代には急増し最大で16,000匹を記録しました。しかし、2000年代以降減少傾向が現れ始め、2020年以降はさらに急激に低下し、2022年には6,588匹と、過去のピーク時から大幅に減少しています。この動きは、多様な経済的・地政学的・気候的要因を含む複合的な背景によるものと考えられます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 16,549
151.2% ↑
2022年 6,588
-12.25% ↓
2021年 7,508
-14.18% ↓
2020年 8,749
-27.24% ↓
2019年 12,025
-4.1% ↓
2018年 12,539
3.53% ↑
2017年 12,112
1.45% ↑
2016年 11,939
1.41% ↑
2015年 11,773
1.44% ↑
2014年 11,606
1.52% ↑
2013年 11,432
2.21% ↑
2012年 11,185
4.77% ↑
2011年 10,676
6.06% ↑
2010年 10,066
6.38% ↑
2009年 9,462
6.61% ↑
2008年 8,875
8.46% ↑
2007年 8,183
6.15% ↑
2006年 7,709
25.92% ↑
2005年 6,122
14.02% ↑
2004年 5,369
-5.82% ↓
2003年 5,701
-64.37% ↓
2002年 16,000 -
2001年 16,000 -
2000年 16,000 -
1999年 16,000
-2.2% ↓
1998年 16,360
2.25% ↑
1997年 16,000
3.23% ↑
1996年 15,500
3.33% ↑
1995年 15,000
11.11% ↑
1994年 13,500
8.04% ↑
1993年 12,495
4.13% ↑
1992年 12,000 -
1991年 12,000
66.67% ↑
1990年 7,200 -
1989年 7,200
2.86% ↑
1988年 7,000
2.94% ↑
1987年 6,800
4.62% ↑
1986年 6,500
4.84% ↑
1985年 6,200
3.33% ↑
1984年 6,000
-1.64% ↓
1983年 6,100
3.39% ↑
1982年 5,900 -
1981年 5,900
3.51% ↑
1980年 5,700
1.79% ↑
1979年 5,600 -
1978年 5,600 -
1977年 5,600 -
1976年 5,600
1.82% ↑
1975年 5,500 -
1974年 5,500
1.85% ↑
1973年 5,400
3.85% ↑
1972年 5,200
4% ↑
1971年 5,000
6.38% ↑
1970年 4,700
4.44% ↑
1969年 4,500
4.65% ↑
1968年 4,300
4.88% ↑
1967年 4,100
1.23% ↑
1966年 4,050
1.25% ↑
1965年 4,000
1.27% ↑
1964年 3,950
1.28% ↑
1963年 3,900
1.3% ↑
1962年 3,850
1.32% ↑
1961年 3,800 -

プエルトリコにおける羊飼養数の推移を見ると、初期の1960年代から1990年代にかけて着実な増加が見られました。1970年代以降、特に1991年から急増し、13,500匹を超える規模へと成長したのは、養羊業における技術進歩や地域経済活性化の影響が考えられます。また、1990年代には13,000から16,000匹を維持したことが確認でき、これは農産業への公的支援や市場の需要拡大といった要因が寄与した可能性があります。

しかしながら、2003年以降、羊飼養数は突如急減し、2003年から2004年の間に5,369匹まで下落しました。この時期には、プエルトリコの農業セクター全般で国際競争力の低下が進んでいた影響があったと考えられます。その後2010年代まで回復基調に転じたものの、2019年以降に再び下降傾向が顕著となり、2022年には6,588匹と大幅に減少しました。特に2020年からの大幅な減少は、世界を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済的影響や物流の混乱が、養羊業にも大きな負担を与えたことと関連している可能性があります。さらに、プエルトリコの特殊な地政学的環境や近年の気候変動リスク(例えばハリケーンや異常気象による農地の利用困難化)が同時に影響したと推測されます。

羊飼養数の減少は、地域経済の自給率低下や農村部における雇用機会の減少につながるおそれがあります。プエルトリコのような島嶼(とうしょ)国家・地域においては、持続可能な農業の確立が食料安全保障の観点からも重要であり、産業の衰退は緊急の課題です。

今後の対策として、いくつかのポイントが検討されるべきです。まず、気候変動に強い農地と家畜管理技術を導入することで、自然災害に対する耐性を強化することが必要です。たとえば、ハリケーンの多発や干ばつリスクに備えた灌漑(かんがい)システムや、被害後の速やかな再建プロセスが挙げられます。次に、地域や国際市場の需要に対応するため、羊製品の多様化を図る戦略が有効です。高品質な羊毛や肉製品を生産し市場競争力を高めることで、産業の収益性を向上させることができるでしょう。

また、公的支援も重要です。例えば、プエルトリコの養羊業者に対する税制上の優遇措置や、低利融資制度を拡充することが挙げられます。さらに、教育機関や研究機関を通じて、新しい技術や知識を牧畜業者に提供することで、労働力のスキル強化を図るべきでしょう。加えて、観光業や文化振興政策と連携し、羊飼養を生かしたエコツーリズムを推進することも地域経済の成長に寄与する可能性があります。

結論として、プエルトリコの羊飼養数は過去数十年の間に大きな波を描きましたが、現在は持続性の危機に直面しています。このデータが示す明確な減少傾向に対して、長期的な農業政策や国際協力を通じた包括的な取り組みが不可欠です。国際連合食糧農業機関(FAO)や地域法整備を活用し、食料安全保障を守る基盤を築き、将来に向けて羊飼養業を再び回復させることが重要となるでしょう。