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イエメンの羊飼養数推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、イエメンの羊飼養数は1961年に約241.7万匹から始まり、2022年には約1,048.7万匹に達しています。特に1990年代以降、急速に増加が見られていますが、2015年以降、内戦などの影響で一時的な減少も記録されています。それでも2020年代に入ってからは再び回復傾向を示しています。

年度 飼養数(匹)
2022年 10,487,333
2021年 10,359,317
2020年 9,866,017
2019年 9,717,779
2018年 8,813,076
2017年 9,185,435
2016年 9,104,860
2015年 9,571,887
2014年 9,688,145
2013年 9,551,311
2012年 9,419,212
2011年 9,358,000
2010年 9,206,000
2009年 9,087,216
2008年 8,889,000
2007年 8,589,000
2006年 8,197,024
2005年 7,980,213
2004年 7,899,243
2003年 7,819,000
2002年 6,548,000
2001年 6,483,000
2000年 6,193,000
1999年 6,016,000
1998年 5,836,000
1997年 5,500,000
1996年 5,020,000
1995年 4,802,000
1994年 4,707,000
1993年 4,755,000
1992年 4,659,000
1991年 4,568,000
1990年 4,810,000
1989年 3,720,200
1988年 3,602,002
1987年 3,488,000
1986年 3,483,179
1985年 3,443,392
1984年 3,394,326
1983年 3,379,696
1982年 3,285,318
1981年 3,230,452
1980年 2,953,000
1979年 2,823,000
1978年 2,777,000
1977年 2,762,000
1976年 2,654,000
1975年 2,744,000
1974年 2,585,000
1973年 2,361,000
1972年 2,467,000
1971年 2,524,000
1970年 2,167,000
1969年 2,157,000
1968年 2,465,000
1967年 2,571,000
1966年 2,439,000
1965年 2,607,000
1964年 2,530,000
1963年 2,511,000
1962年 2,445,000
1961年 2,417,000

イエメンの羊飼養数のデータを通じて、この国の農業と社会経済の動きを読み取ることができます。1961年からのデータを見ると、初期は緩やかな増加傾向を示していましたが、1980年代後半から1990年代にかけて成長が加速しています。この時期の経済成長と農業技術の導入が飼養能力の増大に寄与した結果です。特に1990年には、飼養数が約481万匹と前年より顕著に増加しています。

2000年代に入ると、この増加傾向は持続的で、特に2003年、2004年には他の年と比較して大きな上昇が見られます。しかし、その後、2015年以降、数百万の国内避難民が発生する深刻な内戦状態が影響し、羊の飼養数に負の影響を及ぼしました。2018年には約881.3万匹まで一時的に減少しています。この急激な減少の理由として、紛争による生産インフラの破壊、飼料供給の不足および輸送ルートの遮断が挙げられます。

とはいえ、近年では状況が多少改善しており、2021年には約1,035.9万匹、2022年には約1,048.7万匹まで回復を見せています。この復活は地域住民の自給自足に対する努力、地域経済の部分的な回復、さらには国際的な人道支援が効果を上げた結果であると考えられます。とはいえ、現地の生活基盤が持続可能な形へと完全に戻ったわけではないことを考慮する必要があります。

イエメンの羊飼養の復調および今後の発展に向けた課題は少なくありません。まず、羊の飼養を継続しつつ、飼料の安定供給を確保するための農業政策が必要です。多くの地域では、紛争や気候変動が重なり、土地の劣化や水不足が広がっています。これを改善するためには、灌漑設備の普及および再建が急務です。また、わずかですが牧畜業にも輸出市場が存在するため、国際市場におけるイエメン産の羊やその製品の流通網拡大も経済復興の糸口となり得ます。

さらに、地政学的背景も今後の動向を左右します。イエメンは中東地域の戦略的重要性が高く、地域紛争が飼養数の回復を阻害する要因となり得ます。これに対し、早期紛争解決を促す国際協調が欠かせません。同様に、自然災害や疫病のリスクにも備える必要があります。たとえば気候変動の進行により、干ばつや洪水が牧草地へ負の影響を与える可能性があります。このため災害対策や気候に適応した牧畜手法の導入が急務です。

現状のデータは、イエメンの羊飼養数が一時的な低迷を経験しながらも回復傾向にあることを示しています。今後の政策提言として、農業支援の強化、家畜管理における技術的支援、および国際協力を通じた持続可能な妥協案の創出が重要です。また、紛争の早期終結がこの分野のみならず、国全体の安定に寄与するでしょう。最終的に、これらの取り組みがイエメンの資源管理能力を高め、地域全体の安定と発展に貢献することが期待されます。