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パラグアイの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、パラグアイの羊飼養数は、1961年の35万匹から2022年の31.7万匹へ長期的に減少傾向を示しています。一方で、一時的に増加を見せた年もあり、2004年には過去最大の52.4万匹を記録しました。しかしながら、2017年以降、減少がさらに急激なものとなり、2022年時点での飼養数は約31.7万匹にとどまっています。この変動する傾向は、地政学的背景や経済的条件、環境要因などの複合的な影響を受けた結果と考えられます。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 327,100
3.11% ↑
2022年 317,239
1.08% ↑
2021年 313,844
2.23% ↑
2020年 307,004
3.79% ↑
2019年 295,795
2.32% ↑
2018年 289,075
-2.45% ↓
2017年 296,339
-42.58% ↓
2016年 516,119
3.56% ↑
2015年 498,357
5.61% ↑
2014年 471,892
5.22% ↑
2013年 448,489
4.86% ↑
2012年 427,710
4.52% ↑
2011年 409,195
4.21% ↑
2010年 392,649
3.92% ↑
2009年 377,824
3.65% ↑
2008年 364,514
-8.87% ↓
2007年 400,000
-13.04% ↓
2006年 460,000
-8% ↓
2005年 500,000
-4.68% ↓
2004年 524,524
18.41% ↑
2003年 442,985
8% ↑
2002年 410,171
1% ↑
2001年 406,112
1% ↑
2000年 402,092
1% ↑
1999年 398,111
0.9% ↑
1998年 394,564
0.02% ↑
1997年 394,500
2.2% ↑
1996年 386,026
1.2% ↑
1995年 381,452
-1.06% ↓
1994年 385,521
2% ↑
1993年 377,961
3.49% ↑
1992年 365,200
2.3% ↑
1991年 356,980
-21.92% ↓
1990年 457,200
1.35% ↑
1989年 451,100
4.4% ↑
1988年 432,100
5.14% ↑
1987年 410,983
5.88% ↑
1986年 388,152
2.6% ↑
1985年 378,312
1.69% ↑
1984年 372,036
1.66% ↑
1983年 365,944
1.43% ↑
1982年 360,782
0.53% ↑
1981年 358,886
-5.56% ↓
1980年 380,000
-10.17% ↓
1979年 423,000
4.91% ↑
1978年 403,200
7.78% ↑
1977年 374,100
1% ↑
1976年 370,400
1.12% ↑
1975年 366,300
3.39% ↑
1974年 354,300
5.54% ↑
1973年 335,700
-1.44% ↓
1972年 340,600
2.16% ↑
1971年 333,400
2.7% ↑
1970年 324,647
-10.57% ↓
1969年 363,000
-9.7% ↓
1968年 402,000
-8.84% ↓
1967年 441,000
-0.23% ↓
1966年 442,000
0.91% ↑
1965年 438,000
4.26% ↑
1964年 420,117
16.7% ↑
1963年 360,000
-0.28% ↓
1962年 361,000
3.14% ↑
1961年 350,000 -

パラグアイの羊飼養数は、初期のデータが示す1960年代から2022年までの長期間にわたり起伏のある推移を見せてきました。1960年代にはおおよそ35万匹から40万匹台を維持していたものの、1970年代には一旦減少を経験し、おおよそ32万匹から37万匹程度の値を示しました。その後1980年代後半から1990年代には回復傾向を示し、大きな増加が進みました。特に2004年には過去最大値の52.4万匹を記録する一方、このピーク以降は減少傾向へと転じました。

この羊飼養数の変化には、複数の要因が影響を与えていると考えられます。一つ目は、気候条件の変動による飼育環境の変化です。パラグアイは温暖な気候に恵まれた国ながらも、降水量の変動や干ばつなどの環境的要因によって羊の生産量が影響を受けることがあります。2004年のピーク以降の減少は、気候への適応力が限られる牧畜システムが一因となっている可能性があります。二つ目は、経済的理由による牛やその他の家畜飼育へのシフトです。パラグアイは牛肉の輸出大国として知られており、畜産業の優先度が羊飼育から牛飼育へと移行したことが、羊飼養数の減少に拍車をかけていると言えるでしょう。さらに、地政学的リスクや地域ごとの農業政策の変化も羊の生産を妨げる一因となっている可能性があります。

2017年以降の急激な減少は特に興味深い現象で、地元経済や社会的要因が深く関与していると考えられます。加えて、この期間中には異常気象や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行があり、これらが羊飼育に直接的あるいは間接的な負担を与えた可能性が示唆されます。感染症拡大によって労働力が不足したり、市場供給が停滞したことが負の影響を及ぼした可能性があります。

今後、パラグアイが飼養数を回復し、効率的かつ持続可能な羊飼育を実現するためには、いくつかの取り組みが必要です。まず、小規模農家を含む牧畜業者に対して、最新の技術を用いた飼育方法や気候変動への対応策を普及することが役立つでしょう。また、羊肉や羊毛の需要を国内外で啓発し、市場価値を上げることが、新たな収益源確保の鍵となります。さらに、地元での畜産と食品加工産業の連携を強化することで、サプライチェーン全体の安定化を図ることも重要です。

国際的観点から見ると、パラグアイの羊飼育業が周辺国と協力することで地域間の連携を深めることも期待されます。たとえば、他の農業国で実施されている先進的な羊飼育技術を導入したり、輸出向けの規制緩和を推進する戦略が有効かもしれません。また、気候変動への対応策については、国連や地域連合との協力による資金援助や技術提供も重要な役割を果たすでしょう。

まとめると、パラグアイにおける羊飼養数推移の変動は、気候変化や経済的動向、大規模な感染症など、多様な要因に影響を受けています。一連のデータから導き出される教訓として、現地での持続可能な農業方法の強化と、国内、地域、国際レベルでの協力フレームワークの構築が必要不可欠であることが挙げられます。