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ドミニカの羊飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、ドミニカの羊飼養数は1961年の3,500匹から徐々に増加し、2022年には8,387匹に達しています。特に1970年代以降の増加が顕著であり、2000年代以降は安定的でわずかに上昇する傾向が見られます。ただし、2022年はわずかに減少した点も注目されます。このデータはドミニカ国内の畜産業の一翼を担う羊飼養数の推移を示しており、農業経済や食料政策を考える上でも重要です。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 8,426
0.47% ↑
2022年 8,387
-0.99% ↓
2021年 8,471
0.86% ↑
2020年 8,399
0.93% ↑
2019年 8,322
1.48% ↑
2018年 8,201
0.61% ↑
2017年 8,151
0.63% ↑
2016年 8,100
0.61% ↑
2015年 8,051
0.64% ↑
2014年 8,000
1.27% ↑
2013年 7,900 -
2012年 7,900
1.28% ↑
2011年 7,800
2.63% ↑
2010年 7,600 -
2009年 7,600 -
2008年 7,600 -
2007年 7,600 -
2006年 7,600 -
2005年 7,600 -
2004年 7,600 -
2003年 7,600 -
2002年 7,600 -
2001年 7,600 -
2000年 7,600 -
1999年 7,600 -
1998年 7,600 -
1997年 7,600 -
1996年 7,600 -
1995年 7,600 -
1994年 7,600 -
1993年 7,600 -
1992年 7,600
1.33% ↑
1991年 7,500 -
1990年 7,500
1.35% ↑
1989年 7,400
-2.63% ↓
1988年 7,600
2.7% ↑
1987年 7,400 -
1986年 7,400
2.78% ↑
1985年 7,200
2.86% ↑
1984年 7,000
2.94% ↑
1983年 6,800
4.62% ↑
1982年 6,500
4.84% ↑
1981年 6,200
5.08% ↑
1980年 5,900
5.36% ↑
1979年 5,600
5.66% ↑
1978年 5,300
6% ↑
1977年 5,000
6.38% ↑
1976年 4,700
6.82% ↑
1975年 4,400
7.32% ↑
1974年 4,100
7.89% ↑
1973年 3,800
8.57% ↑
1972年 3,500
9.38% ↑
1971年 3,200
7.56% ↑
1970年 2,975
-4.03% ↓
1969年 3,100
-1.59% ↓
1968年 3,150
-1.56% ↓
1967年 3,200
-1.54% ↓
1966年 3,250
-1.52% ↓
1965年 3,300
-1.49% ↓
1964年 3,350
-1.47% ↓
1963年 3,400
-1.45% ↓
1962年 3,450
-1.43% ↓
1961年 3,500 -

ドミニカの羊飼養数の推移を見ると、1961年から2022年の間に明確な変化が起きていることがわかります。1960年代前半は羊飼養数が減少していました。これは、当時の農業における多角化の動きや、他の家畜種の増加が影響していた可能性があります。この時期、牛の飼育や作物栽培へのリソースシフトが要因として考えられるでしょう。

1970年代に入ると羊の数が大幅に増加し、1980年代まで続いています。この期間の増加傾向は、地域経済の成長や、羊肉や羊毛の需要が高まったことと関連があると考えられます。同時に、1970年代は世界的にも畜産業の近代化が進み、牧草地の改善や飼養管理技術の導入が農業の効率を高める時代でもありました。ドミニカもこの波を受けて羊飼育に注力した可能性が高いです。

1990年代から2000年代にかけては羊飼養数が平均して7,600匹前後で横ばいの状態となり、安定化が見られます。この期間は、国内の需要が一定量に達したことや、飼育環境の生産性がピークに近づいたことが要因と考えられます。一方で2000年代後半以降、やや増加傾向が再開し、羊飼育が地域経済にとって引き続き有力な分野であることを示しています。

2022年に比較的小幅ではありますが、羊飼養数が前年より減少した点は特筆に値します。この減少は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済停滞や食料市場の混乱、および自然災害による牧草不足などの複合的要因を反映している可能性があります。特に、畜産業では、供給チェーンの断絶が与える影響が長期化しやすいことが知られています。

ドミニカにおける羊飼養の動向を他国と比較すると、日本は複合農業が主流であり、牧畜業の主軸が他の家畜(牛や豚)に集中するため、羊飼養数はきわめて限定的です。これに対して中国やインド、アメリカなどでは羊が広く飼育されており、気候条件や市場需要による違いが顕著に見られます。同じ中南米地域では、羊飼育が地域によって主要な収入源となるケースが存在し、地域ごとの特性が大きく影響していると言えます。

未来に向けてドミニカの羊飼養業が持続的な成長を目指すためには、飼育技術のさらなる近代化が重要です。例えば、遺伝的改良や飼料の効率的な利用を促進することで、生産性を向上させることができます。また、気候変動のリスクを考慮した牧草地の管理や、水資源利用の効率化も重要な課題です。さらに地政学的な観点から、輸出拡大を視野に入れた市場戦略の構築も必要でしょう。中でも、隣国や欧州市場への輸出を強化することで、飼養数の増加を生産者にとってより意義あるものにすることができます。

国際機関や政府も協力して、農業の持続可能性を促進する政策や支援プログラムの導入が必要です。これには、飼養農家への低利融資の提供や、小規模農家に対する技術研修の実施などが含まれます。こうした取り組みによってドミニカの羊飼養業は、鎖国的な自給自足型ではなく、持続可能で国際的な競争力を持つ産業として発展していくことが期待されます。