エスワティニの羊飼養数は1961年時点で37,764匹でしたが、その後の数十年間にわたり増減を繰り返しました。2000年代から緩やかに回復傾向を見せ、2022年には37,623匹に達しています。過去のデータからは農業政策、灌漑インフラ、干ばつ、疫病などの要因が飼養数の推移に影響を及ぼしていると考えられます。
エスワティニの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 37,623 |
2021年 | 37,320 |
2020年 | 37,017 |
2019年 | 36,696 |
2018年 | 36,093 |
2017年 | 36,019 |
2016年 | 35,992 |
2015年 | 36,014 |
2014年 | 36,000 |
2013年 | 36,000 |
2012年 | 35,500 |
2011年 | 35,000 |
2010年 | 34,500 |
2009年 | 28,000 |
2008年 | 28,000 |
2007年 | 28,000 |
2006年 | 27,000 |
2005年 | 27,000 |
2004年 | 27,000 |
2003年 | 28,000 |
2002年 | 27,000 |
2001年 | 27,000 |
2000年 | 27,000 |
1999年 | 22,370 |
1998年 | 22,752 |
1997年 | 23,482 |
1996年 | 26,500 |
1995年 | 24,282 |
1994年 | 27,000 |
1993年 | 27,093 |
1992年 | 27,756 |
1991年 | 23,782 |
1990年 | 24,431 |
1989年 | 24,803 |
1988年 | 26,464 |
1987年 | 27,777 |
1986年 | 28,034 |
1985年 | 29,585 |
1984年 | 35,125 |
1983年 | 38,550 |
1982年 | 40,138 |
1981年 | 32,924 |
1980年 | 32,274 |
1979年 | 29,750 |
1978年 | 38,012 |
1977年 | 30,952 |
1976年 | 30,817 |
1975年 | 34,628 |
1974年 | 32,885 |
1973年 | 38,184 |
1972年 | 37,247 |
1971年 | 43,089 |
1970年 | 39,749 |
1969年 | 37,032 |
1968年 | 40,592 |
1967年 | 35,778 |
1966年 | 35,958 |
1965年 | 37,472 |
1964年 | 40,409 |
1963年 | 43,201 |
1962年 | 42,775 |
1961年 | 37,764 |
エスワティニにおける羊の飼養数の推移は、同国の農業や環境の変動を理解する上で重要な指標です。羊はエスワティニの畜産業において、肉や羊毛の提供だけでなく、小規模農家にとって経済的な支柱ともいえる存在です。しかし、1961年以来のデータを見ると、羊飼養数は一貫して増加するわけではなく、大きな波を描いて変化しています。この動態は、地域の農業政策や自然環境の影響を色濃く映し出していると考えられます。
特に1970年代から1980年代にかけて、羊の飼養数は減少傾向を見せ、1990年代初頭には24,000匹台まで減少する局面がありました。これは、干ばつや生態学的危機、農業資源の不足などが原因として挙げられます。また、この時期の牧草地の劣化や土地利用の変化が飼育可能な量に制約を課していた可能性があります。一方で、2000年代以降、羊の飼養数は概ね27,000匹で安定し、2010年代にかけて35,000匹台へと回復しつつあります。この回復は、新たな農業支援政策や、畜産技術の向上、さらには環境プログラムの結果と考えられます。
近年のデータを見ると、2022年時点で37,623匹と、1961年の水準にほぼ復したように見えます。この増加は、飼料の供給改善や家畜の健康管理の進展が寄与している可能性があります。また、地球全体の気候変動が局所的に降水量を増加させた結果、一部地域では牧草地が再生しているかもしれません。しかし、この回復は持続可能とは言えず、過去を振り返ると再び減少する可能性が残されています。
エスワティニの羊飼養数の動向にはいくつかの地域特有の課題が存在しています。まず、慢性的な干ばつや土地劣化の脅威があります。また、農業における機械化と土地利用転換が進行するなかで、伝統的な牧畜業は圧迫されています。さらに、気候変動の影響を受ける畜産業全体のリスクが高まっており、突発的な疫病発生への耐性も問われています。
これに対する具体的な提言として、まず、灌漑インフラの整備と効率的な水資源管理の導入が求められます。これにより、干ばつへの耐久性が高まり、牧草地の保護にも繋がるでしょう。また、持続可能な牧草地管理技術を導入し、土地の劣化を防ぎつつ生産性を高めることも重要です。加えて、家畜へのワクチン接種プログラムや病気防止のための予防策を継続的に実施することで、疫病のリスクを軽減できます。
地政学的には、地域の不安定性や周辺国との貿易条件の変化が時に農業生産に影響を及ぼします。エスワティニのような小規模な国家では、畜産業の収益性が国際市場の動向に影響を受けやすく、国際的な協力体制や輸出市場の拡大が必要です。同時に国内市場の安定化を図ることが重要であり、地方での経済連携プロジェクトのような施策も検討すべきです。
結論として、エスワティニの羊飼養数の推移は、農業政策や環境状態の変化を反映しています。この傾向は人間活動と自然環境の複雑な関係を示しており、持続的な発展のために、国家レベル、地域レベル、そして国際的な協力体制のいずれも欠かせません。エスワティニ政府や国際機関は、データに基づいた政策設計を通じて、畜産業のサポートと環境保護を同時に進めるべきです。