国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウガンダにおける羊の飼養数は、長期的には着実に増加しているものの、特定の時期には減少が見られる傾向があることが分かります。特に、1970年代後半から1980年代前半にかけて急激な増加があった一方で、1987年には大幅な減少が記録されています。2000年代以降は上昇傾向が続き、近年では2022年に2,192,607匹と過去最高を記録しました。このような羊飼養の動きは、農業および国の経済構造、地政学的状況、気候変動など、多くの要因によって影響されています。
ウガンダの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 2,192,607 |
2021年 | 2,168,095 |
2020年 | 2,139,189 |
2019年 | 2,086,461 |
2018年 | 2,154,474 |
2017年 | 2,116,855 |
2016年 | 2,066,324 |
2015年 | 1,918,651 |
2014年 | 1,921,000 |
2013年 | 1,968,000 |
2012年 | 1,959,000 |
2011年 | 1,902,220 |
2010年 | 1,847,000 |
2009年 | 1,800,000 |
2008年 | 1,748,000 |
2007年 | 1,697,440 |
2006年 | 1,648,000 |
2005年 | 1,600,000 |
2004年 | 1,552,000 |
2003年 | 1,175,000 |
2002年 | 1,140,800 |
2001年 | 1,180,000 |
2000年 | 1,081,000 |
1999年 | 1,044,000 |
1998年 | 1,014,000 |
1997年 | 980,000 |
1996年 | 951,000 |
1995年 | 924,000 |
1994年 | 897,000 |
1993年 | 871,000 |
1992年 | 845,000 |
1991年 | 820,000 |
1990年 | 780,000 |
1989年 | 750,000 |
1988年 | 700,000 |
1987年 | 650,000 |
1986年 | 1,680,000 |
1985年 | 1,674,000 |
1984年 | 1,602,000 |
1983年 | 1,526,000 |
1982年 | 1,453,500 |
1981年 | 1,384,300 |
1980年 | 1,318,400 |
1979年 | 1,255,600 |
1978年 | 1,195,800 |
1977年 | 1,138,900 |
1976年 | 1,097,000 |
1975年 | 1,051,000 |
1974年 | 996,500 |
1973年 | 921,300 |
1972年 | 887,900 |
1971年 | 915,000 |
1970年 | 827,500 |
1969年 | 775,000 |
1968年 | 783,750 |
1967年 | 790,933 |
1966年 | 755,000 |
1965年 | 754,833 |
1964年 | 861,362 |
1963年 | 760,016 |
1962年 | 832,219 |
1961年 | 865,000 |
ウガンダの羊飼養数推移を振り返ると、初期の1960年代には約86万頭を記録しました。しかし、1960年代半ばから1970年代初頭には一時的な減少が見られました。この背景には、農業政策の変化や気候条件、さらには地域の経済的混乱が影響していると考えられます。ただし、1970年代中盤にかけて再び飼養数が増加し、1978年には初めて100万匹を超え、1980年代中盤には165万匹にまで拡大しました。
一方で、1987年に約65万匹と急激な減少が見られました。この年の変動を分析すると、以前からウガンダ国内で続いていた政治的不安定さや、経済的混乱の影響が大きかったと推察されます。加えて、この時期には干ばつや病気の流行があった可能性も否定できません。低迷から回復するまでには数年間を要しましたが、1990年代後半になると飼養数は再び急上昇し、2000年には約108万匹に達しました。
その後の2000年代は着実な増加が続き、特に2004年には、飼養数が過去の伸びを大きく上回り、155万匹に到達しています。この後も増加は続き、2010年代には200万匹を突破、2022年には219万匹を記録しました。この上昇の背景として、ウガンダ農業の効率化や羊毛や肉の需要増加、政府の支援政策の効果が挙げられます。
ただし、2019年から2020年にかけては、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響で一時的に停滞が見られました。運輸や市場の流通制限、さらには地域衝突の影響により、一部エリアで羊の飼養が困難になったことが原因です。それでも2022年には再び成長し、農業セクターの回復を反映した結果と言えます。
ウガンダの羊飼養にはいくつかの課題があります。一つは、気候変動の進行による牧草地や水資源への影響です。ウガンダは多くの牧草地を持つものの、干ばつや洪水が増加する中でその維持は難しくなっています。また、感染症の発生リスクも深刻で、一部では感染防止に向けたワクチン接種や監視体制の強化が求められています。さらに、地域的な衝突や盗賊行為などの治安問題も、安定した飼養活動を妨げる要因となっています。
これらの問題を解決するために、まず必要なのは持続可能な農業技術の導入です。具体的には、干ばつに強い牧草の栽培や水の効率的な使用、雨水の収集技術の普及があげられます。また、防疫体制の強化のために、国際機関や他国との協力を進めて感染症の監視と管理を行うことが重要です。そして、治安の向上を目的に、地域コミュニティと協力したセキュリティ強化策が必要とされます。
羊の飼養数の推移は、国の経済状況に直結するだけでなく、ウガンダ社会全体の持続可能性を示す重要な指標です。そのため、政府や国際機関は、この分野でのさらなる資源投資と政策強化を進めるべきです。特に、地域間協力の枠組みを活用して共有の課題に対処することが、今後の課題解決につながると考えられます。