トルクメニスタンの羊の飼養数は、1992年から2022年の30年間で大きな増加を記録しています。特に2000年代初頭には急速な伸びを見せ、その後は14,000,000匹前後で安定しています。2022年の時点では14,281,484匹と、1992年の5,380,000匹から約2.65倍となっています。しかし、一部年度では減少傾向も見られ、特に2008年のピーク(15,330,800匹)の後には一時的な減少が観察されています。
トルクメニスタンの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 14,281,484 |
2021年 | 14,163,765 |
2020年 | 14,061,354 |
2019年 | 14,293,000 |
2018年 | 14,183,774 |
2017年 | 14,139,959 |
2016年 | 14,225,234 |
2015年 | 14,125,880 |
2014年 | 14,000,000 |
2013年 | 14,000,000 |
2012年 | 14,000,000 |
2011年 | 13,650,000 |
2010年 | 13,600,000 |
2009年 | 13,512,900 |
2008年 | 15,330,800 |
2007年 | 13,758,000 |
2006年 | 13,900,000 |
2005年 | 13,089,000 |
2004年 | 12,400,000 |
2003年 | 12,400,000 |
2002年 | 10,350,000 |
2001年 | 8,230,000 |
2000年 | 7,500,000 |
1999年 | 6,800,000 |
1998年 | 6,000,000 |
1997年 | 5,400,000 |
1996年 | 6,150,000 |
1995年 | 6,100,000 |
1994年 | 6,000,000 |
1993年 | 6,000,000 |
1992年 | 5,380,000 |
トルクメニスタンでは、羊は経済と生活の重要な部分を占めています。羊の飼養数は国際連合食糧農業機関(FAO)の統計に基づくと、ここ30年間で急激に増加しました。1992年には5,380,000匹であった飼養数が2003年には12,400,000匹と、約10年で2倍以上の成長を遂げました。これは農業政策や牧畜における技術革新、そして肉や羊毛の需要増加が要因と考えられます。
特に目を引くのは1999年から2003年にかけての急増です。1999年には6,800,000匹だった飼養数が2003年には12,400,000匹に達しており、この間の年平均成長率は約16%と急激な伸びを見せました。この増加には、資源豊富な国土を利用した牧場拡大、国内外需の増加、羊毛産業の発展が影響していると考えられます。しかし2008年に記録されたピークの15,330,800匹を境に、減少に転じた年もありました。この減少の背景には、気候変動による干ばつなどの環境的要因、経済的不安定性、さらには羊飼育のコスト上昇があると推測されます。
近年(2016年以降)はおおむね14,000,000匹前後で安定しています。この安定傾向は、飼養規模の拡大が飽和点に達したことを示唆しますが、同時に持続可能性を重視した飼養体制への移行を示している可能性もあります。多頭化による環境への負担を軽減するための対策や、生産効率向上を目指した技術導入なども進んでいると考えられます。
地政学的リスクもまた、この地域の羊飼養動向に影響を与える重要な要素です。トルクメニスタンは中央アジアの安定した国家の一つとされていますが、かつて周囲の国々で見られた地域紛争や経済危機の余波が、輸出市場やトルクメニスタン国内の牧畜産業にも一定の影響を及ぼしてきたと考えられます。
今後の課題としては、気候変動に伴う干ばつや極端気象への適応、羊の衛生管理の強化、そして持続可能な牧畜システムの確立が挙げられます。特に、水源の管理や植生保護を通じた牧草地の維持は緊急性が高い課題です。技術革新による効率性向上や、さらなる付加価値創出を視野に入れた製品(例えば羊毛製品や肉の高品質化)のグローバル市場開拓も重要です。
国際機関や隣国との協力を強化することで、これらの課題解決に向けた取り組みが進展する可能性があります。また、国内外の研究機関や民間企業との連携を深め、新しい牧畜技術の導入や市場支援を進めることも有益です。トルクメニスタンが抱える地政学的背景や自然条件を上手に利用し、安定的で持続可能な成長を続けていくためには、気候適応型の政策や国際的な協力の枠組みを一層重視する必要があります。
全体を通じて、1992年以降の羊飼養数推移はトルクメニスタンの牧畜業が抱える可能性と課題を如実に示しています。政策と技術の両面での努力を通じて、より持続可能な未来を実現することが期待されます。