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ケニアの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ケニアの羊飼養数は1961年の約430万匹から2022年には2,580万匹を超えるまでに成長しています。このデータは、ケニアの羊の飼養が経済的、社会的に重要であることを示しています。一方で、一部の期間で急激な増加や減少があり、飼養数の変動が明確です。特に、2007年以降の増加、2019年の急上昇、そしてその後の微減は注目すべき動向です。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 23,208,541
-10.09% ↓
2022年 25,814,057
4.08% ↑
2021年 24,801,605
-2.15% ↓
2020年 25,345,927
-7.14% ↓
2019年 27,294,639
40.08% ↑
2018年 19,485,699
3.87% ↑
2017年 18,759,072
-1.18% ↓
2016年 18,983,760
13.03% ↑
2015年 16,795,198
-2.78% ↓
2014年 17,275,423
4.06% ↑
2013年 16,600,911
3.01% ↑
2012年 16,115,701
-9.57% ↓
2011年 17,821,600
1.48% ↑
2010年 17,562,104
2.52% ↑
2009年 17,129,606
-0.04% ↓
2008年 17,135,920
5.08% ↑
2007年 16,308,120
99.44% ↑
2006年 8,176,848
-18.51% ↓
2005年 10,033,881
-2.57% ↓
2004年 10,298,464
26.25% ↑
2003年 8,157,048
-12.18% ↓
2002年 9,288,633
22.07% ↑
2001年 7,609,086
-4.16% ↓
2000年 7,939,500
-6.83% ↓
1999年 8,521,110
20.98% ↑
1998年 7,043,582
-7.52% ↓
1997年 7,616,194
-0.54% ↓
1996年 7,657,758
-6.7% ↓
1995年 8,208,000
0.94% ↑
1994年 8,131,400
-4.34% ↓
1993年 8,500,000
-3.41% ↓
1992年 8,800,000
-4.2% ↓
1991年 9,185,350
1.5% ↑
1990年 9,049,610
-4.62% ↓
1989年 9,488,410
24.27% ↑
1988年 7,635,060
40.38% ↑
1987年 5,438,750
-8.32% ↓
1986年 5,932,640
-15.25% ↓
1985年 7,000,000
9.05% ↑
1984年 6,419,100
-2.57% ↓
1983年 6,588,200
4.57% ↑
1982年 6,300,000
5% ↑
1981年 6,000,000
20% ↑
1980年 5,000,000
16.31% ↑
1979年 4,299,000
8.02% ↑
1978年 3,980,000
13.71% ↑
1977年 3,500,000
14.38% ↑
1976年 3,060,000
3.9% ↑
1975年 2,945,000
-7.97% ↓
1974年 3,200,000
-8.57% ↓
1973年 3,500,000
-6.67% ↓
1972年 3,750,000
-2.6% ↓
1971年 3,850,000
-1.28% ↓
1970年 3,900,000
-3.85% ↓
1969年 4,056,000
-3.43% ↓
1968年 4,200,000
1.33% ↑
1967年 4,145,000
1.1% ↑
1966年 4,100,000
1.23% ↑
1965年 4,050,000
0.27% ↑
1964年 4,039,000
3.56% ↑
1963年 3,900,000
1.51% ↑
1962年 3,842,000
-10.65% ↓
1961年 4,300,000 -

ケニアの羊飼養の推移データを分析すると、この国における羊の飼養状況の春秋が見えてきます。1960年代から1970年代にかけて、飼養数はおおよそ400万匹前後で推移していましたが、1973年以降は減少傾向が見られ、1975年には約2,945,000匹と大きく減少しています。この時期には旱魃や土地利用の変化などの影響が羊の飼養数減少の要因となった可能性があります。

1980年代に入ると羊飼養数は急激に回復し、1989年には9,488,410匹と倍増しました。この回復の背景には、ケニア政府による農業の近代化政策や、より効率的な家畜管理技術の普及が影響したと考えられます。しかしこの後も1990年代後半にかけて年ごとの変動が大きく、飼養数は安定していないことがわかります。

2000年代に入り、特筆すべきは2007年から始まった急激な増加です。2007年には1,600万匹を超え、2010年代末には2,700万匹近くに達しています。この増加には、ケニアの農牧地帯が拡大するとともに、輸出市場の需要が高まったことや、羊毛や羊肉の需要の拡大が寄与したと考えられます。一方、この期間には乾燥化の進行や新型の家畜病の発生といった課題もあり、これらが一部の減少年に影響した可能性があります。

特に2019年には、飼養数が史上最高を記録して27,294,639匹に到達しています。この増加には、気候や市場価格の安定が関与しているかもしれません。しかし、その翌年2020年以降、飼養数は若干減少し2022年には2,581万匹となっています。この現象は、新型コロナウイルス感染症の影響による輸送や飼料供給の制約、または気候変動による農牧地の状況の変化が原因と推測されます。

ケニアの羊飼養数の推移から見える課題の一つは、気候変動とその影響です。羊の飼養は乾燥地帯で行われることが多いですが、旱魃や不規則な雨季の発生頻度が高まることで、羊の飼料供給が不安定になりかねません。また、家畜疾病のリスクも増加しており、これが生産量や国際市場での売上に影響を与える可能性があります。

このような課題に対応するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、飼料生産を強化するために耐乾燥性のある牧草の導入や、雨水の効率的な利用技術が優先されるべきです。また、家畜疾病を抑制するために、予防接種プログラムを拡充させることが効果的と考えられます。さらに、国際市場での需要を支えるために、品質管理システムの整備や輸出用の新たな物流経路の確立も視野に入れるべきです。

地政学的には、ケニアの農牧業と羊の飼養業は地域全体の食料安定や経済繁栄に寄与しています。一方で、近隣国間で資源争奪が激化すれば国境地帯の牧草地利用が制限される可能性があるため、地域間での協力を強化する枠組みづくりが鍵となるでしょう。

結論として、ケニアにおける羊飼養の成長は目覚ましいものがありますが、気候変動や感染症拡大、地政学的問題などのリスク管理が不可欠です。FAOや地域的な農業協力機関と連携することで、ケニアの羊飼養の持続可能性を高めることが期待されます。