Skip to main content

ウルグアイの羊飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウルグアイの羊の飼養数は1961年に21,737,856匹とピーク時に近い水準を記録しましたが、2022年には6,164,000匹まで減少しました。特に1990年代以降は急激な減少が目立っており、現在では1960年代と比較して約3分の1以下の水準となっています。

年度 飼養数(匹) 増減率
2023年 5,927,000
-3.84% ↓
2022年 6,164,000
-1.11% ↓
2021年 6,233,128
-1.64% ↓
2020年 6,337,000
-3.43% ↓
2019年 6,562,000
2.55% ↑
2018年 6,399,000
-2.53% ↓
2017年 6,565,000
0.29% ↑
2016年 6,546,000
-1.52% ↓
2015年 6,647,000
-10.5% ↓
2014年 7,427,000
-9.32% ↓
2013年 8,190,000
-0.43% ↓
2012年 8,225,000
10.05% ↑
2011年 7,474,000
-3.06% ↓
2010年 7,710,000
-10.99% ↓
2009年 8,662,000
-9.37% ↓
2008年 9,558,000
-7.41% ↓
2007年 10,323,000
-6.89% ↓
2006年 11,087,000
2.21% ↑
2005年 10,847,000
11.07% ↑
2004年 9,766,000
-2.1% ↓
2003年 9,975,000
-7.65% ↓
2002年 10,801,000
-10.61% ↓
2001年 12,083,000
-8.45% ↓
2000年 13,198,000
-8.92% ↓
1999年 14,491,000
-12.15% ↓
1998年 16,495,000
-9.76% ↓
1997年 18,280,000
-7.43% ↓
1996年 19,747,000
-2.27% ↓
1995年 20,205,000
-4.83% ↓
1994年 21,230,000
-8.89% ↓
1993年 23,301,000
-6.92% ↓
1992年 25,034,000
-5.93% ↓
1991年 26,611,000
5.41% ↑
1990年 25,245,000
1.5% ↑
1989年 24,871,584
0.74% ↑
1988年 24,689,168
2.85% ↑
1987年 24,006,000
2.87% ↑
1986年 23,336,576
10.1% ↑
1985年 21,196,000
2.71% ↑
1984年 20,637,008
0.93% ↑
1983年 20,447,200
0.69% ↑
1982年 20,306,848
-0.41% ↓
1981年 20,390,688
1.79% ↑
1980年 20,033,008
16.25% ↑
1979年 17,233,008
6.66% ↑
1978年 16,157,000
1.15% ↑
1977年 15,974,000
2.09% ↑
1976年 15,647,000
3.84% ↑
1975年 15,069,000
2.29% ↑
1974年 14,732,000
-7.36% ↓
1973年 15,902,339
2.72% ↑
1972年 15,482,000
-12.47% ↓
1971年 17,687,008
-11.09% ↓
1970年 19,892,752
-12% ↓
1969年 22,606,000
5.14% ↑
1968年 21,500,000
0.47% ↑
1967年 21,400,000
-7.27% ↓
1966年 23,078,544
5.51% ↑
1965年 21,874,000
-0.11% ↓
1964年 21,898,000
0.32% ↑
1963年 21,829,008
0.35% ↑
1962年 21,753,008
0.07% ↑
1961年 21,737,856 -

ウルグアイは、昔から世界的な羊毛や羊肉の生産国として知られています。特に1960年代から1980年代中頃にかけて羊の飼養数は2000万匹を超える時期が多く、1988年には約2,468万匹の水準を記録しました。しかし、その後の推移を見ると、1990年から急激な減少傾向を示し始め、2000年には1,319万匹、さらに2022年には約616万匹にまで削減されました。

この羊飼養数の減少には複数の要因が影響しています。まず主要な理由の一つとして、国際的な羊毛需要の変化が挙げられます。1980年代以降、合成繊維の普及に伴い、羊毛の需要が減少しました。これにより、ウルグアイのような羊毛輸出に依存していた国々は、主要市場を失うこととなりました。また、ウルグアイ国内においても、畜産業の構造変化が進みました。牛肉の世界的需要が増加したことで、羊から牛への転換が進む傾向が見られています。

環境面でも影響がありました。ウルグアイは温暖な気候を有しますが、近年の気候変動の影響による干ばつや大雨など、飼養に適した条件が揺らぎつつあります。さらに、農地利用の変化も見逃せず、農業の集約化が進む中で牧草地が減少し、中小規模の牧羊業者が経済的な厳しい選択を迫られている点も背景にあります。

羊の飼養数が減少した結果、国際市場でのウルグアイ産羊毛や羊肉の競争力が低下し、これが地域経済にも波及しています。特に、羊を中心とした産業が基盤となっていた地方では、関連する加工業や輸送業の衰退も見られます。一方で、国全体としては観光業や農業の多様化の促進により、経済的なバランスは徐々に保たれてきていますが、羊産業自体の衰退は深刻な課題として残されています。

未来を考慮した場合、ウルグアイは持続可能な羊産業の再構築を目指すべきです。これは、環境負荷を軽減しつつ、産業の価値を高めるアプローチを取ることを意味します。例えば、高品質なウールや有機羊肉の生産に焦点を当てたブランド化を進め、これを海外市場につなげることが一つの方法です。また、気候に適応した牧草育成や放牧技術の導入、さらには農業形態の多角化なども重要です。さらに、政府や国際機関、民間企業が協力し、域内の経済的支援や研究開発を充実させることが求められます。

地政学的な視点を加えると、ウルグアイ産の羊製品は南米における重要な輸出品目となり得ますが、他地域や国との競争は避けられません。同時に、貿易規制や動植物の疫病対策も重要性を増しつつあります。たとえば2020年代に経験した新型コロナウイルスの影響は、食品供給網や貿易に深刻な打撃を与え、ロジスティクスの脆弱性が露呈しました。将来的には、これらのリスクを軽減するために地域間協力を強化し、南米全体での畜産産業の振興を図ることも有意義でしょう。

結論として、データが示す羊飼養数の継続的な減少は、多面的な要因が組み合わさった結果であり、単純な要因によるものではありません。この課題に対処するためには、短期的な対応だけでなく、長期的な視野での産業変革が必要です。そして、国や地域が持つ資源や知識を活用しながら、国際市場での地位を再確立する取り組みが不可欠であると言えます。