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フランスの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによれば、フランスの羊飼養数は1961年の9,063,000匹から1982年には13,525,000匹に増加しましたが、その後は減少傾向が続き、2022年には6,597,520匹まで減少しました。この推移は、農業政策、経済変化、消費嗜好、気候変動など、複数の要因が影響している可能性を示しています。

年度 飼養数(匹)
2022年 6,597,520
2021年 6,994,630
2020年 6,998,710
2019年 7,105,000
2018年 7,166,000
2017年 6,901,456
2016年 7,045,970
2015年 7,064,541
2014年 7,181,130
2013年 7,239,057
2012年 7,461,934
2011年 7,658,771
2010年 7,962,418
2009年 8,093,182
2008年 8,189,215
2007年 8,475,573
2006年 8,905,186
2005年 9,094,005
2004年 9,178,090
2003年 9,287,212
2002年 9,335,856
2001年 9,437,367
2000年 9,577,612
1999年 9,723,998
1998年 9,865,622
1997年 9,976,022
1996年 10,163,188
1995年 10,286,651
1994年 10,400,600
1993年 10,481,291
1992年 10,737,574
1991年 11,022,434
1990年 11,208,800
1989年 11,208,000
1988年 11,495,000
1987年 12,044,045
1986年 12,432,458
1985年 12,676,000
1984年 13,035,000
1983年 12,926,000
1982年 13,525,000
1981年 12,846,000
1980年 11,911,044
1979年 11,641,500
1978年 11,415,000
1977年 11,046,000
1976年 10,803,000
1975年 10,568,000
1974年 10,375,000
1973年 10,442,000
1972年 10,114,600
1971年 10,238,800
1970年 10,036,700
1969年 9,794,100
1968年 9,509,600
1967年 9,185,600
1966年 9,055,900
1965年 8,820,700
1964年 8,626,000
1963年 8,944,900
1962年 8,924,000
1961年 9,063,000

フランスは農業分野におけるヨーロッパ有数の先進国であり、特に畜産業においても重要な役割を果たしてきました。しかし、羊の飼養数に関しては、この60年間で大きな変動がありました。1960年代から1980年代初頭にかけては大幅な増加が見られ、1982年には13,525,000匹とピークに達しました。しかし、その後は継続的に減少し、2022年の時点で6,597,520匹にまで落ち込んでいます。

この推移の背景にはいくつかの要因が考えられます。一つ目は、フランス国内の伝統的な羊肉消費が減少傾向にあることです。都市化によるライフスタイルの変化や消費者の食生活の多様化により、家禽肉や豚肉など羊肉以外の消費量が増加しています。さらに、羊毛産業も合成繊維などの普及により需要が縮小し、飼養数の減少に影響を及ぼしていると考えられます。また、特に1980年代以降の農業政策の転換が、家畜の飼養全体に影響を与えました。欧州連合(EU)の共通農業政策(CAP)は生産補助金の削減、環境保護施策の強化といった要素を含み、羊農家の経営圧力を高めたと推察されます。

加えて、気候変動が羊飼養業に与える影響も無視できません。乾燥化や異常気象の影響により放牧地が減少し、水資源も不足しがちです。加えて、疫病や感染症も飼養数の減少に影響を与えています。特に2000年代の新型感染症の流行や、それに伴う規制の強化は、農家の飼養維持を困難にしたと言えるでしょう。

このような現状を踏まえ、フランスの羊農業にはいくつかの課題が浮かび上がります。一つ目は、羊肉や羊毛の市場拡大に向けた販路の多様化が必要であるという点です。特にアジアや中東など、羊肉の需要が高い地域への輸出拡大が今後の課題となります。また、環境への配慮と持続可能な農業の実現に向けた政策を強化することも求められています。環境負荷を軽減する放牧技術の導入や、気候変動に耐えられる牧草地の整備などがその一例として挙げられます。

さらに、地域経済の活性化と羊農家への支援策が重要です。例えば、中小規模の羊農家に対する補助金の再検討や、若者が羊農業に参入できる環境を整えることが挙げられます。また、災害や疫病の発生に備えたリスク管理の強化、ICTを活用した効率的な管理システムの導入も、現代的な課題解決手段として注目されます。

国際機関や他国との協力も欠かせません。フランスは、オーストラリアやニュージーランドなど主要な羊産業国と連携を深めることで、技術共有や研究開発への取り組みを強化することができます。また、地政学的なリスクにも備えるため、輸出先の多角化や、紛争地域からの輸入に過度に依存しない供給チェーンの構築が求められるでしょう。

フランスの羊飼養数の減少には複合的な背景があり、その解決には多層的なアプローチが必要です。これを機に、フランスの畜産業全体の持続可能性を見直しつつ、新たな技術と方法を取り入れることが今後の重要な課題となります。国際的な協力と政策的な対応が期待される中、フランスは羊飼養の新たなモデルを構築することで、畜産業全体の未来を見据えた展望を描くべき時期に来ているといえるでしょう。