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イギリスの羊飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、イギリスの羊飼養数は1961年から2022年にかけて大きな増減を繰り返してきました。特に、1976年に急激に減少した後、1980年代に劇的に増加したことが特徴的です。近年では減少傾向が続く中、2022年の飼養数は33,066,000匹となっており、わずかな回復の兆しがあります。

年度 飼養数(匹)
2022年 33,066,000
2021年 32,957,000
2020年 32,697,000
2019年 33,580,000
2018年 33,781,000
2017年 34,832,000
2016年 33,943,000
2015年 33,337,000
2014年 33,743,000
2013年 32,856,000
2012年 32,215,000
2011年 31,634,000
2010年 31,084,000
2009年 31,445,000
2008年 33,131,000
2007年 33,946,000
2006年 34,722,000
2005年 35,253,048
2004年 35,848,000
2003年 35,846,000
2002年 35,834,280
2001年 36,716,000
2000年 42,264,000
1999年 44,656,000
1998年 44,471,000
1997年 42,823,000
1996年 42,086,000
1995年 43,304,000
1994年 43,813,000
1993年 44,436,000
1992年 44,540,000
1991年 43,639,000
1990年 43,828,000
1989年 43,012,000
1988年 41,028,000
1987年 38,776,000
1986年 37,031,000
1985年 23,946,000
1984年 23,317,008
1983年 22,944,000
1982年 22,200,000
1981年 21,604,000
1980年 21,609,008
1979年 21,715,008
1978年 20,567,008
1977年 19,942,000
1976年 28,265,008
1975年 28,364,000
1974年 28,605,008
1973年 28,049,504
1972年 26,983,008
1971年 26,088,608
1970年 26,189,888
1969年 26,717,264
1968年 28,123,936
1967年 29,007,920
1966年 30,079,520
1965年 30,029,104
1964年 29,773,584
1963年 29,454,304
1962年 29,604,480
1961年 29,069,936

イギリスの羊飼養数推移を詳しく見ると、1961年の29,069,936匹から1980年代半ばまでおよそ20年をかけてゆるやかな減少が続きましたが、1986年には37,031,000匹と大幅に増加しました。1980年代から1990年代にかけて、飼養数のピークを迎え、1999年には44,656,000匹と統計上で最大値を記録しました。しかし、それ以降の飼養数は減少し、2000年以降は特に顕著な減少傾向が見られます。

1977年に19,942,000匹にまで急減した背景には、経済政策の転換や農業補助金削減の影響があると考えられ、これにより羊の飼養が一時的に収益を上げづらい状況に陥った可能性があります。一方、1980年代の増加は、欧州共同体(現在のEU)の共通農業政策(CAP)による補助金の積極的な導入や、羊肉および羊毛の需要増加に支えられた結果とみられます。

ところが、2001年には飼養数が36,716,000匹に急減しています。この年、イギリスで発生した口蹄疫(こうていえき)の大流行が原因とされます。この疫病により多くの羊が殺処分されたこと、また貿易制限や農場経営への悪影響が長期化したことが主な要因です。その後の回復は緩やかであり、2000年代後半から現在に至るまで、基本的には33,000,000匹前後の水準を維持しています。しかし、近年の数字を見ると、2020年の32,697,000匹からはわずかに回復しており、2022年には33,066,000匹と若干の増加が見られます。

イギリス国内での羊飼養数の変動には、多くの地政学的背景や気候変動が影響を及ぼしています。例えば、ブレグジットによるEU離脱後では、地域間の貿易協定が再編され、イギリス農家が直面するコストや市場環境が変化しました。特に、羊毛や羊肉を中心とした輸出市場の不確実性は、農業者に新たな課題をもたらしています。また、気候変動による牧草地の環境変化や降雨量の不安定化も、羊飼養への影響を与える要素です。

今後の課題として、イギリス政府および国際社会には、農業支援の仕組みを再検討し、持続可能な牧畜業への転換を促進する必要性があります。例えば、地域ごとに適切な気候変動対策を講じることが挙げられます。また、技術革新を活用し、農場の効率化や羊毛の新たな用途の開発を進めることで市場価値を高める戦略も効果的でしょう。

結論として、イギリスの羊飼養数の変動は、政策、疫病、貿易環境、そして気候変動といった多様な要因に密接に関連しています。これらの影響を理解し、今後の環境変化に対応するために、農業者、研究者、政策立案者が協力して持続可能な道筋を模索することが重要です。具体的には、EU外の新興市場への輸出促進や、気候変動に適した農場設計の推進を含む、長期的な戦略が必要となるでしょう。