Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、カーボベルデの羊の飼養数は1961年には1,500匹でしたが、その後増減を繰り返しながら長期的には増加傾向を示しています。特に1980年代から1990年代にかけて急激な増加が見られ、さらに2020年以降では劇的な増加が観察され、2022年には19,229匹に達しました。このデータは、カーボベルデの農畜産業における羊の重要性が増していることを示唆しています。
カーボベルデの羊飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(匹) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 19,464 |
1.22% ↑
|
2022年 | 19,229 |
1.22% ↑
|
2021年 | 18,997 |
1.22% ↑
|
2020年 | 18,768 |
49.9% ↑
|
2019年 | 12,520 |
-0.79% ↓
|
2018年 | 12,620 |
-0.04% ↓
|
2017年 | 12,625 |
4.95% ↑
|
2016年 | 12,029 |
1.22% ↑
|
2015年 | 11,884 |
1.23% ↑
|
2014年 | 11,740 |
1.22% ↑
|
2013年 | 11,599 |
1.22% ↑
|
2012年 | 11,459 |
1.22% ↑
|
2011年 | 11,321 |
2.92% ↑
|
2010年 | 11,000 |
4.76% ↑
|
2009年 | 10,500 |
3.95% ↑
|
2008年 | 10,101 |
21.76% ↑
|
2007年 | 8,296 |
1.97% ↑
|
2006年 | 8,136 |
-14.36% ↓
|
2005年 | 9,500 |
-8.65% ↓
|
2004年 | 10,400 |
12.85% ↑
|
2003年 | 9,216 |
8.42% ↑
|
2002年 | 8,500 |
0.59% ↑
|
2001年 | 8,450 | - |
2000年 | 8,450 |
-6.11% ↓
|
1999年 | 9,000 |
-9.09% ↓
|
1998年 | 9,900 |
12.5% ↑
|
1997年 | 8,800 |
1.13% ↑
|
1996年 | 8,702 |
-5.58% ↓
|
1995年 | 9,216 |
15.2% ↑
|
1994年 | 8,000 |
9.04% ↑
|
1993年 | 7,337 |
9.79% ↑
|
1992年 | 6,683 |
9.79% ↑
|
1991年 | 6,087 |
9.79% ↑
|
1990年 | 5,544 |
-1% ↓
|
1989年 | 5,600 |
33.56% ↑
|
1988年 | 4,193 |
-5.56% ↓
|
1987年 | 4,440 |
93.04% ↑
|
1986年 | 2,300 |
71.64% ↑
|
1985年 | 1,340 |
-10.67% ↓
|
1984年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
1983年 | 1,400 |
16.67% ↑
|
1982年 | 1,200 | - |
1981年 | 1,200 | - |
1980年 | 1,200 |
-20% ↓
|
1979年 | 1,500 |
-6.25% ↓
|
1978年 | 1,600 | - |
1977年 | 1,600 | - |
1976年 | 1,600 | - |
1975年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
1974年 | 1,500 | - |
1973年 | 1,500 |
-9.04% ↓
|
1972年 | 1,649 |
0.3% ↑
|
1971年 | 1,644 |
-15.17% ↓
|
1970年 | 1,938 |
-42.9% ↓
|
1969年 | 3,394 |
13.13% ↑
|
1968年 | 3,000 |
17.97% ↑
|
1967年 | 2,543 |
-34.68% ↓
|
1966年 | 3,893 |
150.19% ↑
|
1965年 | 1,556 |
-19.5% ↓
|
1964年 | 1,933 |
-8.26% ↓
|
1963年 | 2,107 |
27.54% ↑
|
1962年 | 1,652 |
10.13% ↑
|
1961年 | 1,500 | - |
カーボベルデにおける羊飼養数の推移を見ると、政策や経済、気候変動などの影響を受けながらも、全体的には長期的に増加していることがわかります。1961年の1,500匹から2022年の19,229匹へと、約60年間で12倍以上に増加しました。このような変化は、同国の社会経済的背景、地政学的要因、そして国内外の需要の変化を反映したものであると言えます。
1960年代から1970年代にかけては大きな振れ幅が見られます。この時期は、カーボベルデのインフラ整備や経済構造が未成熟であったことに加え、気候変動や干ばつなどの自然災害が地域の農業に大きな影響を与えたと考えられます。特に1966年には飼養数が急増し3,893匹に達しましたが、その後数年間で再び減少し、不安定な状況が続きました。このような短期的な変動は、農業技術の発展や餌供給量の変化だけでなく、地域の気候条件が大きく影響していたと思われます。
一方で、1980年代以降には漸進的な回復とともに羊の飼養数が増加の兆しを見せています。この時期は家畜管理技術の効率化や国際的な農業支援の強化が進んだ時代であり、こうした要因が安定した飼養環境の確保を促進したと推測されます。特に1987年から1995年の急増期間は、地元需要の拡大と輸出産業における羊製品の重要性が高まった可能性を示しています。この傾向は世界的な羊肉や羊毛需要の増加とも関連しているかもしれません。
2000年代に入ると、飼養数は一時的に横ばいを記録するものの、再び増加基調に転じ、特に2010年以降は急速な上昇が確認されます。2020年の急激な増加から2022年の19,229匹という数字は、世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が背景にある可能性も考えられます。同期間中、国際的な貿易の停滞によって地元資源の利用が増加したり、経済的な状況から家計副業としての畜産に注力する傾向が強まったりした結果として、羊の飼養数が飛躍的に拡大したことが考えられます。
現在の課題としては、環境負荷の調整と持続的な畜産業の確立が挙げられます。羊の飼養数が増え続ける一方で、土地の過放牧や水資源の不足が問題化する可能性があります。特にカーボベルデのような乾燥気候の影響を受けやすい地域では、家畜飼育は土地の砂漠化を引き起こす恐れがあります。このため、政府と農家は協力して持続可能な飼養方法を推進し、放牧地管理の効率化や水資源利用技術の改善を目指す必要があります。
未来への具体的な提言としては、地域間協力を通じた知識共有の促進が挙げられます。例えば、地中海地域やアフリカの似たような気候帯の国々との技術交流を活用することで、適切な牧畜手法を採用することが可能になるでしょう。また、相対的に牧畜生産性の高い国、例えばオーストラリアやニュージーランドなどからベストプラクティスを学ぶことも有益と考えられます。さらに、政府は羊製品の輸出拡大を目的とした認証制度の普及や国際マーケティングへの支援を強化するべきです。
結論として、カーボベルデの羊飼養数の増加は、同国の畜産業の発展と農村経済の拡大の証拠としてポジティブに評価できます。しかし、この成長が持続可能であるためには、長期的な観点で環境保護と資源管理に注力することが不可欠です。同時に、国際的な協力を活用して革新的な解決策を導入することで、カーボベルデの畜産業がさらに持続可能な形で発展できる未来を目指すべきです。