万博とは
万博とは、「万国博覧会(ばんこくはくらんかい)」の略称で、世界各国が文化や技術、産業などを紹介する国際的な大博覧会です。英語では「Expo(エキスポ)」と呼ばれています。
万博は、国際機関「BIE(博覧会国際事務局)」の認定を受けて開催され、5年ごとに行われる「登録博覧会」が特に有名です。
世界中の未来をつなぐ場所として、技術革新や文化交流の場としても注目されています。
万博の主な特徴
1. 世界の国々が参加
万博には世界中から多くの国や地域が参加し、それぞれが独自のパビリオン(展示館)を建設します。パビリオンでは、その国の文化、歴史、最先端技術、環境への取り組み、芸術作品、伝統工芸、さらには食文化まで幅広い分野が紹介されます。
訪れる人々は、世界を旅するような感覚で各国を巡り、それぞれの国が持つ魅力や課題、未来へのビジョンに触れることができます。
特に、各国が競うように凝った建築デザインや、インタラクティブな展示を用意しているため、視覚・体験型イベントとしても大きな注目を集めています。
また、国際交流の促進を目的としたワークショップやステージパフォーマンスも開催され、万博はまさに地球規模の交流の場となるのです。
2. テーマがある
万博には、開催ごとに明確なテーマが設定されます。テーマは、その時代背景や社会的課題を反映しており、すべての展示やイベントはこのテーマに基づいて企画されます。
たとえば、
- 2020年ドバイ万博では、「心をつなぎ、未来を創る(Connecting Minds, Creating the Future)」というテーマのもと、モビリティ、サステナビリティ、機会の3つのサブテーマを中心に、未来社会の構築を目指す展示が行われました。
- 2025年大阪・関西万博では、「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」をテーマに、医療や健康、持続可能な環境、共生社会のあり方に焦点を当てた展示が予定されています。
このテーマ性により、万博は単なる「お祭り」ではなく、世界が直面する課題への解決策を探る場、そして未来へのヒントを見つける場となっています。
3. 最新技術の発表の場
万博は、常に未来を先取りする最先端技術が発表される場として知られています。
過去には、
- 1851年ロンドン万博で初めてエレベーターが登場
- 1876年フィラデルフィア万博で電話機が紹介
- 1939年ニューヨーク万博でテレビ放送が実演される など、世界を変えた技術革新の数々が万博で初披露されました。
最新のロボット技術、AI(人工知能)、バイオテクノロジー、クリーンエネルギー技術、さらには宇宙開発関連の展示まで、未来社会を切り開く可能性を持った発明や研究成果が一堂に会するため、技術者や企業関係者だけでなく、一般来場者にとっても大きな刺激となります。
また、2025年大阪・関西万博でも、空飛ぶクルマ(eVTOL)、次世代医療技術、持続可能なエネルギーソリューションなどが紹介される予定で、私たちの生活を大きく変えるきっかけが生まれるかもしれません。
これまでに開催された主な国際博覧会
過去の有名な万博例
歴史を振り返ると、世界各地で数多くの万博が開催されてきました。
- 1851年 ロンドン万博:世界初の万博で、クリスタル・パレス(巨大なガラス建築)が話題に。
- 1970年 大阪万博:日本で初めて開催された万博で、「太陽の塔」や「人類の進歩と調和」をテーマに多くの来場者を魅了。
- 2010年 上海万博:過去最多となる7300万人以上の来場者を記録し、「より良い都市、より良い生活」をテーマに大成功を収めました。
そして、2025年には再び大阪・関西万博が開催され、世界中から注目を集めています。
国際博覧会一覧
開催年 | 国際博覧会の名称 | 詳細 | 区分 | 開催日数 | 入場者概数 |
---|---|---|---|---|---|
1851年 | ロンドン万国博覧会 | 史上初の国際博覧会 クリスタルパレスを用いた 会場建物を建てた | - | 141日 | 604万人 |
1853年 | ニューヨーク万国博覧会 | 非公式の大会 | - | 5か月 | 125万人 |
1855年 | パリ万国博覧会 | フランス初の大会 | - | 200日 | 516万人 |
1862年 | ロンドン万国博覧会 | - | 171日 | 621万人 | |
1867年 | パリ万国博覧会 | - | 210日 | 1020万人 | |
1873年 | ウィーン万国博覧会 | オーストリア初の大会 日本(明治政府)が初参加 | - | 186日 | 726万人 |
1876年 | フィラデルフィア万国博覧会 | アメリカ初の大会 | - | 159日 | 986万人 |
1878年 | パリ万国博覧会 | - | 190日 | 1610万人 | |
1880年 | メルボルン万国博覧会 | オーストラリア初の大会 | - | 477日 | 133万人 |
1883年 | アムステルダム国際植民地輸出博覧会 | 非公式の大会 28か国参加の植民地博覧会 | - | 5か月間 | 140万人 |
1888年 | バルセロナ万国博覧会 | スペイン初の大会 | - | 236日 | |
1889年 | パリ万国博覧会 | エッフェル塔の完成の大会 | - | 180日 | 3235万人 |
1893年 | シカゴ万国博覧会 | - | 183日 | 2754万人 | |
1897年 | ブリュッセル万国博覧会 | ベルギー初の大会 | - | ||
1900年 | パリ万国博覧会 | パリオリンピックと同時期 19世紀の最後の大会 | - | 210日 | 4768万人 |
1904年 | セントルイス万国博覧会 | セントルイスオリンピックと同時期 20世紀の最初の大会 | - | 185日 | 1970万人 |
1905年 | リエージュ万国博覧会 | - | 185日 | 1970万人 | |
1906年 | ミラノ万国博覧会 | イタリア初の大会 | - | ||
1910年 | ブリュッセル万国博覧会 | - | |||
1913年 | ヘント万国博覧会 | - | |||
1915年 | サンフランシスコ万国博覧会 | - | 288日 | 1883万人 | |
1922年 | ブラジル独立百年記念万国博覧会 | 日本も独立記念式典にブラジル側から特使派遣要請あり、 陸軍練習艦3隻を派遣、博覧会に日本館建設のうえ出品した | - | ||
1926年 | フィラデルフィア万国博覧会 | 非公式の大会 | - | 184日 | 650万人 |
1929年 | バルセロナ万国博覧会 | 一般博 | |||
1933年 | シカゴ万国博覧会 | 初めてテーマが掲げられた大会 テーマは「進歩の一世紀」 | 一般博 | 170日 | 2257万人 |
1935年 | ブリュッセル万国博覧会 | 一般博 | 150日 | 2000万人 | |
1936年 | ストックホルム国際博覧会 | 史上初の認定博 | 特別博 | 17日 | |
1937年 | パリ万国博覧会 | 一般博 | 93日 | 870万人 | |
1938年 | ヘルシンキ国際博覧会 | フィンランド初の大会 | 特別博 | ||
1939年 | ニューヨーク万国博覧会 | 一般博 | 340日 | 4500万人 | |
1939年 | リエージュ国際博覧会 | ベルギー初の認定博 | 特別博 | ||
1947年 | パリ国際博覧会 | 第二次世界大戦後の最初の大会 フランス初の認定博 | 特別博 | ||
1949年 | ストックホルム国際博覧会 | 特別博 | |||
1949年 | リヨン国際博覧会 | 特別博 | |||
1949年 | ポルトープランス万国博覧会 | 発展途上国初の大会 ハイチ初の大会 | 一般博 | ||
1951年 | リール国際博覧会 | 特別博 | |||
1953年 | ローマ国際博覧会 | イタリア初の認定博 | 特別博 | ||
1953年 | エルサレム国際博覧会 | イスラエル初の大会 | 特別博 | ||
1954年 | ナポリ国際博覧会 | 特別博 | |||
1955年 | トリノ国際博覧会 | 特別博 | |||
1955年 | ヘルシンボリ国際博覧会 | 特別博 | |||
1956年 | ベト・ダゴン国際博覧会 | 特別博 | |||
1957年 | ベルリン国際博覧会 | ドイツ初の大会 | 特別博 | ||
1958年 | ブリュッセル万国博覧会 | 特別博 | 186日 | 4150万人 | |
1960年 | ロッテルダム国際園芸博覧会 | 史上初の国際園芸博覧会 | 一般博 | ||
1961年 | トリノ国際博覧会 | 特別博 | |||
1962年 | シアトル万国博覧会 | 一般博 | 184日 | 964万人 | |
1963年 | ハンブルク国際園芸博覧会 | ドイツ初の国際園芸博覧会 | 国際園芸博+特別博 | ||
1964年 | ウィーン国際園芸博覧会 | オーストリア初の国際園芸博覧会 | 国際園芸博+特別博 | ||
1964年 | ニューヨーク万国博覧会 | 非公式の大会 | 非認定 | 360日 | 5167万人 |
1965年 | ミュンヘン国際博覧会 | 特別博 | |||
1967年 | モントリオール万国博覧会 | カナダ初の大会 | 一般博 | 185日 | 5031万人 |
1968年 | サンアントニオ国際博覧会 | アメリカ初の認定博 | 特別博 | ||
1969年 | パリ国際園芸博覧会 | フランス初の国際園芸博覧会 | 国際園芸博+特別博 | 166日 | 240万人 |
1970年 | 日本万国博覧会 (大阪万博) | アジア初の大会 日本初の大会 | 一般博 | 183日 | 6421万 |
1971年 | ブダペスト国際博覧会 | 社会主義国初の大会 ハンガリー初の大会 | 特別博 | ||
1972年 | アムステルダム国際園芸万博 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1973年 | ハンブルク国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1974年 | ウィーン国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1974年 | スポケーン国際環境博覧会 | 特別博 | |||
1975年 | 沖縄国際海洋博覧会 (沖縄海洋博) | アジア初の認定博の大会 日本初の認定博の大会 | 特別博 | ||
1980年 | モントリオール国際園芸博覧会 | カナダ初の国際園芸博覧会の大会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | ||
1981年 | プロヴディフ国際博覧会 | ブルガリア初の大会 | 特別博 | ||
1982年 | アムステルダム国際園芸万博 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1982年 | ノックスビル国際エネルギー博覧会 | 特別博 | |||
1983年 | ミュンヘン国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1984年 | ニューオーリンズ国際河川博覧会 (ニューオーリンズ万博) | 公式マスコットを持った史上初の大会 | 特別博 | ||
1984年 | リバプール国際庭園博覧会 | イギリス初の国際園芸博覧会の大会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | ||
1985年 | 国際科学技術博覧会 (科学万博、つくば万博 など) | 特別博 | |||
1985年 | プロヴディフ国際博覧会 | 特別博 | |||
1986年 | バンクーバー国際交通博覧会 | カナダ初の認定博の大会 | 特別博 | ||
1988年 | ブリスベン国際レジャー博覧会 | オーストラリア初の認定博の大会 | 特別博 | ||
1990年 | 国際花と緑の博覧会 (花の万博、花博) | アジア初の国際園芸博覧会の大会 日本初の国際園芸博覧会の大会 | 特別博 | ||
1991年 | プロヴディフ国際博覧会 | 特別博 | |||
1992年 | セビリア万国博覧会 | 22年ぶりの登録博の大会である。 | 一般博 | ||
1992年 | ジェノヴァ国際船と海の博覧会 | 特別博 | |||
1992年 | ハーグ・ズータメア国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1993年 | 大田国際博覧会 (テジョン万博) | 韓国初の大会 | 特別博 | ||
1993年 | シュトゥットガルト国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
1998年 | リスボン国際博覧会 | ポルトガル初の大会 | 特別博 | ||
1999年 | 昆明世界園芸博覧会 | 中国初の大会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | 92 | |
2000年 | ハノーヴァー万国博覧会 | 20世紀の最後の大会である。 | 一般博 | ||
2002年 | ハールレマミーア国際園芸博覧会 | 特別博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2003年 | ロストック国際園芸博覧会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2005年 | 2005年日本国際博覧会 (愛知万博、愛・地球博) | 21世紀の初の登録博である。 | 登録博 | 185日間 | 2,204万 |
2006年 | チェンマイ国際園芸博覧会 | タイ初の大会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | ||
2008年 | サラゴサ国際博覧会 | 21世紀のヨーロッパ初の大会である。 | 認定博 | ||
2010年 | 上海国際博覧会 (上海万博) | 中国初の登録博の大会 | 登録博 | 183日間 | 7,308万 |
2012年 | 麗水国際博覧会 (ヨス万博) | 認定博 | 92日間 | 820万人 | |
2012年 | フェンロー国際園芸博覧会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2015年 | ミラノ国際博覧会 | 21世紀のヨーロッパ初の登録博の大会である。 | 登録博 | ||
2016年 | アンタルヤ国際園芸博覧会 | トルコ初の大会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | ||
2017年 | アスタナ国際博覧会 | カザフスタン初の大会 | 認定博 | ||
2019年 | 北京世界園芸博覧会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2021年 | ドバイ国際博覧会 | 中東初の大会 アラブ首長国連邦初の大会 | 登録博 | ||
2022年 | アルメーレ国際園芸博覧会 (フロリアード2022) | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2023年 | ドーハ国際園芸博覧会 | カタール初の大会 | |||
2023年 | ブエノスアイレス国際博覧会 | 開催中止 | 認定博 | ||
2025年 | 2025年日本国際博覧会 (大阪・関西万博) | 登録博 | |||
2027年 | 2027年国際園芸博覧会 (GREEN×EXPO 2027) | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2027年 | ベオグラード国際博覧会 | セルビア初の大会 | 認定博 | ||
2029年 | ウッチ国際園芸博覧会 | 認定博(大国際園芸博覧会区分) | |||
2030年 | リヤド国際博覧会 | 登録博 |
万博に行くと体験できること
世界各国の料理を味わう
万博では、各国のパビリオンで提供される本場の料理を味わうことができます。
イタリアのピザやフランスのスイーツ、インドのカレー、タイのトムヤムクンなど、世界各国の名物料理を一度に楽しめるのは、万博ならではの醍醐味です。
食べ物を通じてその国の文化や歴史に触れることができ、まるで世界一周の旅をしているかのような気分を味わえます。
また、万博限定のコラボメニューや、未来の食文化を提案する「次世代フード」も登場するため、新たな味覚体験にも期待できます。
最先端技術に触れる
未来の暮らしを支える最新技術を間近で体験できるのも万博の大きな魅力です。
例えば、ロボットによる接客サービス、自動運転車の試乗体験、AIを活用した医療診断システム、さらにはスマートシティの仮想体験(VR)など、これから私たちの生活を変えていく技術に直接触れることができます。
単なる展示を見るだけではなく、実際に操作したり、体験型ブースで試したりできるのが万博の特徴で、子どもから大人までわくわくする内容が満載です。
文化・芸術を楽しむ
万博は、世界各国の伝統文化や芸術に出会える絶好の場でもあります。
各国パビリオンでは、民族舞踊や音楽のパフォーマンスが行われ、伝統衣装をまとったパフォーマーたちが来場者を迎えてくれます。
また、絵画や彫刻、現代アートの展示も充実しており、芸術を通じた異文化交流が楽しめます。
さらに、体験型のワークショップも数多く用意されており、陶芸、染物、伝統工芸などを実際に自分で作ってみることもできるため、思い出に残る体験ができます。
未来社会について考える
万博では、単なる「楽しみ」だけでなく、未来について考えるきっかけも数多く用意されています。
環境問題、再生可能エネルギー、健康医療、持続可能な都市づくり(スマートシティ)、教育格差の解消など、世界が直面している課題に対して、各国が提案する解決策を知ることができます。
特に、SDGs(持続可能な開発目標)に関連した展示やシンポジウムが多く開催されるため、子どもたちにとっても未来への意識を高める貴重な学びの場となります。
万博を訪れることで、自分たちにできることを考え、未来に希望を持つことができるでしょう。
このように、万博では「食」「技術」「文化」「未来」という多彩な体験が一度に楽しめます。
ただの観光イベントではなく、世界と未来を肌で感じ、深く考えることのできる貴重な機会です。
2025年大阪・関西万博では、さらに新たな驚きと感動があなたを待っています!