Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関、FAO)が公表した2024年最新データによると、ペルーの羊飼養数は1961年の約1,593万匹をピークに、長期的に減少傾向にあります。特に2021年には1,094万匹と最も低い水準まで落ち込み、2022年には約1,121万匹と若干の回復を見せています。この減少傾向は複数の要因に起因しており、地域経済、気候変動、地政学的背景の影響などが絡み合っていることが示唆されます。
ペルーの羊飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(匹) |
---|---|
2022年 | 11,210,723 |
2021年 | 10,942,309 |
2020年 | 11,097,551 |
2019年 | 11,261,788 |
2018年 | 11,331,908 |
2017年 | 11,338,424 |
2016年 | 11,441,603 |
2015年 | 11,973,040 |
2014年 | 12,387,635 |
2013年 | 12,434,352 |
2012年 | 12,183,777 |
2011年 | 14,050,173 |
2010年 | 14,159,720 |
2009年 | 14,137,690 |
2008年 | 14,509,628 |
2007年 | 14,580,200 |
2006年 | 14,675,300 |
2005年 | 14,822,223 |
2004年 | 14,734,817 |
2003年 | 14,752,243 |
2002年 | 14,025,400 |
2001年 | 14,252,613 |
2000年 | 14,686,310 |
1999年 | 14,296,717 |
1998年 | 13,565,812 |
1997年 | 13,108,047 |
1996年 | 12,712,513 |
1995年 | 12,569,983 |
1994年 | 12,160,223 |
1993年 | 11,876,500 |
1992年 | 11,911,600 |
1991年 | 12,225,500 |
1990年 | 12,256,900 |
1989年 | 12,970,400 |
1988年 | 12,922,000 |
1987年 | 13,074,600 |
1986年 | 12,876,400 |
1985年 | 12,787,500 |
1984年 | 12,541,400 |
1983年 | 12,818,800 |
1982年 | 14,163,800 |
1981年 | 14,022,400 |
1980年 | 13,572,100 |
1979年 | 13,705,900 |
1978年 | 13,558,000 |
1977年 | 14,636,400 |
1976年 | 15,294,200 |
1975年 | 15,280,400 |
1974年 | 15,391,600 |
1973年 | 15,104,800 |
1972年 | 15,032,800 |
1971年 | 16,918,096 |
1970年 | 16,811,008 |
1969年 | 16,810,608 |
1968年 | 16,219,900 |
1967年 | 16,041,000 |
1966年 | 15,233,000 |
1965年 | 15,218,100 |
1964年 | 14,548,300 |
1963年 | 15,879,100 |
1962年 | 16,340,000 |
1961年 | 15,937,900 |
ペルーの羊飼養数は長期的に見て減少傾向にあります。1960年代から1970年代の初頭にかけて、羊の飼養数は比較的安定しており、1600万匹前後を維持していました。しかし、1970年代中頃から1980年代にかけて減少に転じ、その後もマイナスの方向に推移しました。この流れは1990年代以降も続き、直近の2022年には1,121万匹と約6割程度の水準にまで落ち込んでいます。
この減少の背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、気候変動による影響です。アンデス山脈を中心としたペルーの羊生産地帯では、降雨量や気温の変化が草原環境に影響を与え、羊の飼育に適した条件が減少しています。これにより、牧草供給の不足や放牧地の劣化が進んでいます。
次に、経済的な影響も見過ごすことはできません。ペルーの経済において、羊の飼育は従来農村部の主要な生計手段の一つでした。しかしながら、都市部への人口移動が進む中で、羊飼育に従事する労働力が減少しています。また、他の産業に従事した方が高い経済的利益を得られる状況が進んだことも一因と考えられます。
さらに、地政学的な背景も影響しています。国内の政情不安や、資源輸出を巡る紛争によって地域経済が安定を欠く時期が度々見られました。このような不安定な状況は、農村部の経済活動に打撃を与え、羊の飼育にも間接的な影響を及ぼしました。
2022年のデータでは、やや回復の兆しも見られますが、この改善が継続的なものとなるかについては依然として不透明です。今後の課題としては、まず気候変動への対応が挙げられます。これには、牧草地の保全や持続可能な放牧手法の導入が必要です。また、羊毛や肉の付加価値の高い製品の開発促進による経済的誘因の構築も効果的です。
さらに、地域間協力を強化することも重要な対策と言えます。例えば、南米の近隣諸国との協力による市場の拡大や技術共有が進めば、羊の飼育の収益性を向上させる可能性があります。これらの取り組みに加えて、地域住民の生活改善を一体的に推進する政策の実施も欠かせません。都市への一極集中を防ぎつつ農村部の発展により一層注力することが重要です。
以上のように、ペルーの羊飼養数の減少には複合的な要因が絡んでいます。この状況を改善するためには、短期的な政策と長期的な視点の両方が必要です。ペルー政府や国際機関が協調して効果的な対策を講じることで、羊飼育産業が持続可能な形で発展する未来を目指すべきです。