国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、2022年度の世界の鶏飼養数ランキングにおいて、中国が5,185,477千羽で首位、次いでインドネシアが3,482,427千羽、パキスタンが1,725,000千羽となっています。日本は12位で321,891千羽を記録し、アジア地域の上位国と比較すると控えめな数字です。このデータは、各国の食肉需要、農業政策、人口規模などに関する貴重な洞察を提供します。
順位 | 国名 | 地域 | 飼養数(羽) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 5,185,477.00 |
2 | インドネシア | アジア | 3,482,427.00 |
3 | パキスタン | アジア | 1,725,000.00 |
4 | ブラジル | 南アメリカ | 1,586,048.00 |
5 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 1,528,000.00 |
6 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 1,036,874.00 |
7 | インド | アジア | 852,324.00 |
8 | メキシコ | 南アメリカ | 611,202.00 |
9 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 488,236.00 |
10 | ベトナム | アジア | 400,467.00 |
11 | トルコ | アジア | 361,096.00 |
12 | 日本 | アジア | 321,891.00 |
13 | バングラデシュ | アジア | 311,800.00 |
14 | エジプト | アフリカ | 300,000.00 |
15 | マレーシア | アジア | 293,604.00 |
16 | タイ | アジア | 289,778.00 |
17 | ナイジェリア | アフリカ | 248,992.00 |
18 | フランス | ヨーロッパ | 231,096.00 |
19 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 223,800.00 |
20 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 223,787.00 |
21 | モロッコ | アフリカ | 222,399.00 |
22 | コロンビア | 南アメリカ | 215,218.00 |
23 | サウジアラビア | アジア | 210,360.00 |
24 | ペルー | 南アメリカ | 190,882.00 |
25 | ウクライナ | ヨーロッパ | 186,623.00 |
26 | フィリピン | アジア | 185,102.00 |
27 | イギリス | ヨーロッパ | 179,000.00 |
28 | ポーランド | ヨーロッパ | 176,580.00 |
29 | カナダ | 北アメリカ | 173,942.00 |
30 | 大韓民国 | アジア | 172,868.00 |
31 | エクアドル | 南アメリカ | 171,110.00 |
32 | 南アフリカ | アフリカ | 170,305.00 |
33 | アルジェリア | アフリカ | 142,061.00 |
34 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 125,528.00 |
35 | アルゼンチン | 南アメリカ | 116,815.00 |
36 | イラク | アジア | 116,410.00 |
37 | ミャンマー | アジア | 110,000.00 |
38 | オーストラリア | オセアニア | 109,382.00 |
39 | ベラルーシ | ヨーロッパ | 105,978.00 |
40 | チュニジア | アフリカ | 100,147.00 |
41 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 99,641.00 |
42 | セネガル | アフリカ | 97,459.00 |
43 | コートジボワール | アフリカ | 92,559.00 |
44 | ガーナ | アフリカ | 88,666.00 |
45 | ウズベキスタン | アジア | 86,877.00 |
46 | ルーマニア | ヨーロッパ | 78,268.00 |
47 | レバノン | アジア | 70,610.00 |
48 | イエメン | アジア | 69,758.00 |
49 | ネパール | アジア | 66,803.00 |
50 | ケニア | アフリカ | 61,072.00 |
51 | クウェート | アジア | 58,928.00 |
52 | チリ | 南アメリカ | 57,142.00 |
53 | マリ | アフリカ | 56,221.00 |
54 | ブルキナファソ | アフリカ | 55,306.00 |
55 | ベルギー | ヨーロッパ | 53,283.00 |
56 | カメルーン | アフリカ | 51,386.00 |
57 | スーダン | アフリカ | 50,260.00 |
58 | ラオス人民民主共和国 | アジア | 50,118.00 |
59 | ホンジュラス | 南アメリカ | 48,905.00 |
60 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 48,867.00 |
61 | カザフスタン | アジア | 48,349.00 |
62 | グアテマラ | 南アメリカ | 47,000.00 |
63 | イスラエル | アジア | 46,716.00 |
64 | アンゴラ | アフリカ | 46,486.00 |
65 | マダガスカル | アフリカ | 43,702.00 |
66 | エチオピア | アフリカ | 41,960.00 |
67 | ザンビア | アフリカ | 41,183.00 |
68 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 40,087.00 |
69 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 40,036.00 |
70 | リビア | アフリカ | 37,775.00 |
71 | ギニア | アフリカ | 37,544.00 |
72 | 南スーダン | アフリカ | 36,667.00 |
73 | ウガンダ | アフリカ | 36,488.00 |
74 | ヨルダン | アジア | 35,000.00 |
75 | トーゴ | アフリカ | 34,592.00 |
76 | ハンガリー | ヨーロッパ | 32,114.00 |
77 | ガイアナ | 南アメリカ | 30,976.00 |
78 | キューバ | 南アメリカ | 30,155.00 |
79 | カタール | アジア | 30,000.00 |
80 | アゼルバイジャン | アジア | 29,795.00 |
81 | パナマ | 南アメリカ | 28,924.00 |
82 | ニカラグア | 南アメリカ | 27,584.00 |
83 | シエラレオネ | アフリカ | 26,928.00 |
84 | モザンビーク | アフリカ | 26,877.00 |
85 | コスタリカ | 南アメリカ | 26,362.00 |
86 | アラブ首長国連邦 | アジア | 26,282.00 |
87 | パラグアイ | 南アメリカ | 25,875.00 |
88 | ニュージーランド | オセアニア | 24,963.00 |
89 | スリランカ | アジア | 22,767.00 |
90 | デンマーク | ヨーロッパ | 22,412.00 |
91 | ブルネイ ダルサラーム | アジア | 21,416.00 |
92 | トルクメニスタン | アジア | 21,108.00 |
93 | ニジェール | アフリカ | 20,788.00 |
94 | マラウイ | アフリカ | 19,553.00 |
95 | エルサルバドル | 南アメリカ | 18,375.00 |
96 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 18,007.00 |
97 | モーリシャス | アフリカ | 16,501.00 |
98 | ベナン | アフリカ | 16,333.00 |
99 | ジンバブエ | アフリカ | 16,261.00 |
100 | ノルウェー | ヨーロッパ | 16,131.00 |
101 | タジキスタン | アジア | 15,279.00 |
102 | セルビア | ヨーロッパ | 14,624.00 |
103 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 14,526.00 |
104 | ジャマイカ | 南アメリカ | 14,194.00 |
105 | アフガニスタン | アジア | 14,066.00 |
106 | フィンランド | ヨーロッパ | 13,364.00 |
107 | スイス | ヨーロッパ | 13,109.00 |
108 | カンボジア | アジア | 11,682.00 |
109 | クロアチア | ヨーロッパ | 10,918.00 |
110 | プエルトリコ | 南アメリカ | 9,365.00 |
111 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 9,299.00 |
112 | スロバキア | ヨーロッパ | 9,096.00 |
113 | グルジア | アジア | 9,092.00 |
114 | リトアニア | ヨーロッパ | 8,897.00 |
115 | リベリア | アフリカ | 8,484.00 |
116 | 中央アフリカ共和国 | アフリカ | 7,138.00 |
117 | スリナム | 南アメリカ | 6,277.00 |
118 | チャド | アフリカ | 6,147.00 |
119 | パレスチナ国 | アジア | 6,048.00 |
120 | ハイチ | 南アメリカ | 5,891.00 |
121 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 5,810.00 |
122 | フィジー | オセアニア | 5,702.00 |
123 | スロベニア | ヨーロッパ | 5,023.00 |
124 | オマーン | アジア | 5,004.00 |
125 | アルバニア | ヨーロッパ | 4,999.00 |
126 | キルギスタン | アジア | 4,984.00 |
127 | アルメニア | アジア | 4,827.00 |
128 | モーリタニア | アフリカ | 4,784.00 |
129 | パプアニューギニア | オセアニア | 4,693.00 |
130 | バルバドス | 南アメリカ | 4,655.00 |
131 | ナミビア | アフリカ | 4,502.00 |
132 | 中国、香港特別行政区 | アジア | 4,325.00 |
133 | ソマリア | アフリカ | 3,851.00 |
134 | エスワティニ | アフリカ | 3,640.00 |
135 | ガボン | アフリカ | 3,365.00 |
136 | バハマ | 南アメリカ | 3,220.00 |
137 | ウルグアイ | 南アメリカ | 3,073.00 |
138 | コンゴ | アフリカ | 3,025.00 |
139 | ブルンジ | アフリカ | 2,784.00 |
140 | ルワンダ | アフリカ | 2,583.00 |
141 | シンガポール | アジア | 2,500.00 |
142 | ギニアビサウ | アフリカ | 2,115.00 |
143 | エストニア | ヨーロッパ | 2,092.00 |
144 | バーレーン | アジア | 1,748.00 |
145 | ベリーズ | 南アメリカ | 1,692.00 |
146 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 1,562.00 |
147 | モンゴル | アジア | 1,506.00 |
148 | エリトリア | アフリカ | 1,161.00 |
149 | ガンビア | アフリカ | 1,005.00 |
150 | 東ティモール | アジア | 1,004.00 |
151 | ブータン | アジア | 975.00 |
152 | モンテネグロ | ヨーロッパ | 855.00 |
153 | ボツワナ | アフリカ | 830.00 |
154 | 中国、マカオ特別行政区 | アジア | 802.00 |
155 | キリバス | オセアニア | 658.00 |
156 | カーボベルデ | アフリカ | 656.00 |
157 | ニューカレドニア | オセアニア | 577.00 |
158 | コモロ | アフリカ | 547.00 |
159 | セントルシア | 南アメリカ | 475.00 |
160 | サモア | オセアニア | 455.00 |
161 | バヌアツ | オセアニア | 414.00 |
162 | 赤道ギニア | アフリカ | 380.00 |
163 | レソト | アフリカ | 343.00 |
164 | トンガ | オセアニア | 339.00 |
165 | フランス領ポリネシア | オセアニア | 331.00 |
166 | サントメ・プリンシペ | アフリカ | 300.00 |
167 | グレナダ | 南アメリカ | 269.00 |
168 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 南アメリカ | 254.00 |
169 | セーシェル | アフリカ | 250.00 |
170 | ソロモン諸島 | オセアニア | 248.00 |
171 | アイスランド | ヨーロッパ | 220.00 |
172 | ドミニカ | 南アメリカ | 203.00 |
173 | ミクロネシア連邦 | オセアニア | 192.00 |
174 | アンティグア・バーブーダ | 南アメリカ | 162.00 |
175 | セントクリストファー・ネイビス | 南アメリカ | 65.00 |
176 | ツバル | オセアニア | 57.00 |
177 | ニウエ | オセアニア | 19.00 |
178 | クック諸島 | オセアニア | 16.00 |
179 | ナウル | オセアニア | 5.00 |
180 | トケラウ | オセアニア | 5.00 |
2022年度の鶏飼養数ランキングデータは、各国における家禽(かきん)産業への依存度や食料政策、さらには経済状況を反映する重要な指標です。トップの中国では、鶏飼養数が5,185,477千羽にも上り、2位のインドネシア(3,482,427千羽)を大きく引き離しています。このような大規模な鶏の飼養は、同国での鶏肉消費量の多さと、経済規模、人口の多さ、そして輸出力の高さを示しています。
インドネシアやパキスタンといったアジア諸国が上位を占める背景には、食文化における鶏肉需要の高さと同地域の農業主体経済が挙げられます。一方、アメリカ合衆国(1,528,000千羽)やブラジル(1,586,048千羽)といった西半球の国々は、国内需要に加え、世界の主要な鶏肉輸出国となっており、特にブラジルは鶏肉の輸出量で世界をリードする存在です。
日本では鶏飼養数が321,891千羽で、アジア主要国と比較すると中規模といえます。これは、日本の食文化が魚や豚肉、牛肉など多様な動物性たんぱく源に依存していること、そして国土面積や農地の制約が影響していると考えられます。しかし、日本国内では鶏卵や鶏肉が安価で利用されることが多く、依然として国民の食生活において重要な役割を果たしています。
鶏飼養の規模は単なる農業統計の数字を超え、各国の社会経済や環境、食料安全保障のあり方に深く関わっています。例えば、大規模な鶏飼養は飼料作物、大規模な水使用、そして糞尿による環境負荷を伴います。そのため、単なる生産拡大ではなく持続可能な生産システムの構築が不可欠です。日本など先進国では、家禽の病気予防やトレーサビリティ(流通経路の追跡可能性)の強化、さらにはカーボンフットプリント削減の取り組みが進んでいます。一方で、発展途上国では依然として農業従事者の技術支援やインフラ整備が課題です。
地政学的背景も鶏飼養に影響を及ぼします。例えば、戦争や地域紛争、パンデミック(新型コロナ等)は鶏飼料の輸入や家禽病予防能力に影響を与え、生産数を低下させる可能性があります。ウクライナ紛争により穀物輸出が制限されたことは、鶏用飼料の価格上昇を世界的に引き起こしました。こうしたリスクが頻発する中、各国は内需のサポートのみならず、国際協力を通じたサプライチェーンの安定化を図ることが求められます。
将来的な課題としては、人口増加や動物性たんぱく質需要の高まりに伴う環境負荷の増大が挙げられます。これに対して、植物性代替たんぱくの研究推進や、AIやIoTを活用した省資源型農業技術の導入が有力な解決策となるでしょう。特に日本は、技術力を生かした効率的かつ環境に優しい生産モデルを構築し、国内外で普及させるべきです。また、トレードオフ関係にある「経済」と「環境」のバランスを取る長期的視点が必要となります。
結論として、鶏飼養数におけるトップ国は、単に数量の多さだけでなく、環境、経済、安全保障の観点から多くの示唆を与えます。日本としては、環境配慮型の家禽産業の技術開発に注力し、その知識を他国に展開することで、産業の国際競争力を高めるとともに、世界的な食料安全保障にも寄与することが期待されます。