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セネガルの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、セネガルにおける鶏の飼養数は、1961年の1,400羽から2022年の97,459羽へと劇的な増加を遂げました。特に1990年代以降、増加のペースが著しくなり、21世紀に入ってからの飼養数の成長率はさらに加速しています。この数値はセネガルの農業生産の動向を示す重要な指標の一つであり、経済発展や食料需給の拡大と密接に関係しています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 102,373,000
5.04% ↑
2022年 97,459,000
5.01% ↑
2021年 92,805,000
8.94% ↑
2020年 85,193,000
7.34% ↑
2019年 79,364,000
9.43% ↑
2018年 72,523,000
6.9% ↑
2017年 67,839,000
7.53% ↑
2016年 63,088,000
6.67% ↑
2015年 59,143,000
8.49% ↑
2014年 54,513,000
11.72% ↑
2013年 48,796,000
12.45% ↑
2012年 43,393,000
-1.76% ↓
2011年 44,171,000
9.2% ↑
2010年 40,449,000
14.03% ↑
2009年 35,472,000
-0.14% ↓
2008年 35,522,000
1.7% ↑
2007年 34,928,000
17.95% ↑
2006年 29,612,000
7.05% ↑
2005年 27,662,000
5.4% ↑
2004年 26,245,000
2.32% ↑
2003年 25,649,000
1.06% ↑
2002年 25,381,000
-1.08% ↓
2001年 25,658,000
4.75% ↑
2000年 24,495,000
6.56% ↑
1999年 22,987,000
13% ↑
1998年 20,342,000
12.55% ↑
1997年 18,074,000
13.8% ↑
1996年 15,882,000
-7.76% ↓
1995年 17,219,000
9.17% ↑
1994年 15,773,000
3.08% ↑
1993年 15,302,000
-1.38% ↓
1992年 15,516,000
5.98% ↑
1991年 14,641,000
12.62% ↑
1990年 13,000,000
1.56% ↑
1989年 12,800,000
7.56% ↑
1988年 11,900,000
13.33% ↑
1987年 10,500,000
-14.63% ↓
1986年 12,300,000
25.51% ↑
1985年 9,800,000
4.64% ↑
1984年 9,365,000
7.76% ↑
1983年 8,691,000
-9.47% ↓
1982年 9,600,000
8.97% ↑
1981年 8,810,000
4.59% ↑
1980年 8,423,000
6.62% ↑
1979年 7,900,000
5.38% ↑
1978年 7,497,000
-10.89% ↓
1977年 8,413,000
23.72% ↑
1976年 6,800,000
3.47% ↑
1975年 6,572,000
6% ↑
1974年 6,200,000
6.38% ↑
1973年 5,828,000
6.39% ↑
1972年 5,478,000
6.37% ↑
1971年 5,150,000
6.4% ↑
1970年 4,840,000
2.98% ↑
1969年 4,700,000
6.82% ↑
1968年 4,400,000
4.54% ↑
1967年 4,209,000
5.33% ↑
1966年 3,996,000
33.2% ↑
1965年 3,000,000
-3.23% ↓
1964年 3,100,000
10.71% ↑
1963年 2,800,000
-3.45% ↓
1962年 2,900,000
107.14% ↑
1961年 1,400,000 -

セネガルの鶏飼養数の推移に着目すると、1961年から2022年の約60年間で驚異的な成長を遂げていることが分かります。特に最初の数十年間(1961年から1990年代まで)は緩やかな増加傾向にありましたが、1990年代以降に急速に伸長し、21世紀に入ると毎年著しい増加を記録するようになりました。例えば、1990年には13,000羽だった飼養数が2022年には約97,459羽に達し、約7.5倍に増加しています。

この成長の背景には、セネガル国内外のいくつかの要因が存在します。まず、鶏肉や卵が国内の主要なタンパク源となっており、特に都市部の人口増加と所得向上に伴い、こうした家禽製品の需要が高まっています。また、農業や畜産の効率化を支援する政策が展開され、経済的な基盤を強化してきた点も無視できません。地域の小規模農家からの供給だけでなく、飼料や育種に関連する技術の進歩が鶏肉生産の拡大を支えています。

とはいえ、この急激な成長に伴い、いくつかの課題も生じています。代表的な問題として、環境への負荷があります。鶏の飼養数が増えるほど、飼料の需要増加や廃棄物処理といった課題が顕在化します。また、鶏肉市場の急速な成長は、中小の農家が大規模な生産者との競争に直面する可能性を高め、経済的不平等を引き起こす懸念も指摘されています。さらに、飼育にかかわる疫病リスクについても注意が必要です。過去には、家禽の感染症が家畜産業全体に大きな打撃を与えた事例が世界中でありましたが、こうしたリスク管理はセネガルのような発展途上国において喫緊の課題といえます。

現在、世界各国と比較してもセネガルの増加率は異例の高さを示していますが、飼養数の絶対数は依然としてアメリカや中国、インドなど農業大国とは大きな開きがあります。これらの農業先進国では、産業規模の大きさに加えて、効率的な生産体制や高度な技術導入が進んでおり、セネガルが鶏肉産業で世界的な競争力を確立するには、さらなる施策が必要です。

未来への提言として、まず地域内外の市場連携を強化することが挙げられます。これにより産業基盤を整え、中小規模の農家を支援する仕組みを構築できます。また、飼料や牧畜技術の開発に対する投資を増やすことで、持続可能な成長を目指すことができます。特に、気候変動の影響に対応した持続可能な養鶏システムの導入が必要です。これには、飼料生産における環境負荷削減や廃棄物の適切な処理が含まれます。

さらに、疫病管理においては、世界保健機関(WHO)や農業専門機関との連携を進め、感染症の早期発見や予防策の徹底を図ることが求められます。新型コロナウイルスのパンデミックを通じて明らかになったように、畜産における安全性と衛生管理の重要性はこれからますます高まります。

結論として、セネガルの鶏飼養数の顕著な増加は、同国の農業や経済が発展途上にあることを象徴しています。しかしながら、この成長を持続可能なものにするには、環境管理、質の向上、中小農家保護、疫病予防策の各分野で包括的な取り組みが不可欠です。これらの課題を解決することで、セネガルは今後地域の食品供給安全性を高めるだけでなく、国際市場での競争力を確立することも可能となるでしょう。