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エチオピアの鶏飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エチオピアの鶏飼養数は1993年の27,300,000羽から安定した増加を見せ、一時的な変動を経ながらも2015年には60,506,000羽に達しました。その後、減少傾向が見られ、2022年には41,960,000羽となり、ピーク時から約30%の減少を記録しています。このデータは、エチオピアにおける家禽産業の発展と課題を浮き彫りにしています。

年度 飼養数(羽)
2022年 41,960.00
2021年 41,351.00
2020年 56,993.00
2019年 48,956.00
2018年 59,420.00
2017年 56,056.00
2016年 59,495.00
2015年 60,506.00
2014年 56,867.00
2013年 51,350.00
2012年 50,377.00
2011年 44,893.00
2010年 49,287.00
2009年 42,053.00
2008年 38,049.00
2007年 39,508.00
2006年 34,199.00
2005年 32,222.00
2004年 35,656.00
2003年 38,000.00
2002年 40,930.00
2001年 37,764.00
2000年 28,543.00
1999年 30,157.00
1998年 32,979.00
1997年 30,000.00
1996年 27,400.00
1995年 27,250.00
1994年 27,300.00
1993年 27,300.00

エチオピアの鶏飼養数の推移は、農村部を中心とする家禽飼育の重要性を物語っています。特に1993年から2000年代前半にかけて数字は緩やかに増減を繰り返しており、農業および家禽飼育が小規模ながら安定することがうかがえます。しかし、2000年代中盤以降は急速に増加する傾向が顕著となり、2015年に約60,506,000羽の最大値を記録しました。この増加は主に、農業技術の向上や市場需要の拡大、公的および国際的な開発プロジェクトの支援に拠ると考えられます。

一方で、2015年以降は明確な減少傾向に転じています。特に2019年には48,956,000羽、2021年には41,351,000羽と急激な減少を示しており、この背景にはいくつかの要因があると考えられます。まず、エチオピア国内では干ばつや洪水といった天候不順が農作物生産に影響を及ぼし、それに伴い家禽の飼料供給にも悪影響を与えた可能性が高いです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的なパンデミックが引き起こしたサプライチェーンの混乱も、家禽生産の減少要因として挙げられます。加えて、エチオピア国内では近年、ティグレ紛争をはじめとした地域衝突が頻発しており、これが農村地域の安定性を損ね、家禽生産に負の影響を与えていると予測されます。

このデータから浮かび上がる課題は複合的です。地域的に家禽生産の基盤が脆弱であることと、それを支える安全保障・物流・支援体制が不足していることが顕著です。また、市場需要に対する供給の不安定さも、エチオピアの農業・畜産分野全体の課題と連動しています。他国の事例を参考にすると、インドでは小規模農家に対するインフラ支援と技術指導を強化することで家禽産業の拡張に成功しています。このため、エチオピアでは類似のアプローチを採用するべきです。

具体的な対策として、第一に、効率的かつ持続可能な飼料供給システムを整備することが重要です。次に、天候リスクに対応する災害支援システムを育成する必要があります。また、家禽飼育の生産性を向上させるための技術支援プログラムの強化も有効でしょう。さらに、大都市部と農村部を結ぶ物流インフラの改善により、市場アクセスを確保し、経済利潤を農村にもたらすことが求められます。

加えて、家禽生産と地政学的影響の関係についても留意すべきです。特にエチオピアではティグレ紛争や周辺国との関係が経済全体に大きな影響を与えており、家禽産業もこれから逃れることはできません。したがって、国内紛争の緩和と周辺国との協調を図る上でも、家禽産業に関する国際的な支援枠組みを構築することが急務です。

結論として、エチオピアの鶏飼養数の推移は、国の農業・畜産分野の現状と課題を的確に反映しています。今後、この産業をより持続可能な成長軌道に乗せるためには、従来の枠を越えた包括的な支援と政策導入が必要不可欠です。これにより、単なる生産性の向上だけでなく、エチオピアの広範な経済・社会開発にも寄与することが期待されます。