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シリア・アラブ共和国の鶏飼養数推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)が提供する最新のデータによると、シリア・アラブ共和国の鶏飼養数はここ60年以上にわたり大きな増減を示しています。1961年には2,860万羽だった鶏飼養数が2006年にピークとなる30,946万羽を記録しましたが、その後減少傾向がみられ、2022年には14,526万羽にまで落ち込んでいます。このデータは、シリア国内の経済、社会情勢、気候、紛争などの要因が鶏の生産・飼養に与える影響を物語っています。

年度 飼養数(羽)
2022年 14,526.00
2021年 16,686.00
2020年 18,741.00
2019年 18,498.00
2018年 16,477.00
2017年 15,542.00
2016年 16,600.00
2015年 16,600.00
2014年 16,601.00
2013年 19,187.00
2012年 25,024.00
2011年 26,203.00
2010年 25,401.00
2009年 24,490.00
2008年 23,143.00
2007年 26,096.00
2006年 30,946.00
2005年 23,795.00
2004年 28,861.00
2003年 28,700.00
2002年 28,634.00
2001年 21,220.00
2000年 21,629.00
1999年 21,009.00
1998年 20,422.00
1997年 19,925.00
1996年 19,812.00
1995年 18,753.00
1994年 18,482.00
1993年 17,103.00
1992年 17,513.00
1991年 14,786.00
1990年 14,794.00
1989年 13,634.00
1988年 14,317.00
1987年 12,298.00
1986年 13,928.00
1985年 12,969.00
1984年 15,186.00
1983年 14,616.00
1982年 15,405.00
1981年 13,965.00
1980年 13,849.00
1979年 16,096.00
1978年 12,613.00
1977年 6,645.00
1976年 5,897.00
1975年 8,572.00
1974年 5,401.00
1973年 4,614.00
1972年 5,162.00
1971年 4,785.00
1970年 3,669.00
1969年 3,586.00
1968年 4,247.00
1967年 4,600.00
1966年 4,090.00
1965年 4,675.00
1964年 3,736.00
1963年 3,867.00
1962年 3,356.00
1961年 2,860.00

シリア・アラブ共和国における鶏飼養数の長期的推移は、同国の複雑な社会経済状況を反映する指標となっています。鶏はシリアの畜産業の基盤を支える重要な存在であり、国内の多くの家庭や企業が鶏肉と卵を食料源として依存しています。

データでは、1960年代から1990年代半ばまで緩やかな増加傾向が続いており、これは農業技術の発展と都市化による食料需要の増加が後押ししていると考えられます。特に1997年には19,925万羽、さらに2000年には21,629万羽を記録し、農業政策および食糧自給率向上の取り組みが成功していたことが伺えます。2002年から2006年には急速な伸びを見せ、2006年には30,946万羽とピークに達しました。この時期は国内外の食肉需要の増加を背景に、家禽産業が大きく発展したことが影響している可能性があります。

一方で、2008年以降の不安定な増減と2011年以降の大幅な減少は、シリアの社会経済環境における重大な変化によるものと考えられます。2011年に始まったシリア内戦による国土の荒廃、インフラ整備の崩壊、農業資材や飼料の入手困難、そのほか物流網の停止が、鶏の飼養業に大きな打撃を与えました。この影響で、2011年には26,203万羽だった鶏の飼養数が、最も低い2017年には15,542万羽にまで減少しました。

また、近年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行も、この産業に影響を及ぼしています。2020年および2021年には一時的に増加しましたが、2022年には再び減少に転じました。同年の飼養数は14,526万羽で、ピーク時の約半分に落ち込んでいます。このような飼養数の浮き沈みは、内戦による社会的混乱や食料安全保障の脆弱性が未だ改善されていないことを示しており、持続可能な復興計画の必要性を浮き彫りにしています。

課題として挙げられるのは、農業関連インフラの損壊や、飼料の輸入に依存する現状、気候変動による水資源の不足などです。これらは単に産業の継続可能性を阻害するだけでなく、一般市民の食品価格にも直接的な影響を及ぼしています。FAOをはじめとする国際機関や地域の政府機関は、持続可能な畜産業の復興に向けた具体的な取り組みを強化する必要があります。

たとえば、農業インフラの再建や効率的な水利用技術の導入、地元生産者による飼料自給体制の確立が挙げられます。また、地域間の協力を強化することで、鶏の飼育に必要な資材の供給を安定化させることも考えられます。さらに、疫病や災害への対応を強化するための予防策を講じることも不可欠です。

結論として、シリアの鶏飼養数の推移は、農業技術の進展や外部環境の変動に加え、地政学的要因が産業にどのような影響を及ぼしたかを如実に示しています。今後、多様な課題に対処しつつ畜産業を復興させることで、シリア全体の食料安全保障を強化するとともに、地域社会の安定を促進する道を模索すべきです。具体的な対策と国際的な連携が、持続可能な未来への鍵となるでしょう。