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イエメンの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、イエメンの鶏飼養数は、1961年の約2,330羽から始まり、2022年には約69,758羽まで増加しています。飼養数は大部分の期間で着実な増加を見せる一方、一部の年度において大幅な増減が見られる特徴があります。特に1980年代後半や1990年代初頭には顕著な減少が発生しており、2020年以降には再び大きな増加の傾向が観察されています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 69,604,000
-0.22% ↓
2022年 69,758,000
-1.91% ↓
2021年 71,118,000
1.51% ↑
2020年 70,058,000
6.25% ↑
2019年 65,938,000
-0.42% ↓
2018年 66,214,000
1.87% ↑
2017年 65,000,000 -
2016年 65,000,000
1.16% ↑
2015年 64,252,000
1.66% ↑
2014年 63,200,000
0.32% ↑
2013年 63,000,000
1.61% ↑
2012年 62,000,000
3.33% ↑
2011年 60,000,000 -
2010年 60,000,000
3.45% ↑
2009年 58,000,000
1.75% ↑
2008年 57,000,000
5.56% ↑
2007年 54,000,000
9.53% ↑
2006年 49,300,000
3.79% ↑
2005年 47,500,000
1.93% ↑
2004年 46,600,000
1.97% ↑
2003年 45,700,000
31.32% ↑
2002年 34,800,000 -
2001年 34,800,000
17.57% ↑
2000年 29,600,000
5.71% ↑
1999年 28,000,000
2.56% ↑
1998年 27,300,000
8.33% ↑
1997年 25,200,000
1.61% ↑
1996年 24,800,000
19.23% ↑
1995年 20,800,000
-14.75% ↓
1994年 24,400,000
5.17% ↑
1993年 23,200,000
13.73% ↑
1992年 20,400,000
30.77% ↑
1991年 15,600,000
-10.57% ↓
1990年 17,443,000
8.27% ↑
1989年 16,111,000
-32.54% ↓
1988年 23,882,000
28.98% ↑
1987年 18,516,000
6.72% ↑
1986年 17,350,000
33.09% ↑
1985年 13,036,000
21.67% ↑
1984年 10,714,000
38.14% ↑
1983年 7,756,000
26.59% ↑
1982年 6,127,000
14.54% ↑
1981年 5,349,000
26.16% ↑
1980年 4,240,000
6.99% ↑
1979年 3,963,000
22.13% ↑
1978年 3,245,000
21.04% ↑
1977年 2,681,000
-5.93% ↓
1976年 2,850,000
8.45% ↑
1975年 2,628,000
1.94% ↑
1974年 2,578,000
1.58% ↑
1973年 2,538,000
1.6% ↑
1972年 2,498,000
1.46% ↑
1971年 2,462,000
1.57% ↑
1970年 2,424,000
0.58% ↑
1969年 2,410,000
0.42% ↑
1968年 2,400,000
0.42% ↑
1967年 2,390,000
0.42% ↑
1966年 2,380,000
0.42% ↑
1965年 2,370,000
0.42% ↑
1964年 2,360,000
0.43% ↑
1963年 2,350,000
0.43% ↑
1962年 2,340,000
0.43% ↑
1961年 2,330,000 -

1961年から2022年にかけてのイエメン国内の鶏飼養数推移は、同国の農業生産や社会情勢を反映する重要な指標です。鶏はイエメンの多くの農家にとって食糧生産や収入源として不可欠な存在であり、このデータは農村部の生計状況や食糧自給率の一端を示しています。

データによると、1960年代から1970年代にかけて、鶏飼養数は2,000羽余りの緩やかな上昇が続きましたが、1978年頃から急増し、1984年には1万羽を超え、その後1988年に約2万3,882羽に到達しました。この後、1989年から1991年にかけて急減がみられ、16,111羽まで落ち込んでいます。この現象は、イエメンの統一(1990年)前後の政治的な混乱、内政不安定、輸送や市場インフラの不足などが主要因と考えられます。

1990年代後半になると再び増加傾向に転じ、1996年には約24,800羽、2000年代初頭には30,000羽を突破しました。その後、顕著な増加が続き、2010年代には特に安定的な成長を見せ、2010年から2020年には約60,000羽から70,000羽への拡大が確認されています。しかし、2022年の69,758羽という数字は、前年の71,118羽よりも若干減少しており、直近の情勢変化や外的影響の可能性が示唆されます。

この増減の背景には、地域の地政学的状況および紛争の影響が顕著に影響している可能性があります。例えば、近年の紛争による農業インフラの破壊や輸送網の崩壊が、鶏飼養数の不安定化をもたらしているものと考えられます。一方で、国際機関や支援団体による農業支援プログラムの導入も、2020年代にかけて飼養数が記録的に増加した要因の一つです。

未来の課題としては、鶏飼養を支える生産基盤の復旧と強化が優先事項として挙げられます。特に、気候変動による天候不順や乾燥化が農業全体に影響を与えている背景を考慮し、雨水貯留や屋内飼育施設の普及など環境変化への対応が必要です。また、鶏肉と鶏卵はイエメン国内の重要なタンパク源であるため、市場混乱を防ぐためのサプライチェーンの構築も重要です。

さらに、革新的な技術の導入を推進することが有益です。人工飼料の現地生産や地域協力による鶏病対策への取り組みなどがあります。他国と比較すると、中国やインドのように大規模農業による鶏の大量生産システムは構築できていませんが、韓国や日本のように中小規模の効率的な家禽飼育モデルを参考にすることが、イエメンでの応用に適していると考えられます。

結論として、イエメンの鶏飼養数推移は、国内外の経済情勢、地政学的リスク、農業政策、そして地球環境の変化が重層的に絡み合った結果といえます。国や国際機関においては、農業インフラ再建、持続可能な食品供給網の整備、技術支援の強化を通じ、鶏飼養業の安定を確保するとともに、地域の食料安全保障を支える長期的な支援が求められます。