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カンボジアの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したカンボジアにおける鶏飼養数のデータ(1961年から2022年)によると、1961年の2,159万羽から、2009年にピークの20,193万羽を記録しました。その後減少傾向が見られ、2022年には11,682万羽となっています。この推移はカンボジアの経済状況や農業政策、外的環境の変化を反映したものと考えられます。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 12,817,000
9.72% ↑
2022年 11,682,000
-2.71% ↓
2021年 12,008,000
-4.14% ↓
2020年 12,526,000
-5.11% ↓
2019年 13,200,000 -
2018年 13,200,000
-0.02% ↓
2017年 13,203,000
0.6% ↑
2016年 13,124,000
0.95% ↑
2015年 13,000,000 -
2014年 13,000,000 -
2013年 13,000,000
-10.02% ↓
2012年 14,447,000
-11.59% ↓
2011年 16,341,000
-6.34% ↓
2010年 17,448,000
-13.59% ↓
2009年 20,193,000
19.29% ↑
2008年 16,928,000
6.97% ↑
2007年 15,825,000
4.55% ↑
2006年 15,136,000
0.33% ↑
2005年 15,086,000
-5.91% ↓
2004年 16,034,000
0.12% ↑
2003年 16,014,000
-3.98% ↓
2002年 16,678,000
9.38% ↑
2001年 15,248,000
-0.01% ↓
2000年 15,249,000
13.65% ↑
1999年 13,417,000
2.29% ↑
1998年 13,117,000
8.42% ↑
1997年 12,098,000
6.01% ↑
1996年 11,412,000
13.36% ↑
1995年 10,067,000
0.4% ↑
1994年 10,027,000
-6.22% ↓
1993年 10,692,000
7.99% ↑
1992年 9,901,000
12.31% ↑
1991年 8,816,000
8% ↑
1990年 8,163,000
-6.36% ↓
1989年 8,717,000
-5.85% ↓
1988年 9,259,000
29.24% ↑
1987年 7,164,000
-2.49% ↓
1986年 7,347,000
14.83% ↑
1985年 6,398,000
17.83% ↑
1984年 5,430,000
18.17% ↑
1983年 4,595,000
-3.85% ↓
1982年 4,779,000
65.76% ↑
1981年 2,883,000
18.06% ↑
1980年 2,442,000
-32.17% ↓
1979年 3,600,000
-10% ↓
1978年 4,000,000
-6.98% ↓
1977年 4,300,000
7.5% ↑
1976年 4,000,000
-2.44% ↓
1975年 4,100,000
-1.2% ↓
1974年 4,150,000
-1.19% ↓
1973年 4,200,000
2.44% ↑
1972年 4,100,000
3.8% ↑
1971年 3,950,000
1.28% ↑
1970年 3,900,000
1.62% ↑
1969年 3,838,000
7.57% ↑
1968年 3,568,000
15.84% ↑
1967年 3,080,000
-1.03% ↓
1966年 3,112,000 -
1965年 3,112,000
19.19% ↑
1964年 2,611,000
20.77% ↑
1963年 2,162,000
-6.61% ↓
1962年 2,315,000
7.23% ↑
1961年 2,159,000 -

カンボジアにおける鶏の飼養数は、数十年にわたる経済的・社会的な変動を映し出しているといえます。1961年には約2,159万羽から開始し、1980年代以降大きく増加し、2009年には20,193万羽に達しました。この一連の増加は、人口の増加や国内農業の発展に伴い、家禽産業が拡大したためと考えられます。また、1990年代から2000年代初頭の政治的安定化や市場の自由化も、鶏産業の成長を後押ししました。

しかし、2009年のピーク後に見られる急激な減少とその後の顕著な低迷に注目する必要があります。2012年以降、鶏の飼養数は再び減少に転じ、2022年には11,682万羽にまで低下しました。この背景にはいくつかの要因が考えられます。まず、近年の気候変動や環境条件の変化が鶏の生育に影響を与えた可能性があります。また、2000年代後半から他国との競争が激化し、国内市場における生産コストの増加も要因の一つと考えられます。さらには、新興感染症の発生や、関連する衛生リスクへの懸念が、需要や供給の変動に寄与した可能性も示唆されます。

経済的な視点からは、家禽飼養数の動向はカンボジアの農村部をはじめとした経済の変遷と密接に関連しています。特に、鶏は農村部の貧困層や小規模農家にとって重要な収入源であり、飼養数の減少はこれらの人々の所得にも影響しかねないと考えられます。大規模な飼育施設の整備やインフラ開発が不十分な地域では、生産性の向上が課題となっています。

他国との比較において、例えば中国やインドなどの近年の経済成長が顕著な国々では家禽産業も成長を続け、生産効率や規模が大きく拡大しています。これに対し、カンボジアでは依然として伝統的な養鶏方法が多く、小規模農家による生産が一般的であるため、技術や資本の不足が競争力の低下を招いているといえます。

今後の課題としては、生産の効率化と持続可能な養鶏産業の発展が挙げられます。具体的には、農村部への投資を通じた飼養設備の近代化や、鶏の死亡率を低減させるための衛生管理の徹底が必要です。また、国際市場で競争力を高めるためには、品質基準を満たすための教育と訓練プログラムの導入、ならびに輸出ルートの整備も検討すべきです。

2020年以降では、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの国で物流や市場の混乱が起こり、カンボジアの鶏産業にも影響を及ぼしました。これにより、需要の減少や供給チェーンの制約が一時的な減少の要因となった可能性があります。さらに、市場の地域衝突や気候危機が引き続き予測される中、カンボジアの家禽産業はリスクに対して脆弱です。

結論として、カンボジアは家禽産業の将来に向け、多面的な取り組みを行う必要があります。これには、科学技術を取り入れた持続可能な農業プランの策定、地域間協力を活用した技術移転、そして気候危機に備えたリスクマネジメント体制の構築が含まれます。同時に、国際機関や隣国との協力を通じ、支援プログラムや市場拡大の可能性を探ることも重要です。これらの措置が実現すれば、カンボジアの鶏産業は長期的な成長を遂げるとともに、国全体の食糧安全保障の安定化にも寄与できるでしょう。