国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した年月別のデータによると、エクアドルの鶏飼養数は1961年の4,250羽から2022年の171,110羽まで増加を続けてきました。特に1970年代から1980年代、1990年代後半といった時期に顕著な増加が見られた一方で、1983年や2006年には大きな減少も記録されています。2022年の最新データでは、鶏の飼養数は近年の相対的安定傾向を反映して170,000羽台を維持しています。
エクアドルの鶏飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(羽) |
---|---|
2022年 | 171,110.00 |
2021年 | 169,688.00 |
2020年 | 171,413.00 |
2019年 | 163,372.00 |
2018年 | 158,473.00 |
2017年 | 160,556.00 |
2016年 | 160,000.00 |
2015年 | 161,000.00 |
2014年 | 162,300.00 |
2013年 | 163,730.00 |
2012年 | 149,010.00 |
2011年 | 134,490.00 |
2010年 | 182,930.00 |
2009年 | 149,870.00 |
2008年 | 141,962.00 |
2007年 | 101,460.00 |
2006年 | 103,190.00 |
2005年 | 133,590.00 |
2004年 | 140,630.00 |
2003年 | 144,980.00 |
2002年 | 146,200.00 |
2001年 | 138,429.00 |
2000年 | 130,050.00 |
1999年 | 100,000.00 |
1998年 | 100,000.00 |
1997年 | 99,850.00 |
1996年 | 83,978.00 |
1995年 | 61,512.00 |
1994年 | 59,512.00 |
1993年 | 58,453.00 |
1992年 | 58,627.00 |
1991年 | 55,715.00 |
1990年 | 51,205.00 |
1989年 | 48,782.00 |
1988年 | 49,897.00 |
1987年 | 49,031.00 |
1986年 | 49,541.00 |
1985年 | 40,752.00 |
1984年 | 33,026.00 |
1983年 | 27,256.00 |
1982年 | 41,357.00 |
1981年 | 37,634.00 |
1980年 | 32,634.00 |
1979年 | 27,497.00 |
1978年 | 23,328.00 |
1977年 | 21,100.00 |
1976年 | 15,051.00 |
1975年 | 12,949.00 |
1974年 | 11,851.00 |
1973年 | 10,900.00 |
1972年 | 11,579.00 |
1971年 | 7,569.00 |
1970年 | 6,139.00 |
1969年 | 6,100.00 |
1968年 | 5,900.00 |
1967年 | 5,700.00 |
1966年 | 5,350.00 |
1965年 | 5,325.00 |
1964年 | 5,039.00 |
1963年 | 4,747.00 |
1962年 | 4,380.00 |
1961年 | 4,250.00 |
エクアドルの鶏飼養数は、1960年代から2020年代にかけて、一貫して増加を続け、特に1970年代から1980年代にかけてその伸びが顕著であることがデータから確認できます。例えば、1977年には21,100羽、1980年には32,634羽と短期間で約1.5倍に増加し、この時期の需要拡大や飼育技術の進展が背景にあったと推測されます。また、1990年代末から2000年時点の100,000羽台への急伸も注目に値し、特に2000年代初頭は年間増加数が非常に高いペースを示しています。しかし、2006年には飼養数が103,190羽と減少に転じるなど、一部の期間には減少の傾向も見られます。
この50年以上にわたる歴史的推移を見ると、エクアドルの家禽産業は外部環境や国内の経済情勢に影響を受けながら成長してきたことが分かります。特に1983年の大幅な減少は、エルニーニョ現象による農業への打撃や経済の停滞が原因である可能性があります。また、近年の2020年に至る急激な増加は、国内外での需要拡大や、それに対応した生産の効率化が寄与していると考えられます。コロナ禍が及ぼす食料供給への不安が一因となり、2020年から2022年までの三年間で約10,000羽の増加にも繋がっています。
一方で、鶏飼養数の推移には平均的な増加傾向の裏に、減少が発生した年や明らかな停滞期も多いことが特徴です。例えば、飼養数が2005年から2007年にかけて急減し、その後回復するまでの期間や、2010年に急増した後に再び微減傾向に近づく局面がありました。このような変動は、飼料価格の高騰、疫病や自然災害の発生、さらに国際的な市場環境の影響といった複合的要因が重なる結果とみられます。
エクアドルの家禽産業は、地政学的な背景とも密接に関係しています。特にエクアドルは、農業輸出国としての地位を維持し続ける一方で、鶏肉や卵といった家禽製品の国内需要も年々増加しており、安定した供給を確保することが課題となっています。また、気候変動に伴う農産物の生産量低下や鳥類の飼育環境への影響が今後大きな懸念事項となる可能性もあります。
これを踏まえた課題としては、気候変動への対応や餌資源の確保が挙げられます。エクアドル国内では、飼育インフラの近代化や持続可能な家禽飼育を促進する動きが検討されています。加えて、疫病対策の強化、輸出ルートの拡大、多国間での農業技術協力を通じて、飼養数を安定的に維持していく政策が求められています。
将来的には、地域全体での協調した行動が必要となるでしょう。ワクチン接種率の向上、飼料価格の変動に対応した供給チェーンの強化、国内市場向けの効率的な輸送網構築など、具体的な改善策を実施することが望ましいです。そして、地球規模での食料需要をいかに効率的に満たすかという視点から、国際的な支援と協力を得る形でエクアドルがサステナブルな農業国としての道をさらに進むことが期待されています。
データは、単なる数値の変動以上に、気候変動、経済的な不確実性、そして地政学的リスクといった問題と深く関係しており、今後の動向観察と適応策の検討が重要です。この経験は、エクアドルだけでなく、他の途上国や新興国にとっても参考となり得ます。