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グレナダの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによれば、グレナダの鶏の飼養数は1961年以降、長期的には増加傾向を示しながらも、周期的な増減を繰り返しています。特に1970年代以降は一時的な増加や減少が目立ち、その後、2006年頃から約270万羽を安定的に維持しています。2020年以降はわずかな減少が見られますが、依然として安定した規模を維持しています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 399,000
48.33% ↑
2022年 269,000 -
2021年 269,000 -
2020年 269,000
-0.74% ↓
2019年 271,000
-0.37% ↓
2018年 272,000 -
2017年 272,000
0.37% ↑
2016年 271,000
0.37% ↑
2015年 270,000 -
2014年 270,000 -
2013年 270,000 -
2012年 270,000 -
2011年 270,000 -
2010年 270,000
-3.57% ↓
2009年 280,000
3.7% ↑
2008年 270,000 -
2007年 270,000 -
2006年 270,000
39.18% ↑
2005年 194,000
-9.77% ↓
2004年 215,000
-6.52% ↓
2003年 230,000
4.55% ↑
2002年 220,000
30.95% ↑
2001年 168,000
12% ↑
2000年 150,000 -
1999年 150,000
25% ↑
1998年 120,000
-17.24% ↓
1997年 145,000
-17.14% ↓
1996年 175,000
-20.45% ↓
1995年 220,000
7.32% ↑
1994年 205,000
17.14% ↑
1993年 175,000
-7.89% ↓
1992年 190,000
-11.63% ↓
1991年 215,000
-17.31% ↓
1990年 260,000 -
1989年 260,000 -
1988年 260,000 -
1987年 260,000 -
1986年 260,000 -
1985年 260,000 -
1984年 260,000 -
1983年 260,000 -
1982年 260,000
4% ↑
1981年 250,000
-7.41% ↓
1980年 270,000
-5.26% ↓
1979年 285,000
16.8% ↑
1978年 244,000
-2.4% ↓
1977年 250,000
-1.96% ↓
1976年 255,000
2% ↑
1975年 250,000
-10.71% ↓
1974年 280,000
-6.67% ↓
1973年 300,000
7.14% ↑
1972年 280,000
12% ↑
1971年 250,000
13.64% ↑
1970年 220,000
10% ↑
1969年 200,000
14.29% ↑
1968年 175,000
16.67% ↑
1967年 150,000 -
1966年 150,000 -
1965年 150,000
-0.66% ↓
1964年 151,000 -
1963年 151,000 -
1962年 151,000
-1.31% ↓
1961年 153,000 -

グレナダにおける鶏飼養数の推移データは、この国の農業や畜産業の変遷と、その背景にある社会的・経済的影響を読み取る手がかりを提供しています。1961年には約153万羽で始まりましたが、その後、1973年にかけて急激な増加が見られ、最大300万羽ほどに達しました。これは、当時、世界的な人口増加とともに農業生産が拡大した時期と一致しており、鶏肉や卵といった家禽需要が高まったためと考えられます。

一方、1975年以降から、鶏飼養数には周期的な減少と増加が見られました。この変動は、グレナダ自身の社会的・経済的な課題に起因する可能性が指摘できます。たとえば、小規模な島国であるグレナダは、自然災害、農業インフラの制約、輸入品との競争など、外的な要因に対して脆弱です。また、安価な冷凍鶏肉の輸入が国内市場に影響を与えている可能性もあります。1990年代には飼養数が再び急激に減少し、特に1998年には約120万羽と過去最低を記録しました。この減少の背景には、当時の経済的不安定や農業政策の混乱、さらには十分な投資が行われなかったことがあると推測されます。

2006年以降は、鶏飼養数が再び270万羽程度に回復し、その後15年以上にわたりほぼ安定しています。この安定性は、グレナダの農業および畜産業の持続可能性を目指した取り組みの成果とも見られますが、一方で、それ以上の成長が見られない点では限界も示唆されています。さらに2020年から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは世界的に物流や食肉産業に深刻な影響を及ぼしましたが、グレナダもこれに影響を受け、一部の年で軽微な減少を記録しています。

このような動きから、持続可能で強靭な畜産業の構築が重要な課題として浮かび上がっています。そのためには、鶏肉や卵の国内需要と供給のバランスを維持する仕組みを整えることが不可欠です。たとえば、政府や農業関係者が力を合わせ、小規模農家への資金融資や技術支援を強化し、生産効率を向上させるといった取り組みが有効です。また、輸入鶏肉との競争力を高めるためには、品質改善やブランド化によって現地産品の付加価値を高めることも重要になります。

さらに、地域の課題と地政学的リスクについても考慮する必要があります。気候変動による自然災害のリスクが高まる中で、本島の畜産業を守るための防護策や復旧計画を整備することが急務です。また、近隣カリブ諸国との協力による市場拡大や技術共有も考えられます。たとえば、地域内で互いに畜産製品を融通し合う協力体制の構築は、安定した生産と消費をもたらすだけでなく、災害時のリスク分散にもつながります。

以上のデータから、グレナダの鶏飼養数は過去数十年で増減を繰り返しつつも、近年では一定の安定を見せています。しかし、グローバルな経済動向や地政学的リスク、自然災害といった課題を乗り越えるには、効率的で持続可能な農業政策の実施が必要です。国際連携や技術革新を取り入れることで、この国の畜産産業がさらなる安定と発展を遂げることが期待されます。