モンテネグロにおける鶏の飼養数は、2006年から2022年の間で大きな変動を見せています。最も少ない2009年の417羽から、2022年には855羽にまで増加し、過去最高を記録しています。この間、特に2010年代後半から増加傾向が顕著で、2016年から2022年にかけて高い水準を維持しています。一方で2018年以降、一部の年で減少が見られるなど、依然として変動性が残っています。
モンテネグロの鶏飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 810,000 |
-5.26% ↓
|
2022年 | 855,000 |
43.22% ↑
|
2021年 | 597,000 |
-0.83% ↓
|
2020年 | 602,000 |
-5.35% ↓
|
2019年 | 636,000 |
-4.5% ↓
|
2018年 | 666,000 |
-15.48% ↓
|
2017年 | 788,000 |
7.95% ↑
|
2016年 | 730,000 |
20.46% ↑
|
2015年 | 606,000 |
1.68% ↑
|
2014年 | 596,000 |
-3.87% ↓
|
2013年 | 620,000 |
31.91% ↑
|
2012年 | 470,000 |
-2.08% ↓
|
2011年 | 480,000 |
-5.14% ↓
|
2010年 | 506,000 |
21.34% ↑
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2009年 | 417,000 |
-3.47% ↓
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2008年 | 432,000 |
-14.46% ↓
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2007年 | 505,000 |
12.47% ↑
|
2006年 | 449,000 | - |
国連食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、モンテネグロの鶏飼養数は2006年から2022年にかけて一貫した成長トレンドではなく、いくつかのピークや減少を繰り返しています。特に、2009年には最小値の417羽を記録した後、2013年から回復基調に転じ、2022年には過去最高の855羽となりました。このデータは、モンテネグロの家禽産業が徐々に成長を遂げつつある一方で、時折市場や外部要因による影響を受けている可能性を示しています。
2010年代前半の増加は、農業政策の転換や、国内での食料自給率向上を狙った支援策と関連していると考えられます。また、2016年から2017年にかけて見られた顕著な増加は、鶏肉や鶏卵の需要が国内外で拡大したこと、もしくは飼養技術の向上やより効率的な生産体系の導入が影響している可能性があります。しかし、2020年以降の減少は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが原因のひとつと考えられます。この時期には、国際的な供給チェーンの断絶や輸送コストの増加が、鶏の飼養に必要な飼料やインフラの供給に影響を及ぼした可能性があります。
2022年における数値の急増は、飼養数全体の強化を目的とした新たな政策導入や補助金の拡充が背景に考えられます。モンテネグロ政府は、国内需要を満たすとともに、地域の輸出市場での競争力を高めるため、家禽業界への投資を拡大してきたことが影響したのかもしれません。
このような成長には地域特有の課題も存在します。特に、モンテネグロの農業は山岳地帯が中心であり、平坦な農耕地が限られている点が鶏飼養規模の拡大に影響を与えていると考えられます。また、飼料価格の上昇や天候変動も、鶏の生産性を左右する重要な要因となっています。さらに、地域内の市場競争も強いため、価格競争に適応するための効率的な生産が求められます。
将来的な課題として、家禽生産のさらなる強化と安定性の向上が挙げられます。特に、生産の効率化と環境への負荷の軽減を目指した持続可能な飼養モデルの導入が重要です。また、農業におけるデジタル化や技術革新を促進することで、気候変動の影響を抑えつつ飼養規模を拡大する方法も検討するべきです。
国際市場との競争力を高めるためにも、地域協力の強化が鍵となります。モンテネグロが他の近隣諸国、例えばセルビアやクロアチアなどと協力して家禽や飼料の供給網を構築することで、コスト削減や安定供給が可能になるでしょう。また、輸出産業としての家禽業界を強化するため、国際基準を満たした品質管理体制の導入も欠かせません。
このような対策を講じることで、モンテネグロの鶏飼養数は市況や外部要因の影響を受けにくい、安定的な成長を持続することが期待されます。