オランダの鶏飼養数推移（1961年～2023年）

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

国際連合食糧農業機関（FAO）が提供したデータによると、オランダの鶏飼養数は1961年から2021年まで、全体的に増加傾向を示しています。1961年の約5,000万羽から2000年には1億羽を超え、ピークとなる2015年には1億675万羽に達しました。ただし、2003年に急減したり、2016年以降はわずかな減少傾向が確認されるなど、一部で変動も見られます。

年度	飼養数(羽)	増減率
2023年	93,004,000	-6.89% ↓
2021年	99,887,000	-1.94% ↓
2020年	101,863,000	0.12% ↑
2019年	101,741,000	-3.2% ↓
2018年	105,104,000	-0.08% ↓
2017年	105,184,000	-0.41% ↓
2016年	105,620,000	-1.07% ↓
2015年	106,763,000	3.61% ↑
2014年	103,039,000	5.44% ↑
2013年	97,719,000	2.57% ↑
2012年	95,273,000	-1.7% ↓
2011年	96,919,000	-4.28% ↓
2010年	101,248,000	4.53% ↑
2009年	96,860,000	0.17% ↑
2008年	96,700,000	4.24% ↑
2007年	92,763,000	2.61% ↑
2006年	90,401,000	-2.7% ↓
2005年	92,914,000	8.27% ↑
2004年	85,816,000	8.31% ↑
2003年	79,235,000	-21.59% ↓
2002年	101,052,000	0.72% ↑
2001年	100,334,000	-3.54% ↓
2000年	104,015,000	-0.72% ↓
1999年	104,767,000	6.16% ↑
1998年	98,692,000	6% ↑
1997年	93,106,000	1.82% ↑
1996年	91,441,000	2.1% ↑
1995年	89,561,000	-2.55% ↓
1994年	91,902,000	-4.19% ↓
1993年	95,919,000	-3.46% ↓
1992年	99,359,000	6.16% ↑
1991年	93,596,000	0.9% ↑
1990年	92,765,000	3.32% ↑
1989年	89,788,000	-10.21% ↓
1988年	100,000,000	3.28% ↑
1987年	96,827,000	4.9% ↑
1986年	92,305,000	2.69% ↑
1985年	89,887,000	7.82% ↑
1984年	83,368,000	1.38% ↑
1983年	82,235,000	-5.56% ↓
1982年	87,073,000	2.38% ↑
1981年	85,051,000	4.8% ↑
1980年	81,155,000	3.95% ↑
1979年	78,069,000	5.69% ↑
1978年	73,863,000	5.71% ↑
1977年	69,875,000	1.9% ↑
1976年	68,570,000	0.76% ↑
1975年	68,053,000	9.08% ↑
1974年	62,388,000	3.41% ↑
1973年	60,328,000	3.25% ↑
1972年	58,430,000	-2.82% ↓
1971年	60,125,000	6.97% ↑
1970年	56,209,000	14.5% ↑
1969年	49,091,000	8.13% ↑
1968年	45,400,000	2% ↑
1967年	44,511,000	-1.71% ↓
1966年	45,285,000	7.11% ↑
1965年	42,279,000	-7.18% ↓
1964年	45,551,000	2.14% ↑
1963年	44,597,000	-2.82% ↓
1962年	45,890,000	-8.07% ↓
1961年	49,917,000	-

オランダの鶏飼養数の長期推移を見ると、1961年から2021年にかけて飼養羽数は約5倍に増加しています。このデータは、国内の養鶏業が拡大したことや食肉・鶏卵の需要が著しく増加したことを示しています。同時に、効率の良い養鶏技術の普及や、国の農業政策、輸出市場の拡大も大きな要因として挙げることができます。特に1970年代から1990年代にかけての急激な増加は、欧州内外への輸出が盛んになった時期と一致します。例えば、1988年には1億羽以上を記録し、この時期の国際市場におけるオランダの鶏卵および鶏肉の供給能力の高さを示しています。

2003年の大幅な減少は、ヨーロッパで流行した鳥インフルエンザが大きな要因とされています。この疫病による鶏の大量処分や、感染拡大を防ぐための規制強化が生産に影響を及ぼしました。その後の回復傾向は、衛生管理体制の強化や感染症対策の革新のおかげといえるでしょう。しかし、2016年以降の微減傾向は、オランダ国内における持続可能性を重視した農業政策や、畜産規模の制限、環境問題への対応と関係している可能性があります。

世界的に見ても、オランダは養鶏業の主要国の一つですが、中国やアメリカと比べて規模は小さい状況です。中国では国内需要を満たすための圧倒的な生産が進んでおり、アメリカでは大規模集中型の農業モデルが採用されています。一方、オランダは欧州連合内での輸出国としての地位を築きつつも、環境負荷軽減や動物福祉の改善を求められる立場にもあります。特に最近では、地球温暖化に関連するメタン排出や廃棄物処理などの課題が注目されています。

将来を見据えると、オランダにはいくつかの課題が浮かび上がります。一つは、疫病や自然災害、地政学的リスクに対する更なる備えが必要な点です。例えば、鳥インフルエンザのような疫病発生による大規模な損害を未然に防ぐため、革新的な感染症監視技術を地域協力の中で進めることが提案されます。また、環境負荷軽減の観点から、飼料の調達方法を含む生産プロセスの全般的な見直しが求められるでしょう。

さらに、オランダは他国と比較して強固な輸出市場を持ちながら、これまでの成長を持続するためには、持続可能な農業モデルへの転換を加速する必要があります。これは、生産規模を維持しつつ、環境影響を抑えるための革新的技術開発や、国内消費者や輸出市場へのエコフレンドリーなブランドの構築を含みます。たとえば、日本やドイツなど、環境問題への関心が高い国々は、持続可能な農畜産物市場での重要なターゲットとなる可能性があります。

結論として、オランダの鶏飼養数推移は、その時代特有の課題や成功の歴史を反映しています。今後も、疫病対応や環境課題への取り組みを強化しつつ、世界市場での競争力を維持するための政策と技術革新が鍵となるでしょう。オランダ政府だけでなく、国際機関や地域協力の枠組みの中での共同歩調が、養鶏産業全体の持続可能性を高めるために重要です。