国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ミャンマーにおける鶏の飼養数は1961年の7,500羽から2022年の110,000羽へと増加しています。データ全体を通じて緩やかな増加傾向が見られるものの、1989年、2016年、2018年には急激な減少が記録されています。特に2018年には前年度比で約78%の大幅な減少が顕著です。2020年以降は再び回復基調にあるものの、依然として過去のピークには至っていません。
ミャンマーの鶏飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(羽) |
---|---|
2022年 | 110,000.00 |
2021年 | 110,485.00 |
2020年 | 98,089.00 |
2019年 | 86,837.00 |
2018年 | 76,565.00 |
2017年 | 349,171.00 |
2016年 | 296,267.00 |
2015年 | 318,530.00 |
2014年 | 258,194.00 |
2013年 | 219,377.00 |
2012年 | 196,641.00 |
2011年 | 176,839.00 |
2010年 | 156,407.00 |
2009年 | 138,938.00 |
2008年 | 122,038.00 |
2007年 | 107,771.00 |
2006年 | 93,737.00 |
2005年 | 81,518.00 |
2004年 | 71,274.00 |
2003年 | 62,986.00 |
2002年 | 61,972.00 |
2001年 | 55,080.00 |
2000年 | 44,755.00 |
1999年 | 39,529.00 |
1998年 | 36,132.00 |
1997年 | 33,074.00 |
1996年 | 31,900.00 |
1995年 | 29,400.00 |
1994年 | 27,293.00 |
1993年 | 27,120.00 |
1992年 | 26,774.00 |
1991年 | 24,365.00 |
1990年 | 23,323.00 |
1989年 | 24,280.00 |
1988年 | 34,301.00 |
1987年 | 33,807.00 |
1986年 | 32,829.00 |
1985年 | 32,825.00 |
1984年 | 33,006.00 |
1983年 | 31,088.00 |
1982年 | 29,062.00 |
1981年 | 27,253.00 |
1980年 | 22,407.00 |
1979年 | 20,195.00 |
1978年 | 17,656.00 |
1977年 | 16,968.00 |
1976年 | 16,975.00 |
1975年 | 16,407.00 |
1974年 | 15,367.00 |
1973年 | 16,171.00 |
1972年 | 15,835.00 |
1971年 | 15,652.00 |
1970年 | 14,435.00 |
1969年 | 13,616.00 |
1968年 | 13,220.00 |
1967年 | 8,742.00 |
1966年 | 7,451.00 |
1965年 | 7,344.00 |
1964年 | 8,243.00 |
1963年 | 7,800.00 |
1962年 | 7,756.00 |
1961年 | 7,500.00 |
ミャンマーの鶏飼養数推移データを振り返ると、顕著な長期的増加傾向が示されています。1960年代から1980年代までは緩やかな増加が観測され、1980年以降には各年平均10%を超える成長率で飼養数が拡大しました。この背景には農業の近代化、政府による飼育技術の普及支援、および国内の食肉需要の増加があると推測されます。
しかし、特定の時期に減少が見られる点は重要です。例えば、1989年の急激な減少は鶏飼育における供給チェーンの混乱や政治的不安定さが鶏飼育の効率に影響を与えた可能性があります。同様に、2016年および2018年の数値低下は、地域衝突や疫病流行(家禽インフルエンザなど)の影響が考えられます。特に2018年の減少は異常で、データ上重大な要因があったことを示唆しています。これは地政学的リスクの高まりや経済制裁の影響、さらに輸出市場の縮小といった外部要因と関連している可能性があります。また、新型コロナウイルスの流行が始まる2020年も初期の回復期と重なりますが、パンデミックによる物流課題や消費行動変化が影響していると考えられます。
他国と比較すると、日本(2022年:約3,000万羽)、中国(2022年:約60億羽)、アメリカ(2022年:約90億羽)の鶏飼養数に比べて、ミャンマーの規模は極めて小さいと言えます。国土面積や人口においてミャンマーに近いタイ(2022年:約2億羽)と比較しても、その数値差が顕著であり、国内での需要や輸出への依存度が他国よりも低いことがわかります。
ミャンマーは現在、鶏飼養の持続可能性と効率向上を目指す必要があります。例えば、飼育技術の教育、耐病性に優れた鶏種の導入、餌の供給管理の適正化といった具体策が挙げられます。また、地域紛争や疫病流行による影響を軽減するため、国際支援を活用した飼育業界の復興およびリスク管理体制の構築が急務です。さらに、近隣諸国との協力を通じ輸出ルートを安定化し、農村経済の活性化に繋げることも重要です。
結論として、ミャンマーの鶏飼養数データは増加傾向を示しつつも、地政学的リスクや疫病流行に対する脆弱性を浮き彫りにしています。今後は、持続可能で効率的な飼育方法の確立と、外的要因に左右されない業界基盤の強化を図る必要があります。国際機関や近隣諸国との連携を強化し、多角的な取り組みを進めることが重要だと考えられます。