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ウズベキスタンの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ウズベキスタンの鶏飼養数は1992年に34,000羽から始まり、2022年には86,877羽に増加しました。1990年代前半から初めの10年間は減少傾向が見られましたが、2000年代中盤以降には安定的な増加が続き、特に2010年代以降は急激な成長を遂げています。このデータは、国内の経済状況や農業政策、食糧供給の変化など、さまざまな要素が鶏飼養数に影響を与えてきたことを示しています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 89,950,000
3.54% ↑
2022年 86,877,000
5.48% ↑
2021年 82,364,000
5.8% ↑
2020年 77,851,000
6.37% ↑
2019年 73,189,000
11.45% ↑
2018年 65,670,000
4.24% ↑
2017年 63,000,000
3.79% ↑
2016年 60,700,000
9.17% ↑
2015年 55,600,000
7.54% ↑
2014年 51,700,000
10.47% ↑
2013年 46,800,000
10.9% ↑
2012年 42,200,000
13.34% ↑
2011年 37,233,000
14.21% ↑
2010年 32,600,000
12.41% ↑
2009年 29,000,000
13.06% ↑
2008年 25,650,000
8.23% ↑
2007年 23,700,000
17.91% ↑
2006年 20,100,000
8.65% ↑
2005年 18,500,000
7.56% ↑
2004年 17,200,000
14.67% ↑
2003年 15,000,000
4.17% ↑
2002年 14,400,000
2.13% ↑
2001年 14,100,000 -
2000年 14,100,000
3.68% ↑
1999年 13,600,000
13.33% ↑
1998年 12,000,000
-1.64% ↓
1997年 12,200,000
-6.15% ↓
1996年 13,000,000
-31.58% ↓
1995年 19,000,000
-12.84% ↓
1994年 21,800,000
-12.8% ↓
1993年 25,000,000
-26.47% ↓
1992年 34,000,000 -

提供されたデータから、ウズベキスタンにおける鶏の飼養数の動きについて興味深い変化を読み取ることができます。特に、同国は1992年に34,000羽の飼養を記録したものの、その後1990年代を通じて減少傾向が見られました。1996年には13,000羽と、その初期値から約60%の大幅な減少を示しています。この減少の一因として、1991年のソビエト連邦崩壊後に始まった経済混乱や市場制度の転換が影響している可能性が考えられます。この時期、多くの国営農場が解体され、生産体制が混乱したことで、農業全般において鶏肉や卵の供給量が落ち込んだと推定されます。

2000年代初頭になると状況は徐々に安定化し、鶏飼養数は緩やかながらも増加へと転じています。この背景には市場経済の浸透や、経済改革の影響を受けた農業分野の安定化があると考えられます。2004年には、17,200羽に回復しており、ここで減少傾向に終止符が打たれたと見られます。さらに、2005年以降では年を追うごとに加速的な増加傾向が見られ、2010年代の成長は特に顕著です。2022年には86,877羽を記録し、ここ30年間で約2.5倍にもなる伸びを達成しました。

この増加にはいくつかの背景が指摘できます。一つは、ウズベキスタン国内での人口増加と都市化です。国民1人あたりの鶏肉や卵の消費量が増加する中で、大規模な生産性向上が必要とされてきました。また、輸出のための農業部門の近代化も、国内の鶏飼養数の拡大を促進した要因です。さらには、政府主導の食糧安全保障政策が進められ、家禽類の育成が優先されるようになり、小規模農家から商業規模の農場への移行が加速しました。

一方で、この増加傾向を維持する上での課題もいくつか存在しています。まず、気候変動の影響や農業における資源枯渇のリスクです。鶏飼養の規模拡大は、飼料生産や水資源利用など複数の側面で環境に影響を与える可能性があります。また、国際市場での競争激化や、近隣諸国との関係も注意が必要です。例えば、ウズベキスタンは地理的に内陸国であるため、国際的な物流コストが高く、農産品の輸出競争力には限界がある可能性があります。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響も無視できないでしょう。短期的には輸送の遅延や供給網の混乱が農業生産に影響を与えましたが、一方でこの危機を契機に国内生産の強化を訴える声が高まりました。こうした国内需要に迅速に対応できる仕組みを整備することも重要です。

今後に向けて、いくつかの具体的な提言を挙げることができます。第一に、環境負荷を軽減しつつ飼養数を増やすための持続可能な農業技術の導入が必要です。例えば、飼料生産において高効率な作物を利用することで資源利用を最適化することが考えられます。第二に、国内市場の安定化を進めるため、家禽生産者への技術支援や金融支援を強化するべきです。特に小規模農家が負っている経済的リスクを軽減するための融資制度や補助金政策が重要です。

最後に、地域間協力の強化も鍵となります。例えば、近隣諸国と協力して家禽関連の供給網を整備し、国際輸出の障壁を低減する取り組みが考えられます。これにより、ウズベキスタンは単に「自国の食料自給」だけでなく、地域全体の食料供給問題の解決にも寄与できる可能性があります。

結論として、ウズベキスタンの鶏飼養数は安定的に増加しており、これは育成政策の成功を示しています。ただし、この流れを未来志向の持続可能な形で保つためには、多方面での政策的努力が必要です。特に、環境保護と持続可能な成長を両立させるための長期的な戦略の策定が欠かせません。