国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ケニアの鶏の飼養数は1961年の8,000羽から2022年には61,072羽に増加しています。このデータは、ケニアの農業、特に家禽産業の成長を示しており、経済や食料供給、安全保障において重要な意義を持つものです。一方で、一部の年では減少も観察され、特定の課題や外的要因の影響も示唆されています。
ケニアの鶏飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(羽) |
---|---|
2022年 | 61,072.00 |
2021年 | 59,020.00 |
2020年 | 57,178.00 |
2019年 | 56,435.00 |
2018年 | 49,889.00 |
2017年 | 48,125.00 |
2016年 | 43,796.00 |
2015年 | 41,472.00 |
2014年 | 42,413.00 |
2013年 | 39,872.00 |
2012年 | 34,583.00 |
2011年 | 30,966.00 |
2010年 | 30,398.00 |
2009年 | 31,828.00 |
2008年 | 32,987.00 |
2007年 | 30,625.00 |
2006年 | 27,772.00 |
2005年 | 26,857.00 |
2004年 | 25,906.00 |
2003年 | 28,283.00 |
2002年 | 27,871.00 |
2001年 | 27,031.00 |
2000年 | 26,291.00 |
1999年 | 26,446.00 |
1998年 | 29,718.00 |
1997年 | 29,296.00 |
1996年 | 28,332.00 |
1995年 | 27,296.00 |
1994年 | 22,632.00 |
1993年 | 20,823.00 |
1992年 | 25,870.00 |
1991年 | 24,846.00 |
1990年 | 25,228.00 |
1989年 | 24,000.00 |
1988年 | 23,000.00 |
1987年 | 22,000.00 |
1986年 | 21,000.00 |
1985年 | 20,000.00 |
1984年 | 15,372.00 |
1983年 | 19,661.00 |
1982年 | 18,000.00 |
1981年 | 17,250.00 |
1980年 | 16,400.00 |
1979年 | 16,760.00 |
1978年 | 17,100.00 |
1977年 | 16,740.00 |
1976年 | 16,310.00 |
1975年 | 16,530.00 |
1974年 | 16,000.00 |
1973年 | 15,000.00 |
1972年 | 14,000.00 |
1971年 | 13,000.00 |
1970年 | 11,872.00 |
1969年 | 12,080.00 |
1968年 | 10,000.00 |
1967年 | 9,700.00 |
1966年 | 9,400.00 |
1965年 | 9,100.00 |
1964年 | 8,800.00 |
1963年 | 8,500.00 |
1962年 | 8,300.00 |
1961年 | 8,000.00 |
ケニアにおける鶏の飼養数は、1960年代から2000年代初頭にかけて緩やかに増加し、その後、2010年代になると急速な伸びを見せています。具体的には、1961年には8,000羽でしたが、1970年代半ばには16,000羽を達成し、1990年代には25,000羽前後に達しました。その後、2007年以降は顕著な増加が見られ、特に2013年から2017年にかけては劇的に増えています。2022年には61,072羽に達し、過去5年間での成長率は顕著です。
この増加傾向は、ケニアの都市化と人口増加、食生活の変化に加え、農業技術の向上や家禽産業への投資が寄与していると考えられます。さらに、鶏肉や鶏卵は栄養価が高く、手頃な価格で供給可能なため、特に経済発展が進む国々では一般市民の主食としての需要が高まっています。その一方、例えば1983年から1984年、1999年、2004年など、特定の年では飼養数の減少も見られます。これらの要因としては、地域的な干ばつ、疫病の流行、農業政策の不安定さなどが考えられます。また、地政学的リスクによる物資供給の遅延や市場価格の変動も影響を与えた可能性があります。
一方で、この成長には課題も伴います。まず、家禽の飼養に伴う環境負荷として、温室効果ガスの排出や、水質汚染のリスクがあります。また、都市部と農村部の間で家禽産業の発展速度に格差があることも問題視されます。さらに、近年の地球温暖化や極端な気象条件により家禽の健康リスクが高まり、疫病の流行や生産性の低下に直結する可能性があります。
現状打開のためには、いくつかの具体的対策が考えられます。第一に、家庭農場や中小規模の農家への技術支援や農業教育プログラムを拡充し、持続可能な飼養方法を普及させるべきです。動物衛生管理や予防接種の徹底も、疫病の影響を最小限に抑える重要な手段です。第二に、都市部と農村部の間で家禽産業への政府投資を均等化させ、地域格差を是正する必要があります。併せて、環境保全への投資を増やし、飼養施設のエコロジカルデザインを奨励することで、家禽産業全体をより持続可能なものとする必要があるでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年からの経済混乱が一部の供給チェーンに影響を与えた可能性もあります。しかしながら、2020年以降もケニアの鶏飼養数は順調に成長しています。この背景には、パンデミックにより国内生産を重視する政策が取られたこと、そして家禽産業が比較的早く回復期に移行できたことが考えられます。
ケニアの鶏飼養数の増加は経済の発展や食料供給の安定に寄与する一方で、エコシステムへの影響や生産格差などの課題にも注目する必要があります。国や国際機関はこれらの課題をクリアし、持続的な発展を支援するための具体策を講じるべきです。また、アフリカ近隣諸国との協力を強化することで、地域全体の食料生産性向上や市場の安定化も図る必要があります。