Skip to main content

ケニアの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ケニアの鶏の飼養数は1961年の8,000羽から2022年には61,072羽に増加しています。このデータは、ケニアの農業、特に家禽産業の成長を示しており、経済や食料供給、安全保障において重要な意義を持つものです。一方で、一部の年では減少も観察され、特定の課題や外的要因の影響も示唆されています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 67,043,000
9.78% ↑
2022年 61,072,000
3.48% ↑
2021年 59,020,000
3.22% ↑
2020年 57,178,000
1.32% ↑
2019年 56,435,000
13.12% ↑
2018年 49,889,000
3.67% ↑
2017年 48,125,000
9.88% ↑
2016年 43,796,000
5.6% ↑
2015年 41,472,000
-2.22% ↓
2014年 42,413,000
6.37% ↑
2013年 39,872,000
15.29% ↑
2012年 34,583,000
11.68% ↑
2011年 30,966,000
1.87% ↑
2010年 30,398,000
-4.49% ↓
2009年 31,828,000
-3.51% ↓
2008年 32,987,000
7.71% ↑
2007年 30,625,000
10.27% ↑
2006年 27,772,000
3.41% ↑
2005年 26,857,000
3.67% ↑
2004年 25,906,000
-8.4% ↓
2003年 28,283,000
1.48% ↑
2002年 27,871,000
3.11% ↑
2001年 27,031,000
2.81% ↑
2000年 26,291,000
-0.59% ↓
1999年 26,446,000
-11.01% ↓
1998年 29,718,000
1.44% ↑
1997年 29,296,000
3.4% ↑
1996年 28,332,000
3.8% ↑
1995年 27,296,000
20.61% ↑
1994年 22,632,000
8.69% ↑
1993年 20,823,000
-19.51% ↓
1992年 25,870,000
4.12% ↑
1991年 24,846,000
-1.51% ↓
1990年 25,228,000
5.12% ↑
1989年 24,000,000
4.35% ↑
1988年 23,000,000
4.55% ↑
1987年 22,000,000
4.76% ↑
1986年 21,000,000
5% ↑
1985年 20,000,000
30.11% ↑
1984年 15,372,000
-21.81% ↓
1983年 19,661,000
9.23% ↑
1982年 18,000,000
4.35% ↑
1981年 17,250,000
5.18% ↑
1980年 16,400,000
-2.15% ↓
1979年 16,760,000
-1.99% ↓
1978年 17,100,000
2.15% ↑
1977年 16,740,000
2.64% ↑
1976年 16,310,000
-1.33% ↓
1975年 16,530,000
3.31% ↑
1974年 16,000,000
6.67% ↑
1973年 15,000,000
7.14% ↑
1972年 14,000,000
7.69% ↑
1971年 13,000,000
9.5% ↑
1970年 11,872,000
-1.72% ↓
1969年 12,080,000
20.8% ↑
1968年 10,000,000
3.09% ↑
1967年 9,700,000
3.19% ↑
1966年 9,400,000
3.3% ↑
1965年 9,100,000
3.41% ↑
1964年 8,800,000
3.53% ↑
1963年 8,500,000
2.41% ↑
1962年 8,300,000
3.75% ↑
1961年 8,000,000 -

ケニアにおける鶏の飼養数は、1960年代から2000年代初頭にかけて緩やかに増加し、その後、2010年代になると急速な伸びを見せています。具体的には、1961年には8,000羽でしたが、1970年代半ばには16,000羽を達成し、1990年代には25,000羽前後に達しました。その後、2007年以降は顕著な増加が見られ、特に2013年から2017年にかけては劇的に増えています。2022年には61,072羽に達し、過去5年間での成長率は顕著です。

この増加傾向は、ケニアの都市化と人口増加、食生活の変化に加え、農業技術の向上や家禽産業への投資が寄与していると考えられます。さらに、鶏肉や鶏卵は栄養価が高く、手頃な価格で供給可能なため、特に経済発展が進む国々では一般市民の主食としての需要が高まっています。その一方、例えば1983年から1984年、1999年、2004年など、特定の年では飼養数の減少も見られます。これらの要因としては、地域的な干ばつ、疫病の流行、農業政策の不安定さなどが考えられます。また、地政学的リスクによる物資供給の遅延や市場価格の変動も影響を与えた可能性があります。

一方で、この成長には課題も伴います。まず、家禽の飼養に伴う環境負荷として、温室効果ガスの排出や、水質汚染のリスクがあります。また、都市部と農村部の間で家禽産業の発展速度に格差があることも問題視されます。さらに、近年の地球温暖化や極端な気象条件により家禽の健康リスクが高まり、疫病の流行や生産性の低下に直結する可能性があります。

現状打開のためには、いくつかの具体的対策が考えられます。第一に、家庭農場や中小規模の農家への技術支援や農業教育プログラムを拡充し、持続可能な飼養方法を普及させるべきです。動物衛生管理や予防接種の徹底も、疫病の影響を最小限に抑える重要な手段です。第二に、都市部と農村部の間で家禽産業への政府投資を均等化させ、地域格差を是正する必要があります。併せて、環境保全への投資を増やし、飼養施設のエコロジカルデザインを奨励することで、家禽産業全体をより持続可能なものとする必要があるでしょう。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年からの経済混乱が一部の供給チェーンに影響を与えた可能性もあります。しかしながら、2020年以降もケニアの鶏飼養数は順調に成長しています。この背景には、パンデミックにより国内生産を重視する政策が取られたこと、そして家禽産業が比較的早く回復期に移行できたことが考えられます。

ケニアの鶏飼養数の増加は経済の発展や食料供給の安定に寄与する一方で、エコシステムへの影響や生産格差などの課題にも注目する必要があります。国や国際機関はこれらの課題をクリアし、持続的な発展を支援するための具体策を講じるべきです。また、アフリカ近隣諸国との協力を強化することで、地域全体の食料生産性向上や市場の安定化も図る必要があります。