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メキシコの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データ(2024年7月更新)によると、メキシコの鶏飼養数は1961年の62,614,000羽から2022年の611,202,000羽にまで増加しています。この61年間で約10倍の成長を遂げており、特に1990年代後半から2000年代にかけての増加率が顕著です。この飼養数の推移は、メキシコ国内における鶏肉や卵の需要増加、さらには国際的な輸出能力の向上を反映しています。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 621,072,000
1.61% ↑
2022年 611,202,000
1.08% ↑
2021年 604,682,000
2.21% ↑
2020年 591,596,000
1.85% ↑
2019年 580,829,000
2.19% ↑
2018年 568,372,000
2.2% ↑
2017年 556,128,000
1.26% ↑
2016年 549,231,000
2.72% ↑
2015年 534,693,000
1.49% ↑
2014年 526,843,000
0.49% ↑
2013年 524,271,000
1.46% ↑
2012年 516,711,000
1.29% ↑
2011年 510,133,000
0.77% ↑
2010年 506,256,000
1.11% ↑
2009年 500,703,000
0.81% ↑
2008年 496,674,000
1.93% ↑
2007年 487,250,000
1.21% ↑
2006年 481,421,000
5.08% ↑
2005年 458,144,000
6.03% ↑
2004年 432,084,000
4.39% ↑
2003年 413,915,000
2.85% ↑
2002年 402,459,000
2.9% ↑
2001年 391,110,000
6.58% ↑
2000年 366,964,000
0.24% ↑
1999年 366,081,000
6.88% ↑
1998年 342,519,000
-1.61% ↓
1997年 348,110,000
6.34% ↑
1996年 327,366,000
0.26% ↑
1995年 326,521,000
8.89% ↑
1994年 299,869,000
-0.38% ↓
1993年 301,021,000
27.69% ↑
1992年 235,749,000
-1.15% ↓
1991年 238,493,000
1.9% ↑
1990年 234,055,000
-1.79% ↓
1989年 238,310,000
1.81% ↑
1988年 234,070,000
4.54% ↑
1987年 223,915,000
4.26% ↑
1986年 214,760,000
-1.88% ↓
1985年 218,883,000
7.85% ↑
1984年 202,955,000
4.88% ↑
1983年 193,505,000
1.71% ↑
1982年 190,258,000
2.74% ↑
1981年 185,187,000
3.96% ↑
1980年 178,134,000
6.36% ↑
1979年 167,484,000
10.8% ↑
1978年 151,164,000
0.86% ↑
1977年 149,870,000
3.52% ↑
1976年 144,777,000
2.61% ↑
1975年 141,095,000
2.73% ↑
1974年 137,346,000
0.79% ↑
1973年 136,267,000
6% ↑
1972年 128,550,000
3.52% ↑
1971年 124,175,000
-11.49% ↓
1970年 140,300,000
2.41% ↑
1969年 137,000,000
3.32% ↑
1968年 132,600,000
10.5% ↑
1967年 120,000,000
20% ↑
1966年 100,000,000
11.95% ↑
1965年 89,326,000
5% ↑
1964年 85,072,000
6.25% ↑
1963年 80,065,000
24.77% ↑
1962年 64,172,000
2.49% ↑
1961年 62,614,000 -

メキシコの鶏飼養数推移データは、国の農業産業が大きな成長を遂げていることを如実に物語っています。1960年代には年間約6,000万羽台にとどまっていた飼養数は、1980年代中盤には2億羽を超え、2022年には6億超に達しました。この成長の主な要因には、国内の人口増加、都市化の進展、食生活の変化による鶏肉と卵の需要増加が挙げられます。また、輸出市場の拡大もメキシコの家禽産業を後押ししています。

特筆すべきトレンドとして、1990年代後半から2000年代初頭にかけての急激な増加があります。この頃にはNAFTA(北米自由貿易協定)の発効によるアメリカ市場へのアクセス拡大や、国内農業の近代化政策に基づく生産性向上が大きな役割を果たしました。一方で、2009年以降の伸び率はやや緩やかになるものの、安定した増加が維持されています。これは、すでに飼養数の規模が非常に大きいため、さらなる拡大に限界が見え始めていることを示唆しています。

しかし、このデータはまた課題を浮き彫りにしています。鶏飼養数の増加は、農業資源への負担を伴うため、地域の水資源や飼料の供給安定が重要な課題となっています。メキシコでは特に北部の乾燥地帯で水不足が深刻な問題となっており、鶏の飼育に必要な水の確保が将来的なリスクとなり得るでしょう。また、飼養場の大量生産化が進む一方で、疫病のリスクも上昇する可能性があります。世界的な例として、鳥インフルエンザの発生が他国の家禽産業に甚大な影響を及ぼすケースがあり、メキシコも例外ではありません。

他国との比較では、アメリカや中国といった大規模な家禽生産国には及ばないものの、日本や韓国と比べると遥かに大きな規模であり、メキシコが家禽産業分野で世界的な競争力を持っていることが分かります。これを維持・向上するには、持続可能な資源管理とともに、輸出市場をさらに強化する国際戦略が求められるでしょう。また、ヨーロッパ諸国のように厳格な食品安全基準を策定することで、輸出先の多国籍市場で信頼を獲得することが考えられます。

未来への具体的な対策としては、まず資源管理を効率化する技術投資が挙げられます。例えば、循環型農業の導入や省水技術の促進が重要です。また、政府と産業界が連携し、疫病監視体制の強化を図ることも必要不可欠です。さらに、地域間協力の促進や、自由貿易協定の拡充を通じた国際市場でのプレゼンス拡大も検討されるべきです。こうした対策を講じることで、メキシコは持続可能かつ競争力のある家禽産業を構築し、長期的に安定した経済成長を実現することが期待されます。

以上のように、データからはメキシコ家禽産業の顕著な成長の姿が読み取れるとともに、資源配分や生産効率の課題が明確になります。これらを踏まえた戦略的な政策と技術導入が、将来の持続可能性と競争力を左右する鍵となるでしょう。